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BALMING TIGER INTERVIEW / VISLA MAGAZINE 2018.12.6 日本語訳

ここはソウル。道のどこでもヒップホップを簡単に聴ける。果たしてこれがラッパーたちが夢見てきた世界なのか。しかしヒップホップが大衆化されるほど、平凡ではシーン(Scene)では生き残れないので、ただロマン溢れる時代だとは言い難い。デジタルメディア市場が巨大になるにつれて、多様なプラットフォームを通じアイコンを作り出すことが選択のみならず必須となった時点で、過去より物寂しさは薄れるどころか酷くなった、と言っても過言ではないだろう。こうして粘り強い韓国ヒップホップシーンの隙間をかき分けて入ってきたバーミングタイガー(Balming Tiger)クルーは、独創的なビジュアルと音楽でいつの間にか足元を固めるようになった。

バーミングタイガーは現在プロデューサー兼ディレクターのサンヤン(Sanyawn)とビートメイカーのアビス(Abyss)、ラッパーのビョンオン(Byung Un)、フィルマーのジャンクィ(Jan’qui)まで4名の結成メンバーを中心にラッパーのオメガ・サピエン(Omega Sapien)、シンガーソングライターのソグム(Sogumm)、ビートメイカーのアンシンカンブル(Unsinkable)を新たに迎え入れ、独自の世界を広げている。私たちはバーミングタイガーのクルーを迎え、彼らが通り過ぎてきた過去、そして未来に関して聞くことができた。

それぞれどんな仕事をしている?

オメガ・サピエン:バーミングタイガーでマンネ(*最年少)と英語ラップを担当しているオメガ・サピエンです。東京にある慶應大学で経済学を勉強しているところ。
ビョンオン:何ヶ月か前に軍楽隊の試験を無駄にしたニートのビョンオンといいます。主にラップと歌を担当している。
アンシンカンブル:半年前光州からソウルに上京したアンシンカンブルといいます。プロデューサーとDJを兼ねてOSIXTWOというクルーでも活動中。
サンヤン:バーミングタイガーのディレクターでありプロデューサーのサンヤンといいます。東亜放送芸術大学に通って休学して、すぐ退学するフューチャー退学生。
ソグム:バーミングタイガーのシンガー、クォン・ソヒです。ソグム(塩)という芸名で活動している。

インタビューに参加していないアビスはどんな人?

サンヤン:うちの柱のような人。初めてバーミングタイガーが誕生したときはそれぞれがハネたいと思う気性が強かった。アビスはその間でバランスを取ってくれた。音楽的部分だけでなく、いろんな見解の違いが生まれた時もいつも和解させてくれた。
ビョンオン:グッドバイブ担当。

バーミングタイガーはどんなきっかけで結成した?初めてバーミングタイガーを構想した時と現在のイメージに差があるとしたら?

サンヤン:自分とビョンオン、アビス、あとノーアイデンティティ(No Identitiy)が新鮮な音楽を見せて一緒に楽しみたくて結成するようになった。その趣旨自体は今も大きく変わってない。新鮮な音楽を大衆に見せるクルーであり、ラベル、あるいはチャネルであると同時にプラットフォームにもなりたい面白いネットワーク。

愉快なクルーというコンセプトも初めから企画されたものだった?

サンヤン:そうとも言える。ビョンオンというキャラクターが持つ面白いエナジーがよく溶け込んで決定的に愉快なコンセプトが作られたのではないかと思う。

ビョンオンのキャラクターを作る過程でディレクターサンヤンの影響が作用したようだが?

サンヤン:ビョンオンはもともとフォークとギターを弾くイメージでよく知られていたが、何せキャラクターがユニークだった。だから一回ラップをお願いしてみたら、本当にかっこよくて。この時からラッパーのイメージが構築されたんだと思う。

ラッパーとしての隠された才能をどこで見つけたのか?

サンヤン:ビョンオンのYouTubeにケンドック・ラマー(Kendrick Lamar)の "These Walls" みたいな有名なトラックをコピーした曲が何個かあった。それを聞いて惚れちゃったんだよ。ビョンオンがラップをする時に低音に変わるトーンがイケてるポイントだと思う。

特に伝えたガイドはある?

サンヤン:もともと音楽に関心が強い人だから特にガイドは必要なくて、ボイストーンとアルバムのテーマの話を簡単に交わしたくらい。

メンバー皆それぞれのカテゴリーを持ちながら活動する領域がある。そんな彼らをバーミングタイガーとして一つに束ねて、ネックになるものは発生しなかったのか?

