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キューブラー・ロスで学ぶ英語『Life Lessons』

今月はエリザベス・キューブラー・ロスの『Life Lessons』という洋書を読んでました。

キューブラー・ロスはスイス生まれの精神科医で、とくに死と喪失に関する研究で有名です。

代表作は『死ぬ瞬間』など。日本でもベストセラーかつロングセラーになってる。

彼女の晩年の名著が本作『Life Lessons』。共著者のデイヴィッド・ケスラーはホスピスケアのリーダー的存在。

人生を学ぶべきレッスンと捉えるふたりが、14のテーマについて考察を重ねていく本です。

14のテーマは以下の通り。

・Authenticity(訳しにくいが、偽っていないことの意)
・Love
・Relationships
・Loss
・Power
・Guilt
・Time
・Fear
・Anger
・Play
・Patience
・Surrender
・Forgiveness
・Happiness

文章はかなり読みやすいです。ただし医学用語が頻出します。精神医学だけでなく、外科や内科の専門用語も容赦なく登場。

とはいえそれらの用語を読み飛ばしても、大意をつかむのは容易です。

いくつかのパラグラフを読んでみましょう。

まず「怖れ」の章からひとつ。

If you're afraid to speak to people at social or business gatherings because you don't know them, remember that most of the other people are in the same situation. They don't know everyone present, they're afraid no one will want to speak to them, some of them would rather sneak out and go home. Remind yourself that they would like to be treated with compassion, just as you would. Having compassion for them takes you out of your fear. You'll find you are able to approach people more easily if you have compassion for them, as well as for yourself.

「もしあなたが、社交界やビジネス上の集まりで、知らない人だからと話しかけるのを恐れているのなら、他の人たちのほとんどが同じ状況にあることを思い出してほしいのです。彼らもまた、その場にいる人たちを知らず、誰も話しかけてくれないのではないかと恐れ、こっそり抜け出して帰ってしまいたいと思っているのです。あなたがそうであるように、彼らも思いやりをもって接したいと思っていることを思い出してください。彼らに思いやりを持つことで、あなたは恐れから解放されます。相手への思いやりと自分自身への思いやりを持てば、もっと簡単に人に近づくことができると気づくはずです。」

「They don't know everyone present」

ここのpresentは「その場にいる」の意味で、直前のeveryoneにかかってます。

「some of them would rather sneak out and go home」

would ratherは「これなら~したほうがいいくらいだ」みたいなニュアンス。

「Remind yourself that they would like to be treated with compassion, just as you would.」

最後のwouldの後に省略されているのはもちろん「like to be treated with compassion」。

英語では、同じ形の文章はこのようにガンガン省略されます。逆にいうと、何かが省略されているようなら、省略されたものと同じ形の文章が近くにひそんでいます。

gathering 集まり、集い
compassion 思いやり


次に「遊び」の章から。

The number one regret people have when they look back on their lives is "I wish I had not taken life seriously."

「人々が人生を振り返ったときに抱く後悔の第1位は、"人生を真剣に考えなければよかった "というものです。」

「I wish I had not taken life seriously.」

ここから仮定法が連発されます。現在ではなく過去について「~じゃなかったらなあ」と現実否定しているので、hadが使われています。


In all our years of counseling patients at the edge of life, we have never had one person look at us and say, "If only I could have worked extra day a week" or "If only there were nine work hours a day instead of eight, I would have had a happier life." People look back on their work accomplishments and other achievements with with a sense of pride, but realize that there were more to life than that. They discover that if their work achievements weren't balanced by high points in their personal life, the work feels empty. They often realize that they worked hard but they didn't really live.

「長年、人生の崖っぷちに立たされた患者さんのカウンセリングをしてきましたが、私たちを見て、"週に1日余分に働くことさえできればなあ"とか、"1日の労働時間が8時間ではなく9時間あれば、もっと幸せな人生を送れたのに"とか言った人は一人もいません。人は仕事の成果やその他の業績を誇らしげに振り返るけれども、人生にはそれ以上のものがあったことに気づくのです。仕事の成果が私生活の高みと釣り合っていなければ、仕事は空虚なものになります。彼らはしばしば、一生懸命働いたが、実際には生きていなかったことに気づくのでした。」

「If only I could have worked extra day a week」

if onlyの形の仮定法です。現在ではなく過去について現実否定しているので、could haveとなっています。

「If only there were nine work hours a day instead of eight, I would have had a happier life」

この文章も仮定法。現在ではなく過去についての現実否定なのでwould have。

条件節のほうは現在の事実を否定しているのでthere wereとなる。もし過去のことならthere had beenになります。


僕も書いてて頭が混乱してきましたが、こういうのは量をこなして慣れるほうが早いです。

文法書の仮定法の項目を開いて、色んなパターンの例文を音読しまくると体得できます。

明示的知識としてその仕組みを説明するのは難しくても、読んだり聞いたりしたときに瞬間的に理解できるようになります。


なお本書はキンドル・アンリミテッドに入っているので、会員なら無料で読めます↓


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