「己を殺して、他人を殺す」(『心の処方箋』から)
昨日の、「親子でお片付け」の記事で、
「みんなの好きな曲を流す」のところ、
「お子さんが好きな曲だけではなく、
お母さんの好きな曲を流す日も作るの、
めっちゃ大事」
的なことを書きましたが、
ここ、本当に大事だと思っています。
ユング心理学の河合隼雄先生の『心の処方箋』に、
こんなエピソードが載っています。
幼いときから他人の言うことをよく聞き、
自分のやりたいことや言いたいことは常に後まわしにして、
「己を殺して」生きてきた女性の話なのですが、
その女性は、「大人しい子」「いい子」という評判ができて、いいところに就職することができたのだけど、
その職場であまり好かれておらず、さらに驚いたことに「勝手者」との評判がたっていて、
なぜかというと、他人から見ると、
みんなが楽しんでいるときに、座が白けるようなことをぱっと言って平気でいるとか、非常に大切な仕事があるのに、早退してしまうなど、やっていることがチグハグ。
その女性に言わせると、
いつも辛抱して生きているので、時にはたまらなくなって、少しぐらい休んだり、息抜きしたりしても当然ではないか、
ということなのだそうで、
つまり、
「己を殺す」と、
殺された自分が、
「他人を殺す」
形で出てくる。
こわ。
めちゃくちゃ小さなことなのですが、
「子どもの好きな曲」を大切にするのと同じように、
「自分の好きな曲」を大切にするの、とっても大事。
「母親になる」って、
特に赤ちゃんを産むときって、
自分の命まるごと、赤ちゃんに貸してあげる行為と思います。
産んでも最初の方は、
自分のやりたいことは一回全部棚上げにして、
自分のエネルギー全部を赤ちゃんに注ぐことが必要で、
それは当然そうなのだと思うのですが、
自分の全部を、一回人のために注ぐフェーズが変わってきたら、
お子さんが成長してきたら、
少しずつ少しずつ、
「自分がやりたいこと」
「自分の好きなこと」
を、自分の人生の中に取り戻していく工夫をするの大事、と思います。
(これ多分、意識しないと難しい)
(「自己犠牲する母親が良い母親」の空気感が強いご家庭や、地域は特に)
「人のため」に生きる時間も必要だけど、
「自分のため」に生きる時間も当然必要で、
というか、これをやっておかないと、
「私が我慢しているんだから、
あなたも我慢しなさい」
になりがちな気が。
でも、実際小さい子を育児中のお母さんだと、
「自分の好きなことを大切にする」
ことが、現実的に(大きなことは)まだ難しかったりするので、
毎日の暮らしの中で無理なくできる小さなこと、
お片付けの時間に、お子さんの好きな曲だけではなく、自分の好きな曲を流す日も設定する、であるとか、
なんなら、
「今日のお味噌汁の具は、
子どもが好きな、わかめではなく、
私が好きな、なめこにしよう」
くらいのレベルからでいいので、
(それで「えー、わかめがよかった」って言われたら、
「あ、そうなの?
お母さん今日、なめこの味噌汁が飲みたかったんだよね。
明日はわかめで作るね」
でOK)
自分を大切にするのが難しい状況にいるお母さん達ほど、
自分を大切にする工夫をするの大事だな、と思っておりました。
(お母さん達だけじゃないですけどね。
ブラック労働している人達にも言えることだし。
日本人は基本的に働くの好きな、根っから真面目な民族なのに、
その民族が悲鳴をあげているということは、
今の労働環境って相当いびつ)
ちなみにうちの母親は、
やりたいことをやり散らかす人で、
「ヨガの大会あるから、インド行ってくるねー」
とかを平気でする人だったので、
子どもとしては、
「あんたも我慢しなさい」
と言われた記憶が1回もなく、すくすく育ちました。
(むしろ、「あんたが我慢して、私のために何かしてくれても、私全然嬉しくないんだけど」と言われた記憶しかない)
(良い母だ)
「自己犠牲」が求められがちな立場にいる人ほど、
自分も生かして、
他人も生かす
工夫をするの大事と思います、というお話でした。
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