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The Dawn of a New Era 文明開化の音はきっと工事の音『技術と情熱をつたえた外国の人たち モレル・ブラントン|デ=レーケ・ケプロン』

土木の歴史絵本第3弾。江戸時代の終わり近代文明の夜明けに、明治政府は諸外国から土木の技術者をまねきました。「お雇い外国人」とよばれた技術者の活躍で日本の近代化に多大な貢献をしました。

鉄道を引き、鉄橋を架け、灯台をたて、街をつくり、水道、貯水池、港、川の改修、あらゆる土木技術を日本に伝えた外国の技術者たち。外国人に教えてもらっていくつも工事をしている間、日本の若者が土木技術を学ぶために海外留学をしていた。いくつものプロジェクトが完成していき、何年かたったとき、海外で学んでいた彼らが戻ってくる。そして、今度はその日本人たちが土木界をリードしていくという無駄のない明治政府の計画に驚いた。行き当たりばったりだけでは、そもそも国として成り立たないから当然のことなもかもしれないけれど、”政府は何もしてくれていない”というほうが、大人っぽっくて耳障りがよかったりするので、つい。毎度失礼お詫び申し上げます。

明治の初めごろから日本に1000人近い「お雇い外国人」が来た。新しい技術の道先案内人となり、広い視野、判断力、総合的な知識、生きた経験、科学者としての姿、理想を追い求める高い見識などを示し導いた。

外国の技術を取り入れると簡単にいっても、きっと災害の多い日本には通用しないとかいう、ドラマでいつも邪魔する悪者みたいな人もいたようなきがする。日本の担当者もさぞかし大変だったろうな。

木曽川改修に尽くしたデ=レーケさんが、起工式にも招かれず、祝辞にも言及されなかったというエピソード。ふと、黒澤明「生きる」の通夜のシーンを思い出した。なんとも切ない気持ち。それに比べて北海道開拓に尽力した人々の明るいこと。学生と一緒に生活をして指導した。新しいものを取り入れる気風にあふれた教育に、学生たちが心を動かされた様子が目に浮かぶ。白いシャツを着た青年の笑い声が聞こえてきそう。

それはそうと、なんと、クラークさんは8カ月しか日本にいなかったという衝撃。8カ月なんて、”はじめましてー”、”青年よ大志を抱け”、バイバーイ。ぐらいの時間でしょう?知名度は時間ではないということか。

今回も知らないことをたくさん知ることができた。とりわけ「灯台」がインフラの仲間と知ったことがうれしかった。今度は灯台も調べてみよう。


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