見出し画像

~鎌倉大仏から佐助稲荷への(誤った)道~

その日、わたしたちは道を誤ったのでした。

それは数年前のこと。

海なし県で生まれ育った従姉妹が、「海街ダイアリー」をきっかけに、ぜひとも
江ノ島・鎌倉を見て歩きたい、ということで、ガイド役としてお世話をしました。

前日から前乗りし、(さすが元ラブホテルだっただけあって)すぐ前が海で、波の音が
聞こえるような、雰囲気がナイスでモダンな江ノ島近くの宿に一泊してもらいました。

翌朝、江ノ島駅近くに探してあったコインロッカーへ荷物を入れ、
駅前のレンタサイクルを借りて走り出します。

江ノ電と並走する道をとり、心地よい海風と柔らかい春の日差しの中、
順調に名スポットを周りました。
ーー

昼食後、鎌倉の大仏、そして、佐助稲荷へ向かいます。
サイクリングでのおすすめは、寺院の入り口のある大通りから、寺院を挟んだ
裏側の道を、佐助稲荷に向かってゆくルートです。
大仏殿の敷地に入らずとも、塀の向こうの大仏様の横顔が見られるな、と思った記憶。

道もわりと平坦で迷いづらく、ゆるやかな坂なので、自転車で走りやすいルートです。 
 
ただし、「長谷大谷戸」の交差点で、ちゃんと迂回し、佐助稲荷参道入口を経由し、
佐助稲荷神社へいくのが「本来のルート」

そこを、当時のGoogleマップの無茶ブリルート案に従ったことで、判断を誤った
わたしたちは、「大仏ハイキングコース(Daibutsu Hiking Trail)」のワイルドルートで、想定外の苦行を強いられることになりました。

現在では改訂されたようですが、当時、何故かGoogleマップは「ワイルドコース」を勧めてきました。
距離的に近道だもの、そりゃあ行くでしょう。

グーグル・マップやストリート・ビューでは表示できない先にありますが、石や木の根だらけのとても急な山の斜面を、ジグザグに登ってゆき、獣道のような山中を抜け、苔や湿った斜面をヒヤヒヤしながら下った先に、やっと神社へと辿り着くという感じ
でした。(もちろん、ワイルドトレイル好きにはたまらないルートではあります)

このときは昼下がりで、従姉妹にはすでに疲れの色が。
普段は徒歩で数分のコンビニにも車を使うほど、車社会で生きている人。
そして、地域柄なのか人間性なのか、全く不平不満を言わず、表情を上手に隠すほどの器の大きすぎる人間なのでした。

しかし、サイクリングであっても、普段クルマ中心で歩かない人にとっては、
坂道の多い鎌倉では、結構な運動量になります。
終盤のしんどさは、計り知れません。申し訳ないことをしました。

その後、ちゃんと「本来のルート」からもどり、先程のハイキングコース入り口に
停めておいた自転車まで戻り(遠回りでも、ワイルドルートを戻るよりはるかに楽)、
長谷大谷戸交差点からトンネルを渡った先の、カフェテラス樹(いつき)
ガーデン
という素敵なカフェで、ゆっくりと骨を休めてもらいました。
ーーー
余談ですが。

この翌日に、従姉妹と横浜へ移動して観光をするのですが、港の公園に座りながら、
従姉妹が不思議な顔で、ぽろりと言いました。

「ランニングをしているこの沢山の人たちは、いったい何故こんなに走るのだ」

「この人たちは意識高い系といって、体型維持のために走り、アップルウォッチをし、おしゃれなアイランド・キッチンと海が一望に見える広いリビングのマンションに
住み、血統書付きの犬を飼っておしゃれなイタリア語かフランス語の名前をつけ、
夕方以降に外資系カフェの外の席でパソコンを広げて海外の取引先と英語で喋り、
寝る前にバスローブ着てワイングラスをぐるぐる回すようなライフスタイルを地で行く人種なのだ」
と、説明をしておきました。

意識高いのも大変そうだな、という結論になりました。
ーーー

というわけで、Googleマップは過度な信用は禁物、という話。

わたしは、カーナビでもGoogleマップの
「確かに近道だけどワイルドな細い道」
に連れて行かれ、何度も泣かされているので、もう使いません。

カーナビには絶対だめです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?