サンヤン:みんな持ち味が違うから、一つの色味だけ持って活動するつもりはなかった。ただいつも飢えた人間たちだから、バーミングタイガーの音楽をたくさん聴いてほしいと思うだけだ。そして大衆のフィードバックを欲してた。似たような目標を持った人間たちが集まって一つの共同体になり、それぞれの声を全世界に聴かせてやれるようなクルーを作りたかった。ビジョンと目標だけ一致すれば、束ねあげるのは大したことじゃない。

サンヤンはディレクターとしてプロモーションにもたくさん気を配っている。バーミングタイガーを知ってもらうために、どんなことで悩む?

サンヤン:VISLAとHYPEBEASTみたいないくつかの独自的なプラットフォームと親しくなりたかった。同時にディンゴ(dingo)のような大衆的なプラットフォームにも出れるようになりたくて、承認欲求中毒の人みたいに努力した。幸いにも独自メディアプラットフォームも、大衆的プラットフォームもみんなよく受け入れてくれた。

ディンゴを通じて発表したトラック "I'm Sick" の裏話があるみたいだけど、彼らとはどうやって連絡が取れた?

サンヤン:ディンゴのPDからまず連絡がきた。それで会った。元はビョンオンメインのドキュメンタリーだけ撮る予定だったんだけど、やってみたら一緒に音源を出そうってことになって "I’m Sick" をディンゴのチャンネルとしてリリースして、ミュージックビデオを撮ることになった。実は初めて話し合った内容ではミュージックビデオというよりはライブクリップだったんだけど、アイデアを分けてみてBJをテーマにしたミュージックビデオができて、ライブクリップとビョンオンのドキュメンタリーも出た。当時話してたのが全部形として出ることになった。

ビョンオンはそのミュージックビデオで多くの注目を受けた。プレッシャーは感じなかったか?

ビョンオン:友達と楽しみつつ音楽をやってたから大きな負担はない。今この活動一筋で生きてるわけじゃない。今や日常で自分を知る人が写真を一緒に撮ろうと言ってくる。初めは嬉しかったが、ずっと撮ってると義務感を感じるようになったみたいで悩みになった。ミュージシャンにはこれも仕事なんだろうと思ったよ。

ビョンオンは今軍入隊を控えているけど、服務期間に大衆に忘れるかもしれないという事実が怖くない?

ビョンオン:いや。今成し遂げたことが除隊後にまた音楽をやるときに良い経歴になると思う。それから自分なりに小さく音楽をやるのも好きだから、あんまり熱く音楽にしがみつかなくても大丈夫かな。

Balming Tiger – I’m Sick (M/V)

若い世代であるほどYoutubeに留まる時間が長いが、これに向けた批判的な視線も存在する。 "I'm Sick" で借用したBJ文化、さらにはYoutube世代をどう見てるのか?

サンヤン:自分は一人クリエイターが好き。別に欠かさず見てるわけじゃないけど、ウェブに流れ着いてTVよりもたくさん見てきた方。だから自分たち世代のアイコンであるチョルグが自分たちの映像を見て言及してくれて嬉しかった。
ビョンオン:ミュージックビデオを通して韓国文化、特にバイラルビデオがどう受け入れられるかについて悩むようになった。何とかして話題にならなきゃ実質的な再生回数が上がらない。撮影しながらその事実を受け入れることができた。

刺激的な映像を作ろうという意図でBJ文化を風刺したのか?

サンヤン:そうではない。ただミュージックビデオのミーティングでいくつかのテーマを持って会話を続けてみて "I'm Sick" という形になっただけだ。
ビョンオン:刺激的なやり方で行こうとするなら、プロだったなら、むしろチョルグをディスっただろうね。自分はアマチュアだから、ただ自分が見たままに表しただけ。

オメガ・サピエンのミュージックビデオ "Let’s go Beam"はどう作られたのか?

オメガ・サピエン:自分は特に予算もないしエンジニアもいない状況だから、YouTubeでビートを20ドルでダウンロードして "Let’s go Beam" を作った。でもこのデモのおかげでミュージックビデオ制作の監督とも知り合って、コールド(Colde)からフィーチャリング提案も来た。見方によってはバーミングタイガーと繋がったことも "Let’s go Beam" のおかげだね。

YoutubeやSoundCloudのようなプラットフォームが独立ミュージシャンにどう役立つのか?

