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シチリアの美術館で見たカラヴァッジョの迫力作品【#お気に入りの美術館】

コロナ前に実行していた「カラヴァッジョ作品を見る旅」。

そのとき訪れたシチリアのメッシーナ州立美術館が、私の「#お気に入りの美術館」になりました。

◆メッシーナとは?

メッシーナ駅

メッシーナは、シチリア島の東部にある都市です。イタリア本土からは、なんと鉄道で行けます!

列車ごとフェリーに乗って、海を渡れるのです。

私たち夫婦はローマから寝台列車に乗り、明け方、メッシーナに着きました。

フェリーから見た朝のシチリア島は、忘れられない景色のひとつです。

朝のシチリア島(のはず)
…もしかしたらイタリア本土かも…

メッシーナは、前8世紀にギリシア人が港町を建設。海洋交通の要所となり、国際都市として繁栄していました。

しかし、1783年と1908年の大地震で大きな被害を受け、徐々に衰退。さらに第二次世界大戦でも爆撃され、残念ながら、今は少し寂れた雰囲気が漂う地方都市になっています。

◆メッシーナ州立美術館

地震や戦争などで歴史的建造物が破壊され、観光地としての魅力も少なくなっているメッシーナですが、とても大きな宝物があります。

それが、カラヴァッジョの大作2点です。

作品は、州立の美術館、Museo Regionale Interdisciplinare di Messinaで見ることができます。

◆震える傑作

カラヴァッジョ《ラザロの復活》(1609)メッシーナ州立美術館

カラヴァッジョ作品、1点目は、《ラザロの復活》

サイズもすごくて、「380 cm × 275 cm」もある迫力の大作です。はじめて見たとき、感激して震えました。

キリストが墓の前で呼びかけると、死去して4日たっていたのに生き返ったというラザロ。

よみがえったラザロの肉体描写が、妙にリアルです。

キリストの背後から射す光の神々しさにも震えました。

カラヴァッジョ《羊飼いの礼拝》(1608-9)メッシーナ州立美術館

もうひとつは、《羊飼いの礼拝》(1608-9、315×211cm)。

出産直後の聖母が幼子イエスを抱き、座っています。聖母を地面に座らせることで、「謙虚さ」を表しているそうです。

◆ほぼ貸し切りでした

私たちがこの美術館を訪れたのは、真夏の日曜日。

朝、メッシーナ駅に着き、ホテルに荷物を預けてからトラムに乗り、朝イチで入場しました。

ほかに来場者もいなくて、受付のおじさんに「早いね。どこから来たの?」と驚かれたほど。

作品を見始めてからも、誰もいないので、監視スタッフのお兄さんが専属?で私たちに付きっ切り。

でも、カラヴァッジョの展示室では、あまりに私たちが長く滞在したので、途中でお兄さんもいなくなってしまいました。

ほぼ貸し切りで「推し画家」の傑作をじっくり堪能でき、とても幸せな時間でした。

なお、この美術館には、ルネサンス期に活躍したメッシーナ出身の画家、アントネロ・ダ・メッシーナの作品や、考古学の展示品もあります。

遠いし、もう二度と行けないかもしれませんが、本当にすばらしい美術館でした。

#お気に入りの美術館





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