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小説での残念なミスについて 「メビウスの守護者」

昨日「ショパンの手稿譜」というサスペンスリレー音楽小説を紹介しました。
その時、読み手が知識を持っている分野にかんして、小説やドラマの中で間違っていたり、実際にはありえないことが書いてあると往々にして興ざめするよね、って書きましたよね。そういうのって、専門的知識というほどでなくてもけっこう起こりうるかもと思った実例に最近でありました。この小説を読んでいて、最後の最後にこのミスが出てきたので、けっこう愕然というかがっかりしたというかなのです。

あ、でも誤解しないでほしいのは、だからといって小説自体が面白くなかったというわけではありません。最後の最後、それも本筋から離れたオチのところでこんなミスをもったいないという感じ?

それは川瀬七緒「メビウスの守護者」という法医昆虫学捜査官を主役としたミステリーです。
川瀬七緒氏は「よろずのことに気をつけよ」でデビュー(この作品は土俗的かつオカルト的なものでなかなか面白いです)して、現在シリーズとして書き継いでいるのが、法医昆虫学捜査官赤堀涼子を主人公としたミステリーシリーズです。

「水底の棘」から始まり、「メビウスの守護者」はシリーズ第4作にあたります。
いまだに日本にはちゃんとした職業としてはない法医昆虫学を題材にしていて、そこで認められようになっていく、というありきたりなパターンではあるし、物語の書かれ方もテレビドラマ的だし、アメリカのテレビドラマを意識したような展開というかカット割りのストーリーではあるのですが。昆虫好きには面白いと思う。。。

さて、その近作「メビウスの守護者」において、すべての謎が解けた後の後日談的な部分で、この題名にもなっている「メビウスの環」に関わる話がでてきます。実はこの名前に基づく香水が作られるという話なのですが、その名前が「アンヌ・メヴィウス」と記載されているのです。数学者の「メビウス」の「ビ」はbの音であってvでは決してありません。さらにいえば。「Anneau de Moebius」であって、どう転んでも「アンヌ」ってのもねえだろ!って話なわけです。作者さん、些細なこととはいえ、確かめなかったんでしょうかねぇ、、、

で、最初の話に戻るわけです、これだって、メビウスの名前は知ってる人は多いでしょうけど、それがbかvかまで知っている人はおそらく少ない、、、アンヌ・メヴィウスと書いてあってもきっとそんな名前なんだとスルーしてしまう人がほとんどでしょう。でも、知ってるとすっごいガッカリするというか、なんでこんなミスと思ってしまう。。。
つまり、そういうことはいっぱいあるのだと思います。そして気づいてないものがいっぱい、、、そんなものだと思ってしまっていることもいっぱい。。。
人間の知識、知ってるつもりってそんなものなのよねぇ。。。

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