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将軍サマの絵を観てきました

現在、府中美術館で開催している『 へそまがり日本美術』を見て参りました。

めちゃくちゃ面白かったですっ。

博物館とかウロウロしていると、歴史上の人物の字を拝見できることは結構あるんですが。
今回は家光の絵が観られるというので、楽しみに参りました。
ポスターにもなっているウサギの絵がそれです。

なんてステキな・・・。

どこがステキって。
ちゃんと自分で「いいな」と思うところを見つけて、「いいな」と思うところを描こうと葛藤している痕跡が見えるところ。
好感度が高いです。
作者家光の、鬱病を患っちゃうくらい繊細で生真面目な感じも、画面から読み取れるんですが。
見れば見るほど、ジワジワと妙に嬉しくなってくる。
そこはかとない哀愁がたまりません。

お殿様の書や絵画は、プレゼントに使われることもあったそうですが。
「殿から自筆の絵を下賜されちゃったっ」
と、嬉しく開いて。
こんなウサギが出てきたら・・・。
もらった人はどんな顔したのものやら=^・ω・^=。
想像すると、これまた、たまりません。
パワハラにもイタズラに成りうる、このプレゼント。
どちらにしても贈る側は確信犯でしょうね。

家光って脆弱で神経質なイメージで、あんまり好きじゃなかったんですが、今回少し見直してしまいました。
「余は生れながらの将軍である」と、のたまわった方が、こんな絵を描く人だったんだと思うと。
ちょっと可愛く思われてくるから不思議です。

展示では、四代将軍家綱の画も並んでいましたが、これまた出色の可愛らしさで。
絵の前で肩の震えを抑えるのに苦労しました。
親子揃ってヘタなんだけど。
親子揃って、なんか、いい。
見飽きない(๑´ㅂ`๑)♡*.+。

でも。
見飽きないって、凄いことですよね。

家綱は温厚な将軍ってイメージしかなかったのですが、実在したひとりの人間としてリアルに実感できました。
そういう意味で、絵の持つ力って凄いなあ、とかも思いましたよ。

この展示会、ヘタ面白い殿様絵画だけじゃなくって。
ちゃんと上手い、洒脱な絵も同じ会場に並んでいて、その視点の有り様もたいへん面白かったです。
というか。
上手い画家が単純な線を描くと、ホントに上手いんだなーって、よく分かって、そういう見応えもあるんですが。
そういう上手い下手を凌駕して。

「ひとを幸せにする絵ってあるんだよねえ」

という。
もっと言うと。
「綺麗でも、カッコ良くもなくても、ステキなものは存在する」
という、価値観の多様性をうたった美術展で。
江戸時代のインテリジェンスを改めて考えさせられる、とってもステキな企画展でした。

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