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タイトルに惹かれた美術展(3)「美術館の悪ものたち」

タイトルに惹かれた展覧会、3つ目は国立西洋美術館の版画素描展示室で開催中の「美術館の悪(わる)ものたち」です。


◆ちょっと攻めてるタイトル&ポスター

国立西洋美術館の小企画展、最近、おもしろいな〜と思います。この前の指輪展もよかったですし、今回も個性的です。

まず、タイトル。「悪もの」ってコトバ、ちょっと愛嬌も感じられて、興味をそそられます。

さらに、ポスターがイイです! このポスターを一度でも見たら、きっと多くの人が展示室をのぞいてみたくなるはずです。

◆「悪ものたち」の正体は…

美術館にいる「悪ものたち」の正体は、作品に描かれている悪魔や魔女、怪物、変な動物、死(の象徴)、若い女好きの中年男性などなど。

キリストを裏切るユダや、洗礼者ヨハネの首を持つサロメ、男を破滅させるファムファタル(運命の女)が登場する作品もありました。

作家たちもゴージャスです。

デューラーやクラーナハなどルネサンスから、ルーベンス、ゴヤなど近代までカバー。版画が中心ですが、油彩画等も数点見られます。

◆お気に入りの作品は…

今回の一枚は、やはりポスターに使われた作品、アルフレート・クビーン『死の舞踏』:(2)死の仮面です。あの、ニヤリとした「悪もの」の顔が頭から離れません。

この作家、Alfred Kubin(1877年 - 1959年)について、調べてみました。

彼は、ボヘミア生まれの画家・小説家。ミュンヘンの美術学校で学び、ゴヤ、アンソール、ムンク、クリンガーなどに影響を受けます。

その後、オーストリアに移住。ドイツ表現主義の芸術家グループ「青騎士」に参加したり、ホフマンやポーなどの小説の挿絵を描いたり、彼自身も小説を出版するなど多方面で活躍します。

しかし、ヒトラーの時代になると、彼の作品は「退廃芸術」の烙印を押されてしまいます。最期はオーストリアで亡くなりました。

没後は再評価され、レンバッハハウス美術館など主にドイツ語圏内の美術館でさまざまな展覧会が開かれています。

◆英語解説は…

どの解説にも英語訳がありました。さすが西洋美術館!

今回は、公式サイトの英語版から、「悪ものたち」の魅力を感じる一部を引用します。

While we are meant to shun these villains, and not just those in human guise, their richly individualistic, at times comical, appearance in pictures fascinate us, often more so than those of the worthy, angels, or saints. Surely, in these depictions of villains we can sense and enjoy each artist’s flights of fancy.

辞書を引いた単語は、shun「避ける、遠ざける」。

「悪もの」を見るのも楽しいですけど、きっと描くのも楽しいんでしょうね。

#美術展
#英語がすき


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