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文章上達のための「楽しい写経マニュアル」

文章力向上の一番の近道は写経だと言われます。

が、ぶっちゃけ写経って気が乗らないですよね。

ただ文字移すだけって面倒だし、仮に3000文字近い文章を写経するってなったら時間もかかるし、大変そうだからなかなか踏み出せない人が多いんじゃないかと思います。

僕自身、書く仕事を始めて3年ほど経ちますが、これまで一回も写経したことがありませんでした。ただ、自分の出来る範囲で書くには限界があるなと感じ、思い切って写経を始めてみました。

結果として、少しづつではありますが、以前に比べて書くスピードが早くなったり、文章力自体が上がったなと思っています。そこで、これから写経をするぜっていう方に向けて、どうやって写経しているのかの方法をご紹介します。

ちなみに、ベースとなる考えはこちらのブログと本を参考にしてます。

そもそも、なんで写経をすると文章力があがるの?

突然ですが、あなたは楽器を弾いた事がありますか? なかったらごめんなさい。。楽器を始めた時どうやって上達していくかいうと、まずは既存の曲をコピーするところから始まります。(天才は何もしないでいきなり名曲を作るかもしれませんが。。。)

僕自身も大学時代にエレキベースをやっていまして、やっぱり最初はコピーから入ってました。教則本はつまらないのですぐ飽きて、自分の好きな曲ばっかり弾いてました。

すると、最初は動かなかった指がだんだん動くようになっていき、リズム感も少しづつ良くなっていきます。また、同じバンドの曲ばかりコピーしていると、だんだんそのバンドの癖が身についてきます。フレーズの作り方とか。

そうすると、実際に自分たちでオリジナル曲を作ろうと思ったときに、フレーズの引き出しが多い状態で曲作りが出来て、自分たちのオリジナリティが増します。

楽器の練習と同じで、写経も数をこなしていると、身体に構成や表現が染みついてきます。特に構成の型を大量に覚えられるというのは、文章力を上げるためにはかなり大事です。論文型なら、「前提→課題→行動→結果」みたいな。

文章というのは情報の塊なので、同じラベルのものは同じところに集約する必要があります。話題があっちこっちいく文章は読みにくいですよね。どんな情報の順番で書けば読者は読み切ってくれるのか。そのストックを貯めれるのが書経の一番の効能でしょう。

また、少し余談ですが、目で追うのと、書きながら読むのでは、当然読む時間が変わります。書きながらの方が一文一文、一単語一単語に敏感になる。すると、どうして作者はこういうことを書いているんだろうと、目で追うよりも、深く考えながら読むことにつながります。写経は文章を自分が正しく理解しているかを問うことにもなるのです。

「早速写経だ!」の前に

写経に取りかかる前に、ペンとノートにはちょっとこだわることをオススメします。特にペン。2000文字くらいの文章を写そうとすると結構疲れます。

僕はずっとSARASAのゲルインクボールペンが好きで使ってたのですが、写経には向いてませんでした、普段は気にならないんですが、ちょっと重いんですよね。どうしても途中で疲れてくる。

個人的なオススメはJETSTREAM。100円もしないで買えて、しかも軽いです。書き心地もいいので、試してみてください。

ノートは一時期少しでもイケてる文章を書いてる感を出すためにMOLESKINを使ってましたが、出費が痛いのでやめました。今はKOKUYOのSOFT RINGで方眼のものを使っています。横罫でも無地でもないのは、方眼が一番線と線の間が短く多めに文章が書けるのと、マスに沿って書けば文章が斜めにならないため。

ノートは沢山試したことないのであれですが、種類はリングノートがオススメです。なぜなら、文章を写し終わった後に構造分析をするためです。見開きのノートだと行ったり来たりする必要があるので面倒です。リングノートはページを破って横並びで見れるので文章の全体把握がしやすいかなと思います。

写経の文章は何がいい?

あなたの好きな文章ならなんでもOK!!!です!!!

