見出し画像

●質の良い目とは?

半年に1度、眼科の定期検診を受けるようになったのは、「緑内障になる気配がある」と最初に言われた頃から、もう6年目になるが、今回も眼科医に「変わりませんね。あなたはほんとに目の質が良いのですねえ」と、こう言われたのは2度目だ。「メガネをかけて1.5と1.2見えてるし、白内障は大丈夫、緑内障も気にしていた部分が、何も変わりないですね」
「でも、先生、1月から3月初めまでめちゃくちゃたくさん本を読んでたんです。200~300ページ以上のを何十冊も読まなきゃならなくて・・」

昨年秋の受賞のせいで、今年の秋の受賞者を決めるため、私も候補作を挙げるよう、日限を決めて依頼を受けていたのだ。この1年間に発行された作品に限る、という制限付きだった。図書館の助けを借りて、日付を確認できたものから、選んでは読み続けていた。

女先生はいとも軽やかに答えてくれた。
「目は使うほどいいんですよ。脳も元気になりますしね」

そうなんだ、と驚きついでに、気にしていた言葉の意味を尋ねてみた。
「先生、目の質が良いというのは、どういうことですか?」
「それは、よく見えてるってことです。実際、あなたは見えてるでしょ」

なんだ、それだけのことか!
「時々、メガネを忘れてかけないまま出かけても、平気でした」
「ほらね、それがよく見えている、ってことでしょ」

「今度の予約は1年後にしましょうか?」と先生。
この提案も、毎年のように言われているが、私はすぐに答えた。
「やっぱり半年ごとがいいです。年が年だし、何があるかわからないし」
と、また半年後に決めてもらった。

老年になって、こんな会話をするようになるとは、実に予想外に思える。 というのは、小学校を卒業する頃、私に予言をした同級生があったのだ。
「いつ見ても本ばっか読んでいて、ぜったい、目が悪くなるよ。見えなく なっても知らないよ」などと言ったのだ。

そんなのわからないのに、と反撥したかったけど、何も言えず、ノートの
1部を切り取って「○○ちゃんが、こう言った・・」と言葉通りにメモして、その紙をずっと残してあった。きっと今でも探せば出てくるだろう。

耳の方も今のところ、よく聞こえているのも有り難いこと。本態性低血圧と言われて、ほんとに長く不調感があったのに、70代終わり頃から、上が 90から100を越えるようになって、元気を得ているが、それとも関係があるのかも・・。人生は生きてみなくてはわからないもの、ってほんとに
そうなんだ、と実感している。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?