見出し画像

医師6年目で女性起業家となった理由、医療現場で改善されない課題1

初期研修医を終えて東京に戻ってきた私は、「予防医療の専門家」としての道をスタートしました。

内科医として専門外来も始まり、生活習慣病や肥満症の専門治療に携わりつつ、遺伝医療を臨床応用する際の障壁となっている倫理的問題にも引き続き取り組み、現在に至ります。


初期研修医の終わり頃からはNPO団体での活動も開始し

国内初の医療従事者を介した遺伝子検査
「Green Chord(グリーンコード)の開発にも携わりました。

現在も遺伝子検査を利用した予防医療の普及啓蒙や、医療従事者への勉強会、遺伝子異常が見つかった際のフォローアップの体制作りなどを行っています。


日本は米国と比較して「自分の遺伝情報を知る」ことに対して消極的かつ否定的な意見が多く、遺伝医学の教育も進んでいないためリテラシーの低い医療従事者もとても多いです。

特に、遺伝要因と環境要因で発症する多くの病気(多因子疾患)については遺伝学的検査はあくまでリスク判定にとどまるため、占いのような位置付けにされてしまうこともあります。


しかし、予防医療の専門家として日々診療していると
自分の疾患リスクを知って早期から予防行動を起こすことこそ、今後最も重視すべき課題であると強く感じます。

また、技術的に全ゲノム解析が可能となったもののデータの解釈が追いついておらず、未発症の遺伝性疾患に対する取り扱いなども大きな課題になっています。

まだまだ難しい課題が山積みの領域ですが
一つ一つの病気に対して議論し考えていくことで

遺伝医療を普及させ、米国のように「Genome First(ゲノムファースト)」の医療を日本でも行えるように今後も活動していきたいと思います。


私が自身の経験から抱いてきた「出生前診断は究極の予防医療」という思想が受け入れられ、医療業界に浸透するまでにはまだまだ多くの年月がかかりそうです。


しかし、綺麗事で誤魔化すことによって大衆の思考を停止させ、カウンセラーによってさらなる情報格差が生じることで

今後誕生する苦しまなくてもよいはずの子孫が不本意に誕生していく現状を

まだマイノリティと受け取られてしまう思想であっても
私は情報を発信し続けようと思っています。


「百聞は一見に如かず」ならぬ、「百見は一体験に如かず」です。

遺伝診療経験の豊富な医師・遺伝カウンセラーにも見えていない世界があります。それは、当事者でなければ想像すらできない世界です。

医師かつ遺伝病患者である私の世界観を少しずつ広めていくことで、遺伝医療業界がより良いものへ変化していくことを切に願います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?