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【ぽえむ】友が居る

わたしは、落ち込んだ人に声を掛けるのが
苦手だ。
誰かが つまづいて 転んで、
痛みに堪えて しゃがんでいる。
わたしは、真っ先に駆け寄るが、
そのうち 親切な人たちが わらわらと寄ってくる。
わたしは、自分に出来ることが無いと、
一旦 その場を離れる。
その場の話し合いが終わり、
解決方法が見つかるのを待つ。
もし、なにか解決方法が出なかったら、
わたしの意見を伝えてみる。
もし それが、相応しくないなら、
一旦 また 離れる。

倒れたわたしの友は、また 立ち上がる。
常に 離れたところで様子を見ていたわたしを
誤解して。
「私のことを 遠くで見ているだけだった 卑怯なやつ」と、
誤解した友。

それでも、わたしは 見守り続ける。
「変わらぬ友情」を わたしは、想う。

そして、また 友が何かで たった独りになってしまったとき、

わたしの人生でいつものことなのだか、

黙って手を差し伸べる。
私は、無駄話こそ、上手だが、
自分の感情を伝えることは苦手なのだ。

だから、ときどき言葉で伝えるより、
行動で、わかって欲しい、と願ってしまう。

口で伝えることをあまりやって来なかった
わたしの怠惰だが、

ときどきそれを、そのとき悟って、
手を握り返してくれる友が居る。

友が居る。


©2024.1.19.山田えみこ

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