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展覧会レポ:「フローラとファウナ」で見た牧野富太郎の美しい図鑑@東洋文庫ミュージアム

東洋文庫ミュージアムで、企画展「フローラとファウナ 動植物誌の東西交流」を見ました。

シーボルト来日200年を記念して、彼の著作や東洋文庫所蔵のコレクションを紹介している企画展です。

◆東洋文庫ミュージアムの美しい本棚

東洋文庫といえば、まずはこの展示室。圧巻の本棚です。

モリソン書庫

まるでプロジェクションマッピングのような景色ですが、すべて本物。いつ見ても、圧倒されます。

モリソン書庫とは、オーストラリア人ジャーナリストのG.E.モリソン(186-1920)が集めた約2万4千冊の書籍で、三菱第3代当主が一括で買い上げたそうです。

うれしいことに、この本棚の景色を愛でることができる椅子も置いてあります。ずっと座って眺めていたくなる、居心地のいい空間です。

もちろん、しっかりと本や文献も展示紹介されています。

例えば、『シーボルトの植物リスト』は、植物をまとめたシーボルトの手書きのメモ。押し花状の植物も、はさまれているそうです。

NHKの朝ドラ『らんまん』でも、押し花標本をつくっている場面がありました。植物学のリアルが伝わる資料です。

◆「フローラとファウナ」の美しい図鑑

企画展図録

さて、本題の「フローラとファウナ」。訳すと「植物誌と動物誌」になるかと思います。

私はボタニカルアートファンなので、今回のお目当ては、ヨーロッパの彩色図鑑です。

約150点の図版で植物を紹介したシーボルトの集大成『日本植物誌』(シーボルト 1835-70年 ライデン)
ダーウィンの友人であるイギリスの植物学者、J.D.フッカーの著作『シッキム・ヒマラヤのツツジ属』(1849-51年 ロンドン刊)
イギリス王室に献上されたという豪華な本『蘭アルバム』(R.ワーナー、B.S.ウィリアムズ 1882-97年 ロンドン刊)

額装された形で見るボタニカルアートも悪くないですが、重厚な本の一部として見るのも、また格別な味わいがあります。

◆牧野富太郎の美しい図鑑

牧野富太郎が手がけた植物図鑑もありました。

左:牧野富太郎『新撰日本植物図説』(1899-1903年)、右:『日本植物志図篇』(1888-1891年)

『日本植物志図篇』は、自費出版された本。シンプルな線画がとても美しいです。本書は、植物図鑑のルーツとみなされているそうです。

いっぽう、『新撰日本植物図説』は、日本植物学の情報を世界に発表するために刊行された植物図鑑。

解説によると、当時、生活が困窮していた牧野博士は、この本の売上によって窮地を脱したいと考えていたそうです。しかし、残念ながら、すぐ休刊になってしまったようです。

ちなみに、東洋文庫の創設者である岩﨑久彌は土佐出身。お父上は、三菱の創業者、岩﨑彌太郎です。

牧野富太郎も土佐の人。牧野博士が若いころ窮地に陥ったとき、同郷のよしみで岩﨑彌太郎が援助した……というエピソードが1階の展示室で紹介されていました。

◆英語解説100%

東洋文庫ミュージアムでは、すべての解説に英語が併記されていました。さすが知の宝庫。

今回は、牧野博士の『日本植物志図篇』の解説から、一部をご紹介します。

The book was self-published with the goal of raising the level of botanical knowledge in Japan by combining modern botanical knowledge with previously known information and using detailed plant illustrations to make the content easier to understand.

「フローラとファウナ」展、『日本植物志図篇』の英語解説より、一部引用

朝ドラでも、いずれ牧野博士の図鑑が登場すると思います。今後の展開が楽しみです。

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