よく「アメリカは誉めて伸ばすから素晴らしい」なんて言っているけども

他人の書いた文章で、「アメリカは子供を誉めて伸ばす。これは素晴らしいことだ」といったものを見掛けることがあります。

はい、素晴らしいでしょう。でも、日本で真似することはできませんから。

今回は、その理由を書いてみます。

まず、なんで、日本人の多くがアメリカを素晴らしいと感じるのかということをエニアグラム的に説明します。
タイプ3の国となるアメリカは、タイプ6日本の「分裂の方向」の国となります。

エニアグラムには『統合と分裂』という考え方があります。
統合は状態が良くなるとその性質が出てくるものだとされており、
一方、分裂は状態が悪くなるとその性質が出てくるものだとされています。

それでなのですが、
私たちの多くは、日常においてストレスにさらされていることが多いので、ともすれば分裂の方向へ行きやすく、分裂の方向に親しみを感じる傾向が出てくる。ということになるのです。

そういったわけで、ストレス下の日本人は、アメリカの中のタイプ3的な部分に好意をもつことになります。

ちなみに余計な話を入れると、私としては『統合と分裂』というものを100パーセント信じているわけでも無いのです。ですが、これで大まかにでも説明できる事象の範囲は広いので、便利に説明で用いさせてもらっています。

さて、話を続けます。
「アメリカは誉めて伸ばすから素晴らしい」
という話に関して、
「なんで、日本人の多くがアメリカを素晴らしいと感じるのか」
の説明をここまでしてきましたが、
そう説明してみたところで、
「“統合・分裂”とかに関係無く、良いものは良い。良いものを取り入れることの何が悪い!」
という意見は言われると思います。

ただ、これも、言っておきますが、
「良いと思ったからといって取り入れられるとは思うな」
ということなんです。
「異なる性格タイプが持っている美点や利点などの資質は、その性格タイプの根源的なものから発せられている」
ことをどうか理解してください。

アメリカはタイプ3の国です。
タイプ3は成功と賞賛を求めます。
そして、タイプ3の国では、好意として相手に自分の求めているものを提供します。
それが「相手を誉める」という行為となってあらわれるものです。
これは、タイプの根源が深く関わっている無意識なものです。
意識的にやっているものでも、無理をしてやっているものでもありません。

これ、日本人でもタイプ3の人の中には、その好意を相手を肯定することで伝えている人がいたりします。

これが日本だと、日本はタイプ6の国なので、
その求めるものは、安心・安全・安定となります。
そして、タイプ6の国では、好意として相手の不安を取り除くことに尽力します。
これもまた、無意識にやっているもので、
意識的にやっているものでも、無理してやっているものでもありません。

こういった違いは、過去に『文化圏によるおもてなしの違い ― 「くっつく」か?「ほっとく」か?』において紹介しました。
紹介した文章では求めるものの行き違いについて書いています。

また、相手の良さを取り入れる限界は『他の性格タイプの良さを取り入れるのは難しい』において紹介しました。
他の性格タイプの良さを取り入れるのは難しい
にも書いたことですが、

同じ性格タイプのやっていることなら、
「あー、分かる」だとか「あー、それ私もいつのまにかやっている」だとか「それって普通だよね。当たり前だよね」だとか、そういった感想が出てきます。
それは、性格タイプの根源から出ているものが同じだからです。
そういった行為は、半ば無意識に行なっているもので、行なうことにストレスが無いものです。

一方で、
異なる性格タイプのやっていることなら、
「すごいねえ」だとか「あー、取り入れたい」だとか、そういった感想が出てきます。
ただし、それは、自分の性格タイプとは違う根源から出てきている行動なので、それを行なうには意識的に無理をしなければ難しいものです。

こういったことを理解した上で、異なる性格タイプの美質を取り入れることを止めようとは思いません。
ただし、意識的に取り入れるのは結構大変ですよ。
とだけ断っておきます。



話はこれで終わりですが、
関連して、少し書きたい部分が出てきたので、次回に、その話を書きます。

参考
『統合と分裂』などの『エニアグラム用語』はこちら

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