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街の小さな広報屋は、なぜ「おでん屋」を始めようとしたのか?

今年の振り返りと、来年の話を。
今度は個人事業主の立場から。

2021年の年初は「病気もあるし『いのちだいじに』だな」
とミニマムな生活を目指していたんです。

もちろん、そんな訳なく今年も杖をつきながら暴れていました。
もはや吉本新喜劇における間寛平のじいさんの役と一緒。
「とまると死ぬんじゃぁ!」の世界です。
勝手に「ガンガンいこうぜ!」設定になっていました。怖い。

今年は、実現しなかったことも含めですが、お仕事を振り返ってみると、実に多くの人に支えられました。

その中にいつもある思いがあったんです。
新聞やプレスリリースだけで届かない「魅力」を直接届けたい。
そのためには、店を持って地に足を付けて「商売」をしたい。
という思いです。

世の中には多くのPR屋や広告代理店がいますし、小さい会社もある。
僕もその端くれをやってきた経験があります。
でも「イベント」は常に一過性のお祭りでしかなく、
常に思いや魅力を伝えていく仕組みがないか考えていました。


そんな折に、新型コロナウイルス感染症が流行し、僕の応援したい商売は分断されていき、効率化や感染予防という名目で省人化していったシステムに違和感を感じました。


本来の商売は人と人が会ってこそ成り立つ物だし、多くの購買は「いくらで買うか」ではなく「誰からどのように買うか」に価値があるとあると思ったからです。東京の隅っこで生まれた僕は、近年一般人がよく言う「コスパ」とかが嫌いで、「誰から買ったか・誰の店でメシを食ったか」を重視していました。小さい会社の広報・マーケティング的なお手伝いをする「ツナゲル」もその意味で、人のストーリーや価値を引き出していく仕事を行っています。

今回「NewStand」を始めるきっかけは、沼津の「かとうシューズ」でビルをシェアして、お店を持とうよ!という企画の取材を沼津経済新聞で行うところからスタート。

ここで思ったのが「うちの人」である内縁の妻(まだ結婚できないんだなあ!)の宮川がやっている配信事業をスタジオとしてやったら面白いんじゃないか、という部分。宮川とは4月から「ゆうすいオープン記者クラブ」の生配信を行ってきました。

生配信の技術はまだまだですが、そのニーズを引き出すためには圧倒的に知名度が足りない。であれば「__fornow」を活用して街の魅力を発信しようと考えたんです。カウンターにライブカメラを設置して、街の人とのおしゃべりをみんなが楽しめるコンテンツにできないか、と考えました。「面白いなあ!この人としゃべってみたい!」と視聴者が家から飛び出して、参加できるようなスタジオを作りたかったのです。

そのとき僕は「沼津経済新聞」の運営方法に悩んでいました。取材依頼があり、それに応じて取材をすると「プロモーションの結果、掲載されました!」と大声で言う人がとても多かったのです。「みんなの経済新聞ネットワーク」はYahoo!やSmartNewsなどにも配信されていて、多くの人の目に触れる機会があるのですが、大手ポータルのPVは私たちのサイトの収益には一切寄与しません。できれば「沼津経済新聞」という存在をもっと知ってもらい、PVだけに依存する体制から脱却を図りたかったのです。

そんなときに「生配信」「新聞運営」「広報のかたち」を埋めてくれるのが、近年減少傾向にある「新聞販売店」という構想でした。

ある日のfornow

場所は沼津の南口から歩いて2分。
駅からこの店の先には、沼津市役所・スルガ銀行・静岡中央銀行・沼津信用金庫・静岡新聞東武総局など、伊豆半島の大きな会社(とくに情報系と金融機関・そして官公庁)があるのが魅力的だと感じました。ざっと計算して3500人の情報リテラシーが比較的高い人たちが通行する。その人たちとスタジオ利用や情報交換するタッチポイントはないか、と考えてみました。

そこで思ったのが「新聞で掲載した人のチカラを借りて、魅力を届ける」ことです。朝はスープを販売し、夜はちょっとしたつまみで一杯飲んで帰る。深い酒を飲みたいならば、沼津には街の居酒屋やバーがいっぱいある。それを紹介するのが僕ららしい、と考えました。僕も宮川も料理はあまり得意ではありませんので。

