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年下に見られがちだった私も今では年相応になったかもしれない。

ある夜、歯を磨いている時に鏡を見た。
ふと思った。
「年相応になってきたかな」

私は幼い頃から年齢より低く見られてきた。
若いのではなく、幼く見られてきたのだ。
嫌でも嬉しいわけでもない。
ただ周りにそう言われたから自分はそうやって見られるんだなという自己認識を持っていた。
一種のアイデンティティだ。
おそらくは、身長が高くなかったことや顔の造形が大きい。
また行動も幼かったのかもしれないし、苦労が少ないのかもしれない。

鏡を見て自己認識に一石を投じたのは、前髪にキラリと輝く白髪を見つけたからだ。
もちろん白髪なんて、とうの昔に珍しいものではなくなっている。
鼻毛にすらある。
全く気にならなくなっていたが、その時のLEDに照らされた白髪には目が止まった。

白髪というのは見た目の年齢を上げるアイテムだと思う。
もしかしたら白髪のおかげで、幼い人間から年相応ぐらいになったんじゃないかな?と思ったのだ。
もっと白髪が増えたら年上に見られるようになるかもしれない。
今までの自分の世界観が変わるかもしれない。
白髪まじりの黒髪頭ではなく、黒髪まじりの白髪頭にならないかな。
オヒョイさんみたいになりたいな。

未来を想像したらワクワクしてきたので、隣の部屋にいる妻に話に行った。
「ねえねえ、今なら年相応に見えるかな?」
「そうだね。。。」
妻は興味なさそうに答えた。

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