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「わたし(のある日)を交換する」レポート

2023年2月25日夜・26日朝に、三軒茶屋の本屋・ギャラリーtwililightさんにておこなった
演劇ワークショップ「わたし(のある日)を交換する」の開催レポートをお届けいたします。
※両日ともプログラム内容は同じです。

演劇ワークショップ「わたし(のある日)を交換する」

このワークショップは演劇経験に関係なく参加していただくもので、
自分で日記を書いたり、人の日記を読んだりして思ったことをお話ししたり、ある日の日記を元に、演劇をつくってみたり。
あつまった皆さんで、自分を見つめるいろいろな実験を一緒にやってみる企画です。

プログラム

<みんなのことを知る>
まずは自己紹介。

その人のカテゴリは関係なく、みんなのことを知りたかったので、今の体調(気分)や今日何時に起きたなど、その人のことを近くに感じられるような一言を添えてもらいました。

<今の自分を表現して遊んでみる>
一枚のコピー用紙をつかって「今の自分」を表現してみました。
やぶっても折っても、なんでもOK。そして会場のどこかに置いてもらいます。置く場所にも意味を考えてもらいました。

まずは2人1組になり、パートナーへ「自分のつくったもの」の紹介・説明をします。
そして、次にみんなの前で「パートナーのつくったもの」の説明を披露してみます!

本人の説明を完璧に発表しましょう、というルールはありません。
ただ、相手の表現したかったことやその気持ちを大切に思い出しながら、発表してもらいました。なかなかみんな苦戦しながらも、その人のことを想像して、説明してくれました。

<みんなの日記を読んでみる>
会場のあちこちに置いたみなさんの日記を、展示を見るかのようにながめました。
それぞれの1日に入り込み、ときにはクスッと笑いながら幸せな時間だったな〜。

そして、気になった日記をひとつ持ってきて、惹かれた文章やなぜそれを選んだかなど、自由に話しました。書かれていた文章への共感や、認識の違いなどたくさんの感じたことを話しました。
その日記を選んだ人と、書いた本人との対話もとても優しくて、心温まる場面が多くありました。

<だれか(のある日)を演じてみる>
日記を書いた本人と選んだ人が重ならないようにうまく2人1組になってもらい、自分が選んだ日記をついに”演じて”みます!
演じるといっても、人前に立ってなにかを発表すれば、それは”演じる”なのです!
だから気を張りすぎずで大丈夫。
気に入ったフレーズだけ演じたり、日記を朗読したり、自由に考えてもらいます。2人で協力して演じ、場所もそれぞれで選んでもらいます。
どのコンビも楽しそうに苦戦していました…!どの部分を演劇にするのか、セリフを言うのか、状況の説明をするのか、どんな動きだったら伝わるのか…などそれぞれが、あの人(のある日)を想像しながら組み立てていきました。

そしてついに発表!
みんなかなり緊張しながら観客の前に立ちます。
演劇未経験の企画担当・梅迫も演じてみましたが、その人の1日に入り込む感覚がとても楽しかったです。
でもなにより、自分の日記を別の人が演じてくれているときのくすぐったさが本当によくて…!
自分のなにげない1日をだれかが大切に想像して、演劇として組み立てて、実際に演じてくれることのうれしさがすごかったです。自分のことなのに、スッと自分から離れて客観的に見ることができる体験も良かったな。
なにげない1日をじっくり観察していくことの豊かさを感じました。

<感想を言ってみる>
すべてのプログラムを終えて、みなさんの自由な感想をお聞きしました。
人の日記なのに、自分が経験したかのように共感できたことや、それをきっかけに救われるよね〜なんて話もありました。
自分の過ぎていく毎日をだれかが大切に扱ってくれることの優しさを感じたり、日々の生活を愛おしむことができるねという声もあり、ワークショップ中のどの時間を思い出しても、心温まる場面ばかりでした。

1回2時間の開催ということもあり、かなり名残惜しくイベントは終了となりましたが、はじめてお会いした方がほとんどなのに、妙な一体感がありました。
それは強制力や勢いみたいなものは持ち合わせずに、おだやかにみんなのことを大切に思えた時間でした。
う〜またみんなに会いたい。

(レポート文:梅迫 写真:石原)


企画者より


有吉宣人
夜の回はより自分や目の前の相手に向き合って、丁寧に言葉で探る時間。朝の回はより静かな雰囲気の中で少しずつ混ざり合って、最後はハグし合いたくなるような時間。あつまったかたが持つ力や、場の積み上がり方が、それぞれ違いとてもよくて、最後は必ず、ふしぎな一体感がありました。
みなさんが日記というごく個人的なものを場に差し出してくれたことが、何よりの始まりでした。本当にありがとうございました。
またtwililightさんや、別の土地や場所でも続けていきたいと思っています。今回会えたみなさんとも、まだお会いしたことがない方々とも、会いたいです。

石原朋香
わたしは俳優をやっているので、セリフを覚えて…決めた通りにきちっと動いて…というプロセスの「演劇」もやるのですが、今回ワークショップは、かたちではなく、心の部分で「演劇」だ!って感じられるものをやりたかったです。
いろんなひとの日記の言葉に触れて、心の浅いところから深いところまでまんべんなく振動する感じがしました。無理やり何かを成そうとしなくても、日々の中にドキッと/ほろっと/ふわっと…することがあるし、そんな日々をもっと知るために「演劇」を使えるんだなと実感します。
みんなの言葉の力強さ繊細さや、本屋さんという場のちからに触発されて、もっと文章を書こうと思いました!
ありがとうございました。また出会いに行きます!

星野文月
名前も、年齢も職業も知らない、はじめましての人のことをいっぱい考えて、たくさん想像して、自分なりのやり方で演じてみる。そんな時間がすごくやさしくて、みんなと同じ空間にいるだけでいつも胸がいっぱいになります。
「わたしはあなたのことを今すごく考えているよ」という切実なやさしさを、たくさん見せてもらった大切な時間でした。
また場所を変えて開催します、きっとまた会いたいです。

梅迫菜摘
今回も本当にたのしかったです!
プログラム自体はシンプルで、これをやってどんな気持ちになるんだろう?と思うかもしれません。でもやってみると感じるものがたくさんあって、その感情はこれからも生きて行く上で、自分や周りの人を大切にできる、大きなヒントなのかもなって思いました。
そしてそれを感じられる自分が、好きになれる時間でした。
完成形はなくて、これからも参加してくれるみなさんと実験しながら、楽しく続けていきたいと思います!

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