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【アウェイ遠征 #2】アウェイ磐田戦の、一夜明けての雑感②

見事な勝利に終わった昨日(2024/4/13)のアウェイ ジュビロ磐田戦、その雑感を「アウェイ磐田戦の、一夜明けての雑感①」という形でXで呟きました。

開幕3連敗と苦しいスタートとなりながらも、以降を4勝1分と立て直し「首位まで勝点5差」と迫り、その首位であるセレッソ大阪を次節のホーム「豊田スタジアム」へと迎えるにあたり、私には否応なしに思い出してしまうあるシチュエーションがありました。

この文章は、そのシチュエーションを中心とした私の超個人的な雑感になります。もしよろしければ、お読みくださいますと嬉しく思います。

2021年3月のグランパス

2021シーズンの3月下旬、グランパスはクラブ新記録となる開幕6連勝を果たし、インターナショナルマッチウィークによる中断期間を迎えました。その期間に活動するSAMURAI BLUEに、グランパスから中谷進之介選手と稲垣祥選手が初選出されるというおまけまでついて、私は嬉し過ぎて顔をほころばせながらプレスリリースを準備したことを覚えています。

そして、東京オリンピックを目指すU-24日本代表には相馬勇紀選手が、パリオリンピックを目指すU-20日本代表には成瀬竣平選手が、U-18日本代表には甲田英將選手と吉田温紀選手が選出され、公式サイトのトップページが代表選出関連のニュースで埋まるという事態も生まれました。

名古屋グランパス 公式サイト

そのような代表選出ラッシュがあるとは露も知りえませんでしたが、シーズンが始まる前からその中断期間に、それまでの戦いぶりをまとめた映像を出そうと決めていました。しかし、開幕6連勝という最高の素材で制作できることになるとは、想像していませんでした。

※後述の試合日程変更に関するプレスリリースの翌日、2021年4月1日に公開。

パンデミック2年目、一年目から続くサッカークラブとしての活動が緊張感あるもので、少し疲弊してしまっていたことは否めませんでしたので、少しホッとすることのできた期間であったように、今思うと感じます。

束の間の春を謳歌していた、そう表現するしかないような多幸感に溢れる状況に、グランパスは在ったように思いますし、私も同様だったように思います。

中断期間に発信したプレスリリース

その中断期間の2021年3月31日に、クラブから試合日程変更のプレスリリースを発信しました。

この2021シーズンは前シーズンに続き、柔軟なスケジュール調整と更新が未だ未だ必要な時期で、その心積りはサポーターの皆さんを含むJリーグに関わる全員が持っていたと思います。

しかし開幕後、グランパスが参加予定であったAFCチャンピオンズリーグがパンデミックの影響で東地区のみスケジュール変更を余儀なくされ、その余波をJリーグが受けることになるまでを念頭に置いていた人は、なかなかいなかったのではないでしょうか。

今考えると、シーズンの始まる前、AFCチャンピオンズリーグを含む全ての外的要因を鑑みJリーグ全体のスケジュールを組んだはずなのに、始まってからはどこかJリーグの範疇でパンデミックへと対応しスケジュール変更すればいい、というような内的要因のみに可変性を矮小化してしまってはいなかったか、そのように感じてしまうのです。

なので、3月上旬にJリーグから「AFCからチャンピオンズリーグ東地区のスケジュールを一旦白紙にするという通達があった」と連絡があった際のグランパス内のその混乱ぶりは、阿鼻叫喚と表現しても差し支えないものだったように思います。

運営担当やチケット担当を中心に、豊田スタジアム関係者や試合開催に関わる全ての関係各所によるご尽力を頂きながら、日程にまつわる調整をJリーグの試合開催と並行して行なった結果が、先述のプレスリリースでした。関係者各位の仕事に、今も頭が上がりません。

そして、6節終了時点の首位「川崎フロンターレ」と2位「名古屋グランパス」が、1戦目は名古屋のホームで、2戦目は川崎のホームで、ゴールデンウィークに連続で対戦するという、超変則的なスケジュールが決定したのでした。

グランパスのためか、Jリーグのためか

この2連戦を聞かされた時、広報内では未だ「このままの順位で迎えることになったらどうしようか」程度の会話しかなかったように記憶しています。本格的にどのように発信しようか議論し始めたのは、中断明けの数戦を終え、首位との関係性に変動がないまま迎えた4月中旬頃だったと思います。

その首位川崎フロンターレとの連戦を約2週間後に控えたインサイドの定例MTGにおいて、煽り映像を出してはどうか、というアイデアが出ました。

パンデミックの影響による観客数制限のため、どのようにプロモーションしても入場料収入を増やせる状況にあったわけではありませんが、首位と2位がホームとアウェイを連続して戦うというこれまで訪れたことのない、そしてまたとないであろう機会を最大化させ、Jリーグ全体を盛り上げてみてはどうか、という考えから出たものでした。

このように書くと、グランパスのファン・サポーターのことを第一に考えていなかったのか、とお叱りの声を頂いてしまうかもしれませんが、置かれていた状況そのもの(2位という順位)によって自ずとグランパスに関わる全員の士気は高まると、その時は考えておりました。

