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ことば〜読書感想文を書く理由〜

気がつけばもう8月。暑ーい盛り、いかがお過ごしですか。

様々な意味で外に出るのがはばかられる季節。
その上、下手をすれば熱中症で倒れかねないという新たな脅威も加わって、引きこもりがちな毎日です。

テレビの前で熱戦に視線を注ぐのもいいですが、ふと我にかえって気がつきました。


わたし、読書感想文を書いていない。

いや、夏休みじゃないんだけど。おとなは夏休みないんだけど。
でも、読書は外出自粛中に格好のレジャーではありませんか。本を開けば雪の降る王国だって、江戸の長屋の縁側だって、まだ見たことのない場所にだって行けるのです。

そして「読書感想文」を書かねばといういちばんの理由。
最近切に思うのが、人は忘れてしまうということです。

どんなにすばらしい経験をしても、感情というのは時を経てどんどん揮発してしまうものらしい。
あのときわたしはどんな気持ちでいたんだっけ。どんなことを求めていて、どんなことに涙したんだっけ。
その瞬間心に強く残っていた気持ちは、いつのまにか影も形も消えてしまい、がく然とします。
辛い思いを忘れるのはある意味で人間の自衛本能ですが、一応絵本というコンテンツを制作する者として、そうした気持ちも切り取っておく必要があると思うのです。

また、感情はスライムのようにとらえどころのない形をしていることも多いです。
容器からあふれんばかりにかさのはるもの、ずしりと重い石のようなものもあります。
そのままの形ではとっておけないので、感情の粒を抽出し、丸めて保管しておくための手段。
それが「書く」ことであり「描く」ことなのかもしれません。

読書によって動かされた感情も、確実に心の血液となり栄養となることでしょう。
忘れる前に、残しておこう。
煮える頭を抱えていつも以上にぼんやりしつつ、ゆるゆるとおとなの夏休みの宿題に取り組んでいこうと思っています。

画材費、展示運営費、また様々な企画に役立てられたらと思っています。ご協力いただける方、ぜひサポートをお願いいたします。