タイトルに惹かれた美術展(4)「植物と歩く」
タイトルに惹かれた展覧会、4つ目はすでに終了した展覧会「植物と歩く」(練馬区立美術館)です。
◆通好みのタイトル
「植物と歩く」、とってもワクワクするタイトルです。展覧会らしくない名ですが、朝ドラ『らんまん』ファンで、植物画が好きで、牧野博士と練馬区のご縁をご存知の方なら、めちゃくちゃ期待感が高まる、通好みのタイトルです。
展示作品は、牧野博士の植物図や標本、植物がテーマの作品、美術館が所蔵する作品、彫刻などなど。
私の大好きな木彫作家、須田悦弘さんが牧野博士の植物標本を題材に制作した作品や、2022年にRHS(英国王立園芸協会)Botanical art and Photography Showでゴールドメダルと審査員特別賞を受賞された倉科光子さんの作品もあり、植物好きにはたまらない内容です。
◆衝撃の美しさ
牧野博士の植物図、プリントされた図鑑などは見たことがありましたが、今回展示されていた石版印刷の作品は初めて拝見。まさに息を呑む美しさで、衝撃を受けました。
植物の各パーツの配置、迷いのない線、色彩のグラデーションなど、あれほど美しく、植物学的にも正確な作品を生み出せるなんて、本当に驚きです。
草花が好きで、十数年前から植物画を習っていますが、プロの先生に長年教わっていても牧野博士の足元にも及びませんし、たぶん私の先生でさえも、あれほどの植物画は描けないと思います。
絵も学問も独学で極められた牧野博士。だからこそ、ドラマにもなるんですね。
◆ずっと見たかった作品
また、今回の展覧会で、ずっと見てみたかった作品に合うことができました。
倉科光子さんのツナミプランツです。
倉科さんは、東日本大震災の津波の後に姿を現した東北地方沿岸の植物を描き続け、ツナミプランツとして発表。作品は世界でも高く評価され、先述したようにボタニカルアートで世界的に権威のある賞を取られました。
久慈市や南相馬市などに足を運ばれ、取材を重ねたうえで描かれた作品は、植物の生命力と順応力が伝わり、希望も感じられます。
作品に説得力があるだけでなく、絵そのものも美しいのです。色彩はマットな質感で、でも透明感もあり、自分が今まで見てきたボタニカルアートとは少し違う、独特の美しいニュアンスがありました。
◆英語解説は…
本展の解説に英語訳はありませんでした。
今回は、英国王立園芸協会(RHS)の公式サイトから、ツナミプランツの解説を一部引用します。
RHSのボタニカルアートコンクール、いつか挑戦したいと思っていましたが、倉科さんの作品を目の当たりにしたら、とても自分のレベルでは応募できない…と思い知らされました。
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