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端が好き


箸じゃなく、端が好き!

「残り物には福がある」とはよく聞きますが、「端に福がある」とは聞いたことがありません。

端が好きな人がいまして、
ずっと探していたらしいのですが、昨年の夏の終わりに
大きなマンションの端の部屋をやっと購入出来たらしいのです。
本人から大層嬉しそうな電話をもらったことは覚えていましたが、

端がどうしたのかな?端の部屋が必ず良いとは限らないのにと、余り気にかけていませんでした。

ところが、

その端好きの人の奥様から電話を頂きまして、

「端って、、福があるのでしょうか??」

と。

私が知るはずもないのですが。

子供が2人になり、マンションでも買おうと言い出した奥様に、

端っこの部屋だったら予算に合えば買ってよいとなったらしいのですが、
紹介されたり、知人が薦めてくれたり、
沢山のお話があったらしいのですが、どんなに魅力的な物件でも、端でなければ、内見する前に断っていたとか。

昨年、やっと端部屋を見つけて購入したのですが、2人目のお子さんは、すでに3歳になっていますから、3年間は、端部屋に出会えなかったのでしょう。

奥様のお話では、

昨年マンションを購入してから、

良いことずくめで気持ちが悪いとか。

ご主人は昇格。
なかなか難しい職場ですので、2段階昇格は珍しく、
勿論、お給料もアップします。

そして、奥様ですが、
職場復帰を促されていたのですが、子育てに真剣に取り組むと、外に出て働く意味あるのかと、迷ってらしたのですが、
リモートワークメインで、週に1回のみ出社のスタイルで、復帰したとか。

「あらあら、それは良かったですね!」

ですが、それだけではないのです。

宝くじに、たった1枚だけ、並んでいるとき、万全な端だったので、
後ろに誰も来ませんようにと祈りつつ買った1枚が、ちょっと高額当選したらしく。

30%は各種団体に寄付をされたらしいですが、ご主人の年収分は残ったとか。

「それはラッキーでしたね!」

「気持ち悪く思う必要はありません、昇格は努力が認められたのでしょう、また奥様も同じです、捨てがたい存在なのですよ、会社にとって。
また、宝くじは偶然のラッキーでしょう!」

奥様は、何か言いたくて、口ごもっているようでしたが。

端っこ好きは、思い出してみると学生時代からだったようです。

ロールケーキは端が好き。
巻き寿司は、断然端が好き。
教室では、絶対に端に座り。
3人歩くと、決まって、グーンと建物側に寄って歩いていました。

なぜ端が好きかは、本人にも理由などワカラナイはずで。

新しい住みか、念願のマンションを買って、奥様にすると、インテリアも色々と楽しみたかったようですが、

「一度来ていただけませんか?
お祖母さまのところに、来られた時でも、
一度、来ていただけませんか?」

必ず伺いますと約束して電話を切りましたが、

端好きさんは、
インテリアに、何か端をイメージする何かをセッティングしているようで、それが、奥様には不快な様子。

何故端好きなのでしょう?

カステラは、ザラメが付いてる端が一番美味しい。
図書館で彼を探すのは迷う必要がありませんでした、
グーンと端、館内の端の端に陣取っている決まりでしたから。

端部屋のマンションを買ってから、住むようになってから、ラッキー続き。
ただ、
良いことばかりではなさそうで、奥様は少し、端好き旦那様に辟易としている様子で。

ラッキーの怖さ。

必ず、良いことに当たると、不運が浮上するものですから。

近いうちに、確認してこなければ。私まで気になってしまいました。