TBSラジオ「JUNK」とPodcastの歴史を振り返る

自分のブログによると、私は2008年からPodcastを熱心に聞いていたようだ。ラジオはもう、子どもの頃から聞いていて、小学生時代には「三宅裕司のヤングパラダイス」、高校時代には「伊集院光のOh!デカナイト」や「オールナイトニッポン」等々。家でもなんとなく文化放送などが流れている家庭だった。

伊集院光さんになじみがあるので、Podcastのは「JUNK 伊集院光の深夜の馬鹿力」あたりから。その後「JUNK アンタッチャブルのシカゴマンゴ」にハマり、そのほかビジネス系などもちょいちょい聞いている。聞き始めた2008年当時は、ランキングにJUNKの番組がたくさん入っていたと記憶している。

JUNKとオールナイトニッポンの関係

PodcastでJUNKを見つけ、その後本編も録音して聞くほどになったので、そういうリスナーが多いのではないかと勝手に思っていた。JUNKの裏番組であるオールナイトニッポンは、私が若かりし頃からずっとラジオ好きの「深夜の友だち」。深夜ラジオと言えばオールナイトニッポンと考えてしまうほどの、強すぎるブランドだった。

ところがあるときから、JUNKがオールナイトニッポンを抜いている。Podcastの功績が大きいと思っていた私は、今回、TBSラジオがPodcastから撤退してしまうということで、ラジオのほう、大丈夫かな? と思いつつも、本当にPodcastのおかげで深夜ラジオが調子よくなったのか、振り返ってみたいと思った。

JUNKとオールナイトニッポンとPodcastの遍歴

実は2001年8月から、TBSラジオは聴取率1位を獲得していた。以下ソース。

2016年4月度個人聴取率調査で首位!TBSラジオは、おかげさまで連続首位を14年10ヶ月間継続!

ニッポン放送を抜いた当時はどういう計測をしていたのかわからないが、現在は平均で1位だし、「最高聴取率番組ランキング」においても1位ということだ。

TBSラジオの一番組である「JUNK」の本放送がスタートしたのは、2002年4月1日から。その後4年経ち、2006年4月から、全曜日でPodcast配信を始めた。(Wikipediaより抜粋)

一方で、ライバルである「オールナイトニッポン」は、2006年7月からポッドキャスト配信をスタート(一部のみ)

その後、JUNKとオールナイトニッポンでどのような攻防があったのかというと、愛聴していたシカゴマンゴにヒントが。

アンタッチャブルの2人は番組中で『ナイナイのANN』を意識していることを番組中で度々発言しており、本番組も開始当初は聴取率調査で大差をつけられていたが、徐々に差が小さくなり2006年10月の調査ではナイナイ0.6%、アンタチャブル0.5%と0.1%差まで接近し、TBSラジオ局内では「大健闘」とたたえられるほどとなった。そして2008年4月1週目の聴取率でトップを奪取。史上最低の聴取率だった2週目や、最低に近い数字の同年6月や9月1週目のように完敗することもあるものの、同年9月1週目や2009年9月2週目でもトップに輝いている。(Wikipediaより)

オールナイトニッポンの中でも、ナイナイは特に難攻不落だったはず。JUNKとの激しい戦いが見て取れる。

その後「アンタッチャブルのシカゴマンゴ」は、柴田さんの休業で2010年4月に最終回を迎える。(Wikipediaより)

その後、番組編成が変わり、「おぎやはぎのメガネびいき」が木曜日(ナイナイの裏番組)へ

2年を経て、2012年、すべての曜日で「JUNK」が聴取率1位となった(ソース。つまり「おぎやはぎのメガネびいき」が、ナイナイを抜いたのだ。

JUNK不動の地位が揺るぎなくなっている昨今、TBSラジオがすべてのPodcast配信を辞めるとアナウンスした。最初はTwitterにしか情報がなくて、なぜかと思ったらPodcast番組の冒頭1分半ほどでアナウンスをしていたのだ。Googleで検索できないわけだ。いまとなっては、関連記事はいろいろ。

人気だからこその難しさ TBSラジオがポッドキャストをやめた理由を聞いた

TBSラジオ「Podcast撤退」は復活の狼煙

素人の勝手な考察

ここからは事実ではなく私の勝手な思い込み等々。

Podcastはスマホで聞く人がほとんどだと思う。たまにPCの人もいるかもしれない。耳で聞くというのは、画面を見ないということだ。当たり前? そうでもないかも。

Podcastアプリは、お気に入りの番組を「購読」すると、更新があるたびに勝手にダウンロードされ、勝手に再生リストに入り、自動でどんどん再生してくれる。YouTubeが勝手に次々と再生してくれる経験は誰でもあると思うが、そういうイメージ。

ただ、YouTubeは画面を見ている。操作するマウスやキーボードやタッチパネルもあるはずだけど、次に見るものを選ぶのはけっこう骨が折れる。

Podcastは、当然ながら目や手が暇なので、何か別のことをする。吊革につかまったり、食器洗いをしたり、仕事をする人もいるだろう。そんななかで、番組を選ぶのはけっこう大変な作業なのだ。音楽を聴くのと同じと思えばすぐにわかる。

いま、TBSラジオクラウドは、次々再生する形になっていない。それをクリアしないと、リスナー離れは必至だろう。また、アプリも必要だと思う。

Podcastのもうひとつの特徴として、一度聞くようになったらあまり変更しないし、新しい番組を聴き始めるのはなかなかハードルが高い。私は、Podcastアプリが気に入っているので、TBSラジオクラウドに移行してしまったら、本当に聞きたい「東京ポッド許可局」くらいしか、聞かなくなるのではないかと思う。Podcastのアプリを使いながら、別の番組を聴けばいい(先日見つけたいとうせいこうさんとみうらじゅんさんのPodcastが信じられないくらい面白かった)。使い勝手が変わるのは、やっぱり大きい。特に「聞く」メディアは、画面をいろいろ見てわかっていくのとは違い、再生が始まったら放っておきたいのだ。

でも、TBSラジオの本業は、ラジオの放送の方だ。だから、TBSラジオクラウドがうまくいかなくても、ラジオの聴取率が取れればいいということなのかもしれない(あとはラジオクラウドに広告も入れていくとのことだったので、収支はよくなるのだろう)。だけど、やっぱりJUNKは特に、聴取率アップにPodcastは大きな影響を与えているんじゃないかなと、個人的には思う(オールナイトニッポンもPodcast配信していたし、配信開始から逆転までのタイミングがぴったり合っていたわけではないから、調べたことは残念ながらエビデンスになり得なかったけど)。

つまりマーケティングとしてのPodcast。単独でマネタイズするのではなく、CMやブログのような扱いとして、意味があるのではないかと思う。

なんかこのままではシメにならない気がしたので自信ないままに予想をすると、やっぱりここからラジオ本編の方の聴取率の変化があるだろうということ(つまりTBSラジオが落ちてくるんじゃないかってこと)。逆に、他のラジオ局は逆転する大チャンスだと思う。ラジオという特性上、時間はかかると思うけど。

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