オメガ・サピエン:インディミュージシャンだったらSoundCloudとYoutube以外には音楽を紹介するところが特にないと感じない?唯一世界で自分の声を知らせられる空間だね。だからもう企画会社やPDを通さなくても十分有名になれる。
アンシンカブル:時代が変わって生産のしかたと消費のしかたがテクノロジーに合わせて変化するだけだ。過去ではLPとCDを買わなきゃだったけど、今は変化した技術に合わせて制作して消費する。

ものすごくいろんな人が自分の曲を作ってSoundCloud、Youtubeに上げる。その中で光を放つというのは並大抵の難しさではないだろう。

オメガ・サピエン:音楽だけじゃなくて、ビデオなど活用できる全部のメディアを活用しないといけない。

ジャンクィは今国防の義務を尽くしていると聞いた。彼はどんな人物なのか?

サンヤン:ジャンクィはもともと音楽をやる友達だった。でも自分が属してるクルーに映像を撮ってくれる人がいなかったから、独学で映像を勉強したそう。今や歌より映像でもっと有名になったアーティストだね。

バーミングタイガーのミュージックビデオ "Chef Lee" がジャンクィの作品だ。

サンヤン:初めはノーアイデンティティを通してジャンクィに自分らの音楽を聴かせた。そしたら気持ち悪くて面白いコンテを投げてくれたんだよ。それ以来ジャンクィもクルーに合流した。

今後公開されるジャンクィの制作物は?

サンヤン:外付けハードディスクにあった撮影した映像が全部飛んでっちゃって、ミュージックビデオを再撮影しなきゃいけなくなった。だからジャンクィの最初の休暇はミュージックビデオを撮りながら過ごすと思う。

ビョンオンとリッチ・チガ(Rich Chigga)を比べる人がたまにいる。どう思う?

ビョンオン:自分の "Nerdy" な面がそのままによく伝わってると思う。自分の正体を曝け出してるみたいで気分が良い。自分がプロだったらリッチ・チガをディスしただろうに……

バーミングタイガーの作品が実際のビョンオンと100%一致してるってこと?

ビョンオン:ただ自分の一部だよ。

外国に住んで韓国ヒップホップシーンに入ってきて感じたところがあったとしたら?

ビョンオン:自分がプロだったら韓国のラッパーたちをみんなディスっただろうに……実は自分が韓国ヒップホップシーンと近いとは感じない。シーン自体としてだけ見るなら、全部韓国社会を基盤に作られたものだからなのか、お互いに上手い下手を競い合う状況がよく出てくる気がする。ただ見るだけでも狭いところであくせくしてる感じ。

今はSHOW ME THE MONEY*をはじめとしたTV番組であまりにも多くのラッパーが見えてくると、むしろそうじゃない人がより珍しいように感じられる。

サンヤン:実はSHOW ME THE MONEYもそうだし、高等ラッパーもそうで、こういう番組がなかったら多分自分らもいなかっただろうと思う。また放送に出演する人たちとは方向を異にするクルーなもんだから独特な存在感が生まれたんだと思う。
ビョンオン:SHOW ME THE MONEYを通して韓国ヒップホップ音楽に初めて接した。
サンヤン:2000年代に自分たちが出てきてたらむしろ競争力がなくて音沙汰もなくひっそり消えてたかもしれない。
オメガ・サピエン:シーンの大きさがだんだん大きくなるにつれて異質的なヒップホップクルーにも自分たちで生きられるような環境ができたんだと思う。
ビョンオン:自分がプロだったらその時代のメインストリームを吸収してやったのに……
ソグム:メインストリームにあまりに集中し続けると流されやすくなっちゃって、ただ家で一人で好きな音楽を消費するタイプ。だからメインストリームがよく分からない。
アンシンカブル:韓国音楽市場で自分らみたいなトライが多くなったらいいな。第三者の観点から見るのもすごい面白いんじゃないかな。そういうチームが多くなれば韓国音楽市場が独特になると思う。

*SHOW ME THE MONEY:韓国テレビ局Mnetにて放送されているHIPHOPサバイバルオーディション番組。審査員は審査をすると同時に参加者のプロデューシングを行う。 プロ・アマ問わず多くのラッパーが参加し、韓国でのヒップホップブームの火付け役となった。

ビョンオンはさっきからずっと「自分がプロだったら」という蛇足を付け加えるね。ビョンオンが考えるプロというのは何なのか?

ビョンオン:自分はプロじゃないのでよくわからないけど、ただ自分の欲望を追いかける人のことだと考えてる。あるいは音楽から全部離れて、文化自体に触れて刺激を与えることのできる人がプロじゃないかと思う。

そうじゃなくてもプロフェッショナルだと言えない?

