見出し画像

映画『君の根は』を見て。「リジェネラティブ」からの「ホリスティック」からのおいしい役割

ドキュメンタリー映画『君の根は。大地再生にいどむ人びと』を南アルプス子どもの村の中学生たちによる自主上映会で見てきた。

「リジェネラティブ(大地再生)」という世界観に出会って、リジェネラティブ農業による農業・漁業・牧畜に転換した人たちを追った映画なのだが、映画冒頭の放牧畜産をする家族のシーンから「あれ? これ、オレら知ってるぞ」と思った。

不耕起栽培や放牧による畜産など、これ、福岡正信さんじゃん! 西川奈緒子さんじゃん!と。

昆布漁業、これは残念ながら日本の事例は知らないが、この人、発想がスゲー! かっこいい! 天才だ!と思った。

大地再生農業によって土壌の有機物を増やすことで、CO2を貯留して気候変動を抑制するというのだが、福岡さんはじめ日本でされている不耕起栽培は気候変動抑制を目的にしてはじめられた農法ではないだろうし、奈緒子さんの完全放牧自然牛「ジビーフ」もCO2うんぬんではなく、どちらかというと動物の尊厳という思いがスタートにあったと思う。

出発点は違う。だが、結局のところ、自然に寄り添った手法が人間をも助けるんだね。というのが、痛快だった。

映画のなかでは「ホリスティック」という言葉がよく登場した。

全体性や総体的などと訳されるが「ああ、これ、わたしが上手く理解できていない言葉のひとつなんだよなー」と言葉が出るたびに思っていたのだが、映画の後、この映画の翻訳を務められた人類学者の辻信一さんのお話を聞いて、わたしははじめてホリスティックという言葉の全体性という意味が腹落ちした。


映画の感想を話す機会があり、レストラン経営者の視点から土が肥沃になるとともに、ジビーフの味が変化したという話をした。

いくら環境に良い、CO2排気量削減だ、エシカルだ、アニマルウェルフェアだ…といったところで、それが普及していくかどうかは「おいしい」が握っているところがまあまあある。

だが、環境がテーマの場でおいしいが深掘りされる機会はあまりないので、ジビーフの広大すぎる牧場の土が年を追うごとに肥沃になっていったことで、ジビーフの味が変わったという土変からの味変という話をしたら、会場から、へー!というリアクションが広がった。

ただ、おいしいは畜産家だけがつくるものではもちろんない。

屠畜、精肉店、物流、シェフ、サービス、食べ手など、おいしいがつくられるのはまさにホリスティックであるし、「おいしい」という概念もまた、気候変動をホリスティックに考えたときのひとつのパーツにしか過ぎない。

だが、わたしたちレストランが未来に対して担う役目として、「おいしい担当」というのはなんとも愉快だし、追求し甲斐があるというものだ。やったるでー!である。


「あなたは人類に希望があると本気で信じていますか?」

この質問には、もちろんYESだ!


#君の根は #君の根は大地再生にいどむ人びと

いただいたサポートは未来をつくる若い方たちへの応援に使わせていただきます。