エッセイが好きならエッセイを写せば良いし、インタビュー記事を上達させたいならインタビュー記事を書けば良い。小説は、当然一冊全部やったら死ねると思うので、例えば好きな章だけ写すとかするといいのではと思います。

強いて言うならWebの記事より紙の記事のほうがいいです。Webの方が紙より内容が劣っている、と言いたいのではなく、書籍の方が細かい文法がしっかりしていることが多いから

普段はあまり気にしないかもしれませんが、漢字の「ひらく」「とじる」や係り受けなどはみっちり校正が入ったもののほうが間違いは少ないです。そういう意味では、新聞のコラムとかオススメですね。日経新聞のコラムとか。頑張って写すのなら、細かいところまで手の入った記事の方が良いですよね。

ただ、繰り返しになりますがWeb記事が悪いというわけではないです。書籍になってないものも多いと思いますので。

写経本としてオススメなのが「高校生のための文章読本」と「高校生のための批評入門」。愛知県の国語の先生四人が編纂された本で、古今東西、論文から小説までそろった、珠玉のアンソロジーです。

「文章読本」は70、「批評入門」は51の作品が入っています。国語の先生が選んでいるので、全部最高の作品ばかりです。多分これ全部写経したらそれだけで抜群に文章力上がると思います。大学受験における赤本みたいなもの。

どうやって写経すればいい?

さぁ、ついに実際の写経のやり方についてです。ここでは、まず「ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法」のやり方を紹介し、加えて僕が実践している方法を追記します。

まず、全体像を見せるとこんな感じ。

1−a 店で標品を購入するとき、金銭との交換が行われる。

1-b でも、バレンタインデーにチョコレートを贈るときには、その対価が支払われることはない。

1-c 好きな人に思い切って、「これ受け取ってください」とチョコレートを渡したとき、「え?いくらだったの?」と財布からお金を取り出されたりしたら、たいへん屈辱になる。


2-a 贈り物をもらう側も、その場では対価を払わずに受け取ることが求められる。

2-b このチョコレートを「渡す/受け取る」という行為は贈与であって、売買のような商品交換ではない。

2-c だから、「経済」とは考えられない。


3-a では、ホワイトデーにクッキーのお返しがあるとき、それは「交換」になるのだろうか。

3-b この行為も、ふつうは贈与への「返礼」として、商品交換から区別される。

3-c たとえほとんどの等価のものがやりとりされていても、それは売買とは違う。

3-d そう考えられている。


4-a 商品交換と贈与を区別しているものはなにか?


5-a フランスの社会学者ピエール・ブルデュは、その区別をつくりだしているのは、モノのやりとりのあいだに差しはさまれた「時間」だと指摘した。

松村圭一郎「うしろめたさの人類学」より

ステップは全部で4つです。

1,まずは一文一文抜き出します。各文章の間には一行ほど空白を空けます。各段落には番号を振り、同段落の文章はアルファベットを加えます。

2,全部書き終わったら、段落単位で因数分解します。段落ごとに、何を伝えたいのか、どんな情報のまとまりなのかを考えます。

例えば、上記の分であれば、1-3段落目までは「エピソード」、4段落目で「問題提起」、5段落目で「回答」と言った具合に。ラベルに決まりはないので、自分がわかりやすい言葉を使うと良いです。

3,次に段落の中の文章を一つ一つ見ていきます。

1段落目なら、1-aは「抽象的な話」、1-bとcはそれに紐付く「具体エピソード」のような漢字です。

4,これが一通り終わったら、全体の構成をまとめて眺めてみて、なぜこの構成なのかを考えます。

「具体エピソード」→「主張」→「主張を補足する情報①」→「主張を補足する情報②」→「反論」→「結論」のような流れだと解ったらそれを自分の型としてストックする。

全ての文章が綺麗な型どおりとは限りません。会話的に話がどんどん変遷していくモノもあり、そういう場合は綺麗にまとめるのが難しいです。(それでも読ませるのだからすごい)

体感値として3000字くらいの文章で一時間くらいかかります。とりあえず早く写すぜ!とやってしまうと、考えながら写せなくなるので、多少大変でもじっくりやっていきましょう。

おわりに

僕も写経を始めてまだ一ヶ月くらいです。もっとこうやったほうがいい写経になるぜっていうアイデアがあったら是非知りたいです。

また、文章に限らず、コピーの写経とかもオススメです。ボディコピーなどは具体エピソードから商品の話に持って行くのが非常にうまく、短いですが大変勉強になります。

最後に、同じく写経についてnoteを書いている方のリンクも張っているので、コチラもあわせて参考にしてみてください!

それでは、良い写経ライフを!




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