見出し画像

洗練させたいという欲求 -Refine-

より良いモノにする、改善する。make it better…
確かにそう思っているけれど、今のわたしの脳ミソくんは違うと言う。

洗練・洗煉… 
物を洗ったり練ったりして仕上げるように、文章や人格などを練りきたえて優雅・高尚にすること。磨きをかけて、垢抜けしたものにすること。だと。
英語なら、refinement、refine、refinedとなるのか。

文章や人格、品質、方法など、余分なモノを削ぎ落とし、より良い状態へ垢抜けさせる… そう、そんな感じ。

洗練された文章… noterさんたちに多いよね、尊敬。
着こなしが洗練されている、洗練された人、デザイン、インテリア、空間、資料、手法… 考えてみたらいろいろあるな。

関西なら"シュッとしてる"… オノマトペで通じると思う。。。w

私物のマネークリップ財布

約4年と少しの間、使ってきた過去に自作したマネークリップ財布。
独学での手縫いを初め一年半程経った頃、タンニン鞣しのイタリアンレザー ブルー、総裏貼りで製作したモノ。
オイルを含んだ革の艶が増し、徐々にブルーから濃いネイビーに経年変化エイジングしてきた。

-Full Vegetable Tanning Leather-
イタリアンレザー ブルーから経年変化

使用状態の変化を見ながら、ほぼメインの財布として使い続けてきた。
いつもズボンの前ポケットにぶっ込み、故意にぞんざいに扱い続けてきた。皆様は、財布を優しく撫で撫でして可愛がっておられますか?

過去のカタチ、現在はこの革のみで作ることはない。コバは2回ほど磨き直したが、フランス製のワックスリネン糸は擦り切れることもなく、まだ問題なく使える… が、そろそろ引退させてやろうかと。

今までありがとう… 君のことは忘れない
No te olvidaré, seguro… quizás… posiblemente…

正直、使い飽きた。。。


一言では伝えにくい、革の仕上げ、質感の違い

天然皮革、元は動物の皮…
材料革のタンナーはイタリア、フランス、ベルギーなどであっても、元々の原皮はフランス生まれ育ちの牛さんが多いかな… スイス産もあるな…
各タンナーの扱う原皮も違えば、製法や仕上げも違い、質感も違う。

それらの質や、繊維密度の違い、繊維の方向などにもより、コチラの都合を聞いてくれないこともある。
何でそうなっちゃうかなぁ〜… やんなっちゃう…と思いながらも最良の道を探るしかないのよね。

経験上のロジックは置いといて… ここを変えて、こうやれば、こうなるのではないか?と仮説を立て、少し変更した方法で理想に近づくこともあるので、固執せず幅広く考える、アイデアを持つことが大事かと。

-Conceria WALPIER- イタリア ワルピエ社 
床面(革の裏面)には、ロゴと革のサイズを表すデシ印
-Conceria 800-  イタリア オットチェント社  
首から背中の中心辺りにある深い皺(トラ皺)部分のアップ画像
-SAKAMOTO corp.- 日本 坂本商店
"鞣しの技術"と"漆塗りの技術"を融合させた革


今回は3種類の革を使い、テストを兼ねて財布を作ることにした。
わたし好みに、好きに仕上げる。
テストと言いつつ… もう、自分で使う気満々だから。。。

1点だけ不安要素がある… 課題であり、それを攻略しておきたい。


製作風景

形状は、わたしデザインのマネークリップ財布で作り慣れてはいる。
ただ今回の3種類の革を併せて作った事はない。微妙な違いと質感をコントロールするため、厚みなどその他少し変更。

オモテに使うと決めていた革 "黒桟革" 色は黒。
黒桟革は、ひとつ前の記事で紹介した国際的な展示会、パリ、香港、日本でも色々な賞を獲った経験をお持ちの坂本商店さんが創り出す革。

下準備は終わり、いつになく真剣モード
カメラ目線はもういいので… 退いてくれないかしら…
黒桟革、原皮は国産黒毛和牛 100%
たまにはこの牛さんの肉が食べたい…

