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【弁護士が解説!】フリーランスが気をつけるべき業務委託契約書のポイント

フリーランスが受注の際に締結する契約書で多いのが「業務委託契約書」ではないでしょうか。今回は、取引先から「業務委託契約書を結びましょう!」と言われた時にチェックすべきポイントを解説します。

業務委託契約書ってどんなもの?

業務委託契約書は、フリーランスが取引先(主に企業)から仕事を受注する際に締結する契約書のタイトルとして多いものです。しかし、その内容は本当に千差万別!

しかし、共通してチェックすべきポイントもあるので、その部分を今回は解説します。

そして、まず契約書を作る前に大切なのが、委託を受ける「業務」の種類です。フリーランスが受託する仕事の場合には、法的には請負か準委任に分類される場合が多いです。

簡単に説明をすると、イラストの作成や、ウェブサイト制作など、何かを作成/制作して納品する場合には請負である場合が多いです。対して、SESの場合や、一定の時間稼働すること自体が業務内容の場合には準委任の場合が多いです。

当然、法的な性質が異なる場合には、契約書で定める内容にも違いが出ますので、しっかり確認をしましょう!

業務契約書に関するトラブル

残念ながら「契約書があれば安心!」と言うわけにはいきません。また、「大きな会社が作った契約書なら安心だよね。」と言うわけではありません。

会社が守ってくれないフリーランスは、むやみに取引先を信用せず、対等な交渉相手として契約書を確認しなければなりません。

上記のように、フリーランスが仕事を受注する際に締結する契約書に多いのが業務委託契約書なので、これに関連するトラブルは多いです。その代表的なものを紹介します。

①想定外の内容まで業務として規定されていた
たとえ業務内容について口頭での合意していたとしても、それと異なる内容が契約書に書かれ、気づかずにサインしてしまったら、基本的には、契約書の内容が優先されてしまいます。

後になって、「口約束と違います」と言っても、契約に書かれた業務を行わないことは、債務不履行となり、最悪の場合、仕事をする側のフリーランスが、取引先に損害賠償金などを支払わなければならなくなります。

②支払いタイミングと条件が想定と違った
納品も終わって、先方チェックも終ったのに30日以上入金がない。慌てて契約書をチェックしたら、支払いを受けるための条件として請求書を出すことが定められていた。請求書を出したら翌月末支払いだと思ったのに、契約書をみたら60日後だった。

こんなことが続いたら、困ってしまいますよね?報酬を支払う側とすると、なるべく支払いは後ろ倒しにしたいものです。不利な条件になっていないかの確認が必要です。

③理由なく中途解約されてしまい、報酬ももらえなかった
イベントの準備を委託されていたが、コロナ禍で取引先からイベントの中止と、契約の解除が通知されたとします。その際に、「イベントが中止になったので、報酬も払いません。」と言われたら、かなり困りますよね。どのような場合に契約が解除でき、解除の際の報酬の支払い条件を定めていないと、起こりうるトラブルです。

業務委託契約書のチェックポイント

秘密保持契約書の記事でも紹介しましたが、法律用語よりも、5W1Hをしっかり確認しましょう。契約書の前に合意していた内容がしっかり反映されているか確認することが大切です。その上で、難しい用語があれば調べたり、取引先に確認しましょう。

契約書をしっかり作るのは、紛争予防のためです。ですので、トラブルになりそうなところがチェックポイントになります。

①業務内容と支払い条件の確認
これが、契約の中心的内容です。
口約束、メールなどでの合意の内容と違っていないか、しっかり確認しましょう。

また、経費の分担も、先に持ち出しがあるような業務の場合、重要になります。

②損害賠償の範囲が広過ぎないか
万が一、業務上ミスをしてしまった場合、最低限の賠償は必要であるものの、例えば「一切の損害」や、「弁護士費用も含む」などの記載がある場合には、想定を大きく上回る賠償義務を負う可能性があります。

フリーランス側としては賠償の範囲や賠償額などの上限を設けるべきでしょう。

③著作権などの知的財産の処理は適切か
仕事を委託する側としては、納品物の権利は全て取得したと思う場合が多いです。逆にフリーランス側としては、他の仕事をできなくなりような条件になっていないかの確認が必要です。

例えば、納品物の全ての著作権を譲渡してしまうと、納品物の中で他の仕事でも使いたい汎用的な部分まで、フリーランスが今後使えなくなってしまいます。

知的財産の処理は、専門用語も多く難しいので、一度は専門家に相談し、自分にあった契約書を作ることがお勧めです。

④解約条件は適切か
トラブル例のところにもあるように、コロナ禍で途中で仕事が亡くなってしまう場合もあるかと思います。そのような場合にも、解除時点まで行った業務に対する対価を支払ってもらうようにするなどの手当が必要です。

⑤契約不適合責任の範囲が広過ぎないか
業務の内容が請負である場合には、納品物に欠陥が見つかった場合に無償で対応する、契約不適合責任、という責任が定められています。この責任を負う期間が長過ぎないか、対応にあまりにお金がかかっても一切請求できないような不利な内容になっていないかの確認が必要です。

また、業務の内容が準委任であるのに、契約不適合責任の記載がある場合が時々あります。そのような場合には、業務の種類が違うので記載を削除し、負う必要のない責任を回避するようにしましょう。

意外と盲点な税金

「契約にかかる税金があるの?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、一定の累計の場合には、契約書を作成する際に印紙税が発生する場合がありますし、報酬から源泉徴収税という税金を支払う必要がある場合もあります。

印紙税については以前若干マニアックな記事を書きました笑。とりあえずは、「請負」形式で仕事をする際に、印紙税が発生するかもしれない、と覚えておいてください。そして朗報なのは、クラウドサインなどの電子契約で契約書を締結すれば、印紙税がかからないということです!

源泉徴収税については長くなるので書きませんが笑、確定申告にも関わるので是非一度確認することをお勧めします。freeeさんの記事がわかりやすかったです。フリーランスの場合は、会社が税金の計算をしてくれないので、自分で知っておく必要があります(自戒を込めて笑)。

まとめ

今回は、業務委託契約書について解説しました。

知的財産の処理や、損害賠償、契約不適合責任など、普段聞き慣れない内容をチェックするのは大変です。是非一度、専門家である弁護士に相談することをお勧めします。何か起こる前の相談がベストです!

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細かい内容は、実際の取引に応じて考えなければなりませんが、共通するポイントについて解説します。


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