そして、当時のパンデミックによるスポーツへの関心低下を恐れいていた状況下においては、「如何にJリーグそのものを盛り上げるか」へと少し重心を傾けていたことは、決して否定できるものではありません。

それでも、その煽り映像のアイデアは「無し」ということになりました。チームのことを考えての判断でした。

当時のマッシモ フィッカデンティ監督は、その順位に影響されるようなことは全くありませんでした。ただただ一戦一戦にフォーカスしていましたので、翌節以降のその先について監督が言及することはないだろうと広報全員が感じていました。

そして選手たちも、クラブ初の開幕6連勝を達成し、2ヶ月経ってからも首位に肉薄する順位にいる、そんな現実に浮かれることなく集中していることは、普段の練習や取材対応から感じられていました。いつも通り川崎との連戦を迎えよう、という判断を取りました。

そのあとその2連戦が近づいてきて、試合告知バナーをクラブから早めに発信し、その後の試合において勝利を重ねる中、段々と各媒体から注目を集め、記事として報じられる機会も増え、各SNSにおいても話題に挙がることが多くなりました。

そして、Jリーグ公式とDAZNからも「#ライバルウィーク」というゴールデンウィークに関するプロモーションが発表され、名古屋と川崎の2連戦については「首位攻防2連戦」として大々的に発信されました。

自分たちの気持ちとは裏腹に、外堀が埋まるように、その雰囲気が間近に迫ってきているように感じました。

下した決断とその後悔

そのような中で、「煽り映像を出そう」という朝令暮改と言われても致し方ない判断をしました。平常心で2連戦に臨むのではなく、雰囲気を最高潮に高めた上で、2連戦を迎えよう、という判断でした。

実は、その判断に至った詳しい経緯を思い出すことができません。取り巻く空気に流されたのかもしれませんし、未だ私自身が記憶に蓋をしているのかもしれません。ただその時は、それが最善であると判断したのだと思います。

映像内容については、先述の開幕6連勝を振り返る映像を4月1日に発信していたので、試合やプレーに関する映像だけでは内容が似通ってしまうため、選手のインタビューも交え構成することにしました。先述の理由の通り、マッシモ監督にはオファーをかけませんでした。

その取材を通して、私が感じたのは、「思うこと」と「言語化すること」は違う、ということでした。

私は生活において、よくモヤモヤしてしまうのですが、そういった時はランニングをしに外出します。そして走りながらブツブツと独り言を呟き、言語化させます。そうするとスッキリし、モヤモヤが晴れることが多くあるのです。これは言語化の効用の一つだと考えています。

しかし、全てを言語化すれば良いものでもないという考え方もあります。秘めたる思いを自らの中で留めるべきだという人もいますし、「ここぞ」という時に力を発揮させるためにそれまで考えや思いを醸成させた方が良い、という人もいるかと思います。

そのことを、この煽り映像の取材中に選手が言語化している姿を見た時に、まざまざと感じてしまいました。明らかに選手たちの発する言葉は、通常の試合前日インタビューとは異なっていたからです。

各選手ともに、どこか興奮し意気揚々としていて、普段とは異なる言葉遣いでした。パンドラの箱を開けてしまったのではないか、そのように感じてしまいました。

その煽り映像の内容とその反響については、ここで言及することは控えたいと思います。そして映像の構成やコピーが適切なものだったか、については今もなお、判断を下すことはできません。グランパスに関わる皆さんを昂らせることができたかもしれませんし、川崎フロンターレに関わる皆さんを焚きつかせてしまったかもしれません。

その中で、決して頭から離れず、今も考えてしまうのが、その煽り映像の制作過程が、チーム活動に何か影響を与えてしまったのではないか、そのような恐れと後悔です。

未だ整理がついておらず、今も自分に折り合いをつけられていないのが正直なところです。

歴史を上書きしたい

以上が冒頭で書きました「否応なしに思い出してしまうシチュエーション」です。

次節のホーム戦、奇しくも3年前と同じような時期に、首位クラブを豊田スタジアムへと迎え入れることになります。

今季の開幕3連敗のことを思えば、今の戦績と順位に喜んでしまう自分がいて、次節に関してもつい「首位との6ポイントマッチ」や「シーズンを占う分水嶺となる試合」などと考えてしまう自分もいます。

ただ次節が、まだまだシーズンの1/4が終わるに過ぎない「第9節」であることも現実です。なので、先月の柏レイソル戦の試合前と同様、一戦必勝の気持ちでセレッソ大阪戦を迎えたいなと考えています。浮かれることなく、悲観することもなく。

首位とのホーム試合を控え、あの3年前と同じような結果を絶対に迎えたくはない、そう思いこの文章を書きました。私なりの次節へ向けたケジメというか、私的な宣言に過ぎません。

そのような取るに足らない、瑣末な超個人的な文章にも関わらず、 最後までお読みくださったこと、嬉しく思います。ありがとうございました。

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