この革を見ると、ふと"ゴジラ"を思い出す。
でもゴジラの皮膚って、改めて見ると野菜のゴーヤっぽい… 個人の主観。

内装に使う革は、2つタンナーの植物タンニン鞣しイタリアンレザー 。
Consorzio Vera Pelle Italiana Conciata al Vegetaleイタリア植物タンニン鞣し革協会に認証を受け、定められた基準にて製造されている。
(Conceria 800は協会に属していないが、バケッタ製法で生産している)

内装のオモテ面に使う、ハリとコシを強く感じる革、色はブラウン
硬めでハリがあり、床面も締まった質の有名なイタリアのタンナーの革。
カードポケットなど一枚革で使用する方も多いかと。わたしもたまに。

ウラ面にはコシがありしなやかな質感のイタリアンレザー 、色はボルドー
今回裏貼りのみに使用、仕上がると見えないので、まぁ、何色でもいい…
ご家庭にあるお好きな色を使っていただいて構いません…な感じ。w

ブラウン&ボルドー
カードポケットのウラにボルドーの革を貼る
コバ(切った革の端)は水性コバ仕上げ剤を使用、そして乾燥中
接着する箇所の準備
カード段となるポケットのオモテ&ウラ
"玉捻"という化粧ラインを入れる道具
一度、捻を引いた後だけど…
玉捻を少し火で炙って温めた熱で、焼き締めしつつラインを入れる
ワックスリネン糸 色はバーガンディー
カードポケットを組み立て手縫い
黒桟革で、マンタをイメージしています…
たまに嘘つきます…
組み立てて最終カットのラインを入れた
空腹からか? チョコレートに見えた… ベルギー ブリュッセルにまた行きたい…
縫った横、縦サイドの捻の引き忘れ発覚…
後に、しれっと入れて無問題
最大の難関… 不安要素と課題の目打ち…
(穴の見える角度を探して撮影)
ズレないように、めちゃめちゃ慎重に穴のマーキング…マジで穴が見えづらい…
この後、四方の穴全てを菱ギリで貫通させねばならない。
難関をクリアし緊張から解放… 手縫いしていく
綺麗に縫えてホッとする
縫うたら終わりとちゃうねんで…まだ終わっとらへんで
四方のコバを仕上げて行く、乾燥 その1
その2  乾燥したら磨き、再度、上、下、左右の面に塗っては乾燥させ仕上げる
難関を乗り越え、ご機嫌パーリィ状態が続いていた
最終最後、クリップ部分の目打ち&手縫いもクリアして全て終了


久しぶりに創った"自分のマネークリップ財布"

オモテに使った黒桟革は、海外でも高く評価される唯一無二の革、独創的な表現と高い技術、もちろん価格にも比例する… 全て受注生産。
そして手縫いには少し手厳しい難関がある。。。

漆が塗り重ねられた吟面の高いシボの凹凸にて、わたしの使うヨーロッパ目打ちであける穴が非常に見えづらい…  今回行った正攻法以外に、他の方法もあるが長くなるので割愛する。

課題をクリア出来て良かったが、"一定条件"も今の所あり、この先いくつか良い策を見つけたい…
内装の質感調整も試したが、ほぼ理想的で使い勝手は良いかと。

仕上がりまして、この革の撮影は下手っぴのわたしにはムズい…
俯瞰での内装
上から
コバ面も綺麗に仕上げ
久々に手持ちのユーロ札を挟んでみる
50ユーロの方が革と色が合うので、ちょっと色写りがいいかと…
やはり撮影はムズい…


最近、外国為替相場でユーロも上昇傾向にあり今現在1ユーロ163円台。
手持ちたった100ユーロほどしか持っていないが、円に両替するなら今の内かと考えてしまう… 貧乏人の余談でした。w

今回初めての組み合わせで、わたしの好きなようにつくってみた。
世界中にいろんな種類の革があるが、鞄、小物、靴、洋服などに分ければ、形成上、使用上の理由で向き、不向きもある。

以前のモノとはまた違うタイプになり、どう経年変化していくのか? 
洗練された印象を与えるプロフェッショナルなモノづくり… それを考えると課題は幾らでも出てくるし、ゴールはまだ遠い… というか、無いか。

"シュッとさせたい"という思いが募るばかり。。。

ではまた、¡Hasta luego!




この記事が参加している募集

私の作品紹介

つくってみた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?