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● 教員若夫婦の新学期

小学校教員のY夫妻は、妻のMが2年間の産休を終え、4月から元の学校に復帰することになり、夫の方は、6年目の転勤となって、今までより近場の小学校に移ることになった。2歳になる息子は、近くの保育園が決まり、機嫌の良い健康な子なので、登園そのものは問題ないのだが、4月8日の大事な始業式・入学式の日は、夫婦そろって6時半には出かけなくては、職場に間に合わない。息子の登園時間は8時半だ。

そこで幼児の祖母が、栄養士として勤務している会社の有給休暇を1日取って、朝の6時前から助けに行くことにしたという。その日は、幼児の方は「ならし保育」とかで、2時間ほど保育園にいるだけで、祖母は迎えに行き、その後は夜に両親が戻るまで、幼児と共に過ごし、夕食も作っておくことになる。

問題は9日から後の土曜日まで、教員2人は毎朝6時半に出かけなくては ならない。祖母は会社に頼んで、朝の2時間を欠勤遅刻にしてもらうことにして、8時半に幼児を保育園に届けてから、会社に行くことにしたのだという。幼児を迎えに行く10時半からは、Y教員の妹で画家のCが、ちょうど在宅画業をしている時期だったので、手を借りることにしたらしいが、絵の方を描き終えたい彼女は、長く続けることはできない。「慣らし保育」は4月15日までだそうで、それまではこの形を続けなくてはならず、Y夫婦は子育てと仕事の両立の難しさを痛感している様子。何か方法はないのだろうか、と聞いていてもどかしい思いがした。

例えば、普段から近所づきあいして親しくしている方があれば、お願いできるかもしれないし、ベビーシッターを探す方法もあるのでは、と思えた。

この話をきいて、私自身は、夫の母と姉に未熟児の双子の世話を任せ、非常勤講師づとめを続けることができたが、3世代同居というのは、日常生活について教わることが多く、良い暮らし方だったのだと、今にしてとても有り難いことだったと思っている。何しろ、中学、高校から大学まで、読書などに明け暮れて、ほとんど家事などしたことがないまま、結婚し、親になったのだから。

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