ビョンオン:それは単純な "ワーキング・プロフェッショナル"(プロとして働く人)でしょ。

短い時間ではあるけど、活発に仕事を消化してきてもなおビョンオンが自分をプロじゃないと考えるのはどんな理由から?

ビョンオン:積極的にやってないから。
オメガ・サピエン:楽しみつつも上手くやるということだね。

過去のミックステープ【虎媄(호미)304】の話に進みましょう。アルバム裏面にコミックスが載ってるけど、これはどういう意味?

サンヤン:音楽以外にもビジュアルブランディングが必要だと思った。その当時メンバー4人がみんな漫画が好きだから漫画を描いて載せて、それを通して独自的な世界観を刻み入れた。これからバーミングタイガーの名前で出る全部の作品もやっぱり【虎媄(호미)304】に入れた漫画みたいに特定の世界観を持ち出す予定。過去の "I'm Sick" もやっぱりその要素が隠れてる。

 そのコミックスに描いた人は誰なのか?

サンヤン:イギョレという方なんだけど、自分の前の職場の同僚だった。【虎媄(호미)304】コミックスを依頼するときは忙しくなかったんだけど、今はかなり仕事が増えて今後コミックスをお願いするのが申し訳ないくらい。
アンシンカブル:最近イギリスのDJショーン・グラン(Sean Gran)のコンピレーションに自分が1曲参与した。でもそのアルバムのカバーアートもイギョレが描いたって言ってた。

アルバムが全て売れたと聞いたが?

サンヤン:だいたい300枚くらい?オフラインで全部売れた。

最近新たに合流したメンバーのアンシンカブル、ソグム、オメガ・サピエンはそれぞれどんなきっかけで合流するようになったのか?

アンシンカブル:1月にヘンズクラブ(The Henz Club)で開かれた '호미(ホーミー) 304' パーティーのゲストDJとして参加した。そのとき初めてバーミングタイガーと挨拶して、その後にずっと連絡を取ってたら4月に一緒にやろうという提案をもらった。面白いクルーだから快く一緒にやることにした。
ソグム:自分はOST*を作る会社で働いてて「自分がやりたい音楽ができないんだな」と思って、去年10月に退社した。そこは規律がひどいだけじゃなくて、音楽を創作じゃなく機械でコピーしてる印象だった。仕事が辛くてSoundCloudで自分の音楽に向けた熱望を噴き出してたんだけど、その作品がすごいおかしくて変な一方で、面白かった。何だか混乱してるその過程で誰かの助けが必要だと感じて、知人を通してサンヤンに出会った。そのとき彼が手を差し出してエスカレーターに乗ったみたいな感じで、助けを得ようと合流した。
オメガ・サピエン:自分は韓国ヒップホップはあんまり聴いてなかったんだけど、ある日Youtubeの関連動画に '호미(ホーミー) 304' が偶然出てきた。好奇心で聴いてみたんだけど、衝撃を受けてサンヤンにDMを送った。このとき自分が作った "Let’s go Beam" を見せて、彼に初めて会った。前まではチームに入って作品を発表する行為に大きな拒否感があったんだけど、バーミングタイガーは音楽以外もアルバムカバーやミュージックビデオみたいなビジュアルにもすごく気を遣うスタイルが自分とよく合うと思って、悩むことなくすぐ合流した。

*OST:オリジナルサウンドトラック(Original Sound Track)。ドラマや映画などの劇中歌(サントラ)。

オメガ・サピエンという名前はどこからきたのか?

オメガ・サピエン:"Go ape shit" という英語表現がある。ひどく怒る、狂うという意味。以前レイジーモンスターという芸名で活動してたとき、友達が自分がゴリラに似ててよく怒るからエイプ(Ape)に変えようと勧めてきたんだよ。だからしばらくエイプで活動した。キースエイプ(Keith Ape)の "イッジマ(It G Ma)" がものすごいヒットした後から、自分が彼の亜流だと思う人が出てくるようになった。結局、名前をオメガ・サピエンに変えた。'Ape' から一段階進化したホモ・サピエンスに、漫画 "デジモンアドベンチャー" に登場する一番強力なデジモン、"オメガモン" の意味を合成した。普通の人間の領域を超えた超人という意味。

コールドの公演でオメガ・サピエンの姿を見たが、ライブが本当に上手かった。ライブ経験はどこで積んだのか?

