仮説1
耳の外周を縁取る部分を耳輪といって、持ち前の無計画さで耳輪の上部から下部に向かって太い針を貫き通そうとしたところで、あれ、なんか自分の耳、普通の人より内に丸まってないなと気付いた。人の耳の形というのは他の部位に比べると個体差が大きい気がして、ふと誰かの耳が目に入るとついジ、と見てしまうし触りたくなってしまう。どうでもいいことだが、耳が目に入る、という字面に一人で笑っている。
思ってたんと違うが、もう針は途中まで刺さってしまっているし引き返せないので、えいやっと貫いた。だいぶ、血が出た。棒が突き刺さった状態の自分の耳を見て、僕の耳って小さいんだなと思った。バーベルの長さが思ったより余っていた。どこかに引っ掛けそうだがそのことに対する恐怖があまりないのは、そこまで痛くないのをもう知っているからだ。