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演出、リアルと舞台裏

先日は凰ヒロさん主催のSMショーイベント「縛羅天」をお伺いしました。
皆さんのそれぞれの個性が溢れるステージばかりでしたが、その中でも特に印象深い演目について、140字でまとめられなかった感想をたれ流します。

たかせさん✕さおりさん

シンプルの真っ白のライティングの中で、白シャツのたかせさんに白ドレスのさおりさん。
たかせさんの緊縛写真垢でよく流れてくるシーンと連想させている中、やや激しめの音楽の中から、たかせさんが静かに淡々と後手を始めていました。
オートソックスなオープニングですが、迷いがない素早い縄運びやしっかりしたテンションは事前練習の積み重ねの証。
その中でもちょっと違うと思ったら迷いなくかけ直しするというのも素直でかっこいいと思いました。
やや特徴的な吊り方は前日で仕入れたばかりの10メートル縄だからこそできた技らしいですが、こんなに短時間でいつもと違う長さの縄を使いこなせるのは普通にすごい。
あえていうと、見せるショーとしてはやや刺激が足りないと思われるかもしれないが、時々、というかしつこいほどたかせさんとさおりさんとのアイコンタクトはやはりキュンでした。
座席の角度からはちゃんと見えなかったが、最初からさおりさんがずっとたかせさんを見ていたらしく、その時はどんな表情をされているんだろう‥それを想像するだけで、なんか切ないような幸せのような不思議な気持ちになります。
途中途中で普通にお二人が喋っていたり、軽く笑っていたりするシーンも、まるでステージ上でのパフォーマンスではなく、ただただいつもの1縛のような雰囲気も好きでした。
今回の演者さんたちに共通してですが、吊り上げたあとでも、ほぼほぼ受け手さんを離れて静観するようなシーンがなく(ストーリー上必要な場合を除く)、人と人のショーとなっているというか、お互いのコミュニケーションの形が違うとても、つながりをすごく感じました。

菱川みひろさん✕Suiさん

少し前に小縛羅天にて一度拝見しましたので、間違い探しのような気持ちで臨んだ演目でしたが、内容がそこまで変わっていないはずなのに、全く違う新鮮感と感動を味わえました。
衣装も一新してより和の雰囲気に纏ったお二人。
普段のイメージとステージ上での雰囲気のギャップがいつも惹かれます。
普段の会話ではとてもかわいくて生き生きしているSuiさんですが、ステージに上がった途端とても妖艶な雰囲気を醸し出して、更にストーリーの進行に連れてさらに可憐となり、最後はなぜか守りたくて、でも触ったら零れてしまう花びらのような‥なんかもう一緒に泣くことしかできない、と思ってしまいました。
みひろさんもふだんではとっても物腰が柔らかくて優しくてジェントルマンな方ですが、ショーとともに流れてくる小説朗読とともに、ステージに上がる途端、全く違う人格へ変貌してしまったみたいです。
Suiさんに乱暴な扱い方をしたり、容赦なくおっ◯いを出したり、それに縛りを進めながらも時々愛の表現も加わっておりました。
その姿が朗読の中での「私」と重なり、許されないことをしてしまった人間と思いましたが、でもどこかで気が弱くなりなんか可哀想と思ってしまうような姿がステージ上に現れていました。
なんかその彼が今しているいろんな酷いことも、彼の中の一種の自分への救いなのか、相手への救いなのか‥
といろいろ思わさせてしまうショーでした。

凰ヒロさん✕M女さん

ヒロさんご本人が以前ツイートされていましたが、ヒロさんのショーでのテーマは「M女の公開調教」という。
改めて今回拝見してみて、「なるほど確かに」のは一番の感想でした。
技術面?では、ショーで後手ではない全吊りを敢行するのは流石ヒロさんと思いましたし、ショーの一番最初の始まり方から、「そうきたのか!」という衝撃を受けました。
リアルな再現なのか、とてもリアルな雰囲気を作り上げるための演出なのか、ところどころでお二人の深い関係性が垣間見えてきて、なんか別に特段露出がないが、とてもエロいと感じてしまう時間でした。
なんかうまく書けないところが多いにありましたが、とてもヒロさんの野心と、ヒロさんならではの表現を見えました気がします。

ちひろさん✕ゆかりさん

こちらも、前回少し拝見しました内容でしたが、やはりオープニングの雰囲気づくりから、ガラッと全く情景が違って全く新しい魅力を感じました。
最初の下準備なところ、それにオープニングでドアを開けて大きなハサミを持って入場されてきたところがとっても素敵で、切り裂くジャック/シザーハンズあたりを連想してしまいました。
いかにも楽しそうに冷静に様々な酷いことをサクサクと進めていき、ゆかりさんの全力の叫んでいる声に全く動じでいなく、なんか怖いというか、鬼畜というか、これは本来の姿なのか、演技なのか、と分からなくなってしまった瞬間があります。
でもよくよく考えたら頭を踏んだり体を蹴ったりした皮靴は開演前に履き替えたばかりのショー用のもので、平然とした顔でやっていますスタンガンも、ゆかりさんが本気で「ヤダ」と叫んだ場所ではやめていました。
とにかく音をうまく使いこなせていた印象で、ハサミ、鞭、スタンガン、空気を切る音だけでも充分観客までその恐怖さが伝わってきます。
ゆかりさんの反応も、素直でドストレートで、演技と思えないようなリアルで、終わったあとに淡々と「ねぇ、この人すごい酷いことやっていましたよね」というまるで他人事のような語りも含めて、とてもショーモデル初心者とは思えない表現者でした。

「縄」という共通のツールというかテーマとしてある中、ここまで振り幅というか、様々違うようなアプローチを見れたのは意外でしたし、長丁場でしたがとても充実な時間でした。音源の中での曲の切り替えも、きりのいいタイミングで演出の内容と合わさっているのが多く個人的にとても着心地良く見れました。

以上。

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