オメガ・サピエン:アメリカのニュージャージーで暮らしてきたんだけど、そこでやることと言えばバスケとカラオケしかなかった。バスケは下手だから友達とカラオケによく行った。そのとき遊びながらライブが上手くなったんじゃないかと思う。あとバーミングタイガーの前にもステージをたくさん踏んできた。ニューヨークのタイムズスクエアで公演をしたこともあるし、東京の小さなクラブでも公演した経験がある。そういうふうに自然にノウハウが積まれたんじゃないかな。

Omega Sapien – Let’s Go Beam (M/V)

自分でミュージックビデオを監督すると聞いたが?

オメガ・サピエン: "Let’s go Beam" は自分のアイデア。もちろん何人かのアイデアが入り混じってるけど、自分が構想した内容がほとんどを占めてる。

日本生活はどうか?新しいシーンで人を集めるのは簡単ではなかったようだが?

オメガ・サピエン:自分は日本に行って分別がついた。それまではトラップ音楽を適当に録って出せばいいと思ってた。日本でYoutubeを見て本を読みながら、ブランディングとマーケティングを勉強した。初めは日本語もできないし自分しかいない状況だったから、さっきも話したようにYoutubeのビートを20ドルで買ってデモを作ってあちこちで回した。幸いにも反応は良かった。

"Rich & Clear" ミュージックビデオも "Let’s go Beam" と同じ監督?

オメガ・サピエン:"Rich & Clear" ミュージックビデオはペンナッキー(Pennacky)という人が撮影してくれた。彼は "Let’s go Beam" ミュージックビデオを見てから一緒に仕事するために自分の公演に訪ねてきたんだ。

ペンナッキーはどんな人?

オメガ・サピエン:ペンナッキーはリアル。実は "Let’s go Beam" がしんどかったのは、ディレクションを自分でやったから。反面 "Rich & Clear" はペンナッキーと楽にコーヒー一杯飲みながら、映画 "ホーリー・マウンテン" をモチーフに方向性を話した。そして1ヶ月後、ペンナッキーが全てのことを準備してきてくれた。そのおかげで自分はとても楽に制作ができた。だからビョンオンと一緒に作ったトラック "アルマジロ" のミュージックビデオもお願いしようかと思ってる。

オメガ・サピエンの音楽はどこから影響を受けた?

オメガ・サピエン:もともと自分も普遍的なトラップ曲をたくさん作ってきたんだけど、去年6月韓国に帰ってきて梨泰院のエレクトロ音楽のクラブに出入りしながらスタイルが変わった。大きな経験だった。あと日本の東京はやっぱりエレクトロニックミュージックシーンが大きいから、あちこちで経験したことが自分の音楽に大きな影響を与えたと思う。

東京とニューヨーク、ソウルのアンダーグラウンドシーンを一様に経験して、国ごとの特徴があるとしたら何か?

オメガ・サピエン:韓国人だし、やっぱりバーミングタイガーは韓国アンダーグラウンドでそれなりの認知度があるから所属してる感じがちょっと強いんだけど、日本ではまだ浮いてる気分。言語が通じないからなのか、日本のアーティストと特に交流もない。まだ同化してない感じ?あと日本のヒップホップ市場はまだ小さいみたい。そういう食い違いは少しずつ感じてるかな。ニューヨークではただ遊んでしかいないから、シーンの特徴が何かを話すのは難しい。

アンシンカブルは前回のヒップホップエルイー(Hiphople)でのインタビューでソウルに来たらプロセスが変わるから楽しみだと話してた。ソウルという都市にどんな期待があるのか?

アンシンカブル:すでに光州ではアルバムも出して、パーティーも作ってみた。もう自分がボスって感じだったから、単純にソウルに足を広げていきたかった。一緒に活動してた何人かのアーティストもやっぱりソウルにいっぱい上京してた状態だったから、慣れるのは簡単だった。

アンシンカブルがバーミングタイガーのクルーという事実を多くのリスナーはまだ知らないみたいだけど、現在はどんな仕事を進行中?

アンシンカブル:"アルマジロ" というトラックを作った。それを皮切りに自分のアルバムも必ず発表するつもり。

アンシンカブルの音楽はバーミングタイガーのものとは雰囲気がちょっと違うと感じた。スタイルはどんな風に調節してる?

