われら (エヴゲーニイ・ザミャーチン著)

1000年前、全地球は単一国家の権力に服従しました。現在、国家プロジェクトとして建造中のインテグラルは、自由という野蛮な状態にある他の惑星の生物を、理性という軛に繋げる為の宇宙船。本書はこの宇宙船の建造技師による日記という形式です。1000年前の革命を「最後の革命」とみなし、現在の体制をドグマ的に賛美する主人公が、新たな社会革命を起こそうとする運動に巻き込まれてゆく様子が描かれます。

ロシア革命後のソヴィエト政権への風刺と皮肉が込められた本書は、文壇からの厳しい批判に晒され、ザミャーチンは「反革命のブルジョア作家」のレッテルを貼られ弾圧されます。ソヴィエト初期社会主義時代の閉塞された状況の1920年代に書かれたディストピア小説。


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