NewStandロゴ

ロゴは沼津デザインセンターの大木真実さん。
大木さんには「片手で手軽なスタンドで、ホット!」しか言いませんでしたが、見事なデザインをしてくれました。

テスト期間中協力してもらったのは、今年取材した「たけみごはん」こと、青木岳美さん。


岳美さんは僕らの考えをすぐに賛同してくれ、どうなるかわからない朝食の提供をしてくれました。彼女らしい、満足度の高くて栄養にも気を使ってくれるおにぎり。月に1日「風のテラス」で営業していた岳美さんには、オフィスで働く人々のファンがいるに違いない、そう狙い込んで招致をしました。

営業開始直前のNewStand

初日は冷たい雨が降る中のスタート。気分はズブぬれでした。今日は売れないなあ、と思っていたその中、営業開始となりました。

当日のおにぎりたち

なんと30個用意したおにぎりは、わずか1時間で売り切れ。スープも2時間しないうちに販売が終了しました。さすが岳美さん。翌週は増産して40個以上2時間で売れるという結果に。どのお客様も「岳美さんのInstagramを見て・・・」というたけみごはんファン。いやあ、本当にありがたい朝でした。


そして夜は、オイルサバディンと栗原商店のこんにゃくを使ったおでんを販売。白隠正宗とハイボールを販売しました。

最初のお客様は循環ワークスのたいちゃんがきてくれました。こんにゃく好きのたいたんは「おいしい!」と言ってくれてほっとしました。

こんにゃく大好きのたいちゃん

夜は今年いろいろお世話になった飯島先生が営業マンとして、近くの居酒屋に向かう老夫婦をナンパしてお客にしてくれました。そのご婦人は、かつて栗原商店でパートしていた経験があり、こんにゃくを食べて「懐かしい味だわあ」と思い出してくれました。

飯島先生の営業っぷりったら!!

一方新聞部門は、販売することをやめて、スープやおでんを購入した人にのみ無料で配付することにしました。新聞は前週の5本の記事から4本をチョイスし、僕でテキスト化する作業。それを可能にしてくれたのが、葛飾の師匠・高田紙器製作所の高田さん。快くカラーレーザープリンターの提供を頂きました。

これにより、想定外のローコストで印刷が可能となり、毎日3500人の会社員たちに沼津経済新聞を届ける準備ができました。(現在デザイン面での最終調整中ですが、オープンには間に合います!現在3カ月限定の広告を募集しております。想定配付数は10,000部、1枠30,000円から申し受けています)

表面
裏面

現在は1月6日のオープンに向けて、カウンターづくりを行っていて、カウンターには街の情報や新聞の情報を掲載したデジタルサイネージを設置予定です。新聞は静岡県で唯一、静岡新聞・伊豆日日新聞・伊豆新聞・熱海新聞・沼津朝日新聞・日本経済新聞(あと沼津経済新聞もね)がそろうローカル新聞販売店になります。

できるのか!?カウンター


毎日変わらず出すお茶は「まるも茶店」の三須さんの指導のもと、宮川が入れます。暖かい和茶は200円、寒い日でも心がほっとするあまい生クリームいり和茶は500円で販売する予定です。

まるも茶店監修の和茶 

また、三島の魅力をぎゅっと詰め込んだ「ぎゅっとまるごとにんじんジュース」も販売予定。高血圧が気になる方にも配慮した取りそろえとなる予定です。

現在は毎朝のスープをいろんな取材対象者や地域の生産者さんたちにお願いや声掛けをしています。(取得した免許が露天業なので、調理ができないのをあえて逆手に取ってます)

今後は1月6日のオープン以降、編集部機能を移転しつつ会える編集部として、つながるNewStandとして僕と宮川で頑張っていくつもりです。3月末までの限定出店です。お茶も用意しているので、ぜひ遊びにきてください。


「NewStand」
静岡県沼津市大手町5−4−6
営業時間 8時〜13時 17時〜18時
定休日  土曜・日曜・祝日
URL  https://www.facebook.com/NewStandnumazu

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