アンシンカブル:バーミングタイガーの名前で出る作品だから、クルーの色合いを気にしないわけにはいかない。でもその過程は嫌じゃなくて、一定部分は合わせてった。普段音楽の偏食はしない方だから、クルーと一緒に制作する時も楽しくできると思う。

メンバーのほとんどが外国で住んできた経験があるけど、ソグムはどんな成長過程を経たのかが気になる。

ソグム:小学生の時中国に住んでて、帰国してからは大田に住んだ。毎日家でオタクみたいに音楽だけ聴いて自分で曲を作ってたから、公演をしに行く自分の姿がまだすごいぎこちなくて慣れない。実は音楽をやってこうと気持ちを固めたのも、1ヶ月の間に携帯を3回もなくした去年の4月から。それまでは本当に何の考えもなく生きてて、携帯をずっとなくしながら悟りを開いた。会社の機械的な仕事に耐えがたくなって、退社に繋がった。急に決めたから、実はまだ自分がしたいことが何なのかわからない。ただ自分の夢があまりに大きくて道のりを見つけられてないんじゃないかという気もする。

ソグム - 미안해(ミアネ)

自分の音楽で特に気を使ってる部分はある?

ソグム:小学生の時、ただYouTubeでアメリカの音楽を聴いてたら、ある黒人が歌ってるカバーソングを見つけた。まだ覚えてるんだけど、真っ暗な背景に黒人がただ歌を歌う映像だった。歌が上手いわけじゃなかったけど、自然なソウルをそこに見出した。その人の恨みがこもったようなソウルを参考にしてスキルを伸ばそうとした。必ずしも歌を滑らかに歌わないと感情が伝わらない訳ではないという事実もここでキャッチした。テクニックより表現を学んだんだ。

先日DJウェゴン(DJ Wegun)のアルバムでフィーチャリングで参加してたけど、噂によると、あるアーティストはフィーチャリングを提案するためにソグムがよく行く飲み屋でしきりに待ってたときいた。それほどフィーチャリング提案をたくさん受けてるの?

ソグム:本当にたくさんもらってる。ミュージシャンの名声とは関係なく、その日の自分の気分に従ってOKかが分かれる。でも実は自分も急にSoundCloudを通して有名になったから、フィーチャリングをうまくできるか確信がある訳じゃないんだ。「自分が歌ってあげた歌を作曲家が気に入るか?」という考えで恐れを持つのがすごく嫌。だから親しい友達がお願いすればやるし、知らない人が提案してくると一旦壁を作っちゃうみたい。バーミングタイガーをはじめた時も、友達にならなきゃ制作できないと話した。多分その時も壁があったからそうなったんだと思う。

現在準備してるアルバムはどのくらい進んでる?

ソグム:サンヤンがビートを録ってくれて作ってるんだけど、まだよくわからない。実際にアルバムを作ろうとすればいくらでも作れるんだけど、ただ世間知らずすぎて作ってなかったみたい。サンヤンとは自分が聴く音楽に関して主に話をする方。その日その日の気分によって違ってくるから、何が出るかはわからない。計画して出すようなアルバムじゃないと思う。描かれる色がない。

バーミングタイガーの長期プランが気になる。もっとメンバーをスカウトする計画もある?

サンヤン:バーミングタイガーのスカウト基準というほどのものは特にないんだけど、実際にみんなが集まってみるとみんな正気じゃないっていうのが共通分母と言えば共通分母だった。個性がはっきりしてるのがバーミングタイガーの原動力じゃないかな。メンバーをもっと増やすのも気持ちさえ合ってるなら難しいことじゃない。自分たちはただ自由な団体だから、コレクティブであるのに続いてチャンネル、プラットフォームの機能まで担いたい。オリジナルコンテンツも広く知ってもらえたらいいな。全世界の人が聴いても好きになる価値のあるコンテンツ、プラットフォームになりたい。

バーミングタイガーのような新しいバイブを持って進もうとする新生チームがあったら、どんな言葉をかけてあげたい?

サンヤン:自分らがもうそんな位置まで来た?
ビョンオン:本を読め。
オメガ・サピエン:他人がしない、自身と他の人を差別化しようとする努力が必要。一旦は音楽に打ち込んで全精神を注ぎ込まないといけない。自分もそうしようとしてる。
アンシンカブル:ソウルに来て驚いたことといえば、音楽を聴かないアーティストがあまりに多いという事実だね。自分は光州にいたからひとりで音楽を聴く時間が多かったんだけど、ソウルは意外とdiggingを疎かにするミュージシャンが多かった。
ソグム:辛い時期が必要じゃないかな。孤立する経験でも良いし。

Balming Tiger 公式インスタグラムアカウント


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