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連載7・タロットの絵柄は古代エジプトの叡智?

17世紀以降、
フランスで大量生産されるようになって
ゲームとして一般市民の間に広まった
タロットは

18世紀になって見方が変わりはじめました。

きっかけは
フランスのジェブランという作家が

「タロットの絵柄は
かのクレオパトラですら通ったといわれる
古代エジプトのアレクサンドリア図書館に
収まっていた英知をが表わしている」と
言い出したことでした。

今まで(の連載記事の中で)タロットの歴史として
イタリア、トルコ、モンゴル、中国について
触れてきたけれど

(連載記事5:タロットと麻雀)
https://note.com/energy_tarot/n/n5607aaf14c5f

(連載記事6:トランプとタロット)
https://note.com/energy_tarot/n/nd050a7cfe375

一体どこからエジプトが出てきたの!?と
唐突なアイディアだと思いませんでした?

でもこのジェブランの説には
ちゃんと、当時の社会的背景があります。
 
時は少し遡った17世紀、
イギリスの科学者ニュートンや
フランスの哲学者ベーコンによって
ヨーロッパは
客観的に観察して、論理的に考える
「科学の時代」に突入しました。

それが18世紀の社会に影響を及ぼして

人々は、それまで
キリスト教や封建社会のような
支配者がいることを当たり前としていた
社会システムに疑問を持ちはじめて

きちんと論理的に
人生と自分のことについて考えて、
自主的に行動に移すことを美徳とする
「啓蒙の時代」になったのです。

”啓蒙”という言葉は
いろんな物事の真実の在り方を知って、
「無知から有知になる」という意味です。

だから18世紀、
貧困に苦しんでいたフランスの国民は
「こんな苦しい生き方は人の在り方じゃない!」と
気づいて

フランス人としてのルーツを見直して
人としての自由を追求していきたい、
と考えるようになりました。

そして
当時、ヨーロッパ全体で流行していた
 「エジプトフィーバー」の波に則って

フランスの文化の原点も
古く尊い神聖なエジプトにある、
と結論づけて、

タロットカードを含めた
フランスにあるあらゆるものを
何でもかんでもエジブト起源と言い出すことによって、
絶対王政の社会に反する理由にしました。

つまり、
啓蒙思想から影響を受けた
「フランスのありとあらゆるものはエジプト発祥」説は
結局のところ大義名分になり

絶対王政を廃止する
フランス革命にもつながっていったので

あながちタロットもエジプト説というアイディアも
特別突拍子ない。。。という訳ではなかったのです。

ジェブランも研究熱心だったので
かなり緻密にマルセイユタロットを研究して
「だからエジプト発祥なんだ!」説を
詳細に書き残していますよ。

(それが彼の思い込みなのか、
歴史的に正確なのかは横に置いといて。。。)


参考文献:
「Du Jeu des Tarots et Recherches Sur les Tarots: From Monde Primitif Vol. 8 (English Edition)」by Evalyne Hall (2017)

「Du Jeu des Tarots」 by Antoine Court de Gébelin (1781)

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タロットを本質から知る連載、続きます😃♪

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