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ちょっとだけ打楽器の話をします〜小太鼓編〜

皆さんこんにちは!
打楽器の久保田です。

今回もアンサンブルSakura様の演奏会に参加させていただきます。

前回の演奏会ではシンバルについて取り上げました。まだお読みでない方は是非ご一読ください!!
記事はこちら>>

今回は打楽器といえばこれっしょ!
という小太鼓を取り上げてみたいと思います。

で、ただ紹介しても面白くないので、
せっかくなので分解して、どんな構造なのか皆さんとシェアしてみたいと思います!

とってもシンプルな楽器


小太鼓に限らずですが、世の中の太鼓というのは非常にシンプルな構造をしています。

具体的には、シェル(胴)にヘッド(叩くところ)を貼っつけている。

それだけです。

写真のような西洋由来の太鼓はボルトを使ってヘッドを固定しますが、
お祭りなどで目にする和太鼓は職人さんが縄を使って締め上げます。

今回はオーケストラで演奏するので、西洋由来の小太鼓(スネアドラム)を分解してみます。

分解の目的はヘッド交換


さて、分解をしていくのですが、念のため目的を定めておきましょう。

今貼ってあるヘッドの音にノビがなくなってきたので、今回の演奏会のために新品に交換して、ついでに音のキャラクターも変化させてみようと思います。

整理すると下記の4点をやっていきます
・ヘッドを本革からプラスティック製へ
・ボルトの掃除とグリスアップ
・フープを木製からスティール製へ
・響き線の変更

とりあえず、ボルトを外していきます

今この太鼓に貼ってあるのは、子牛の皮です。(いわゆる本革ってやつです)

プロのオーケストラ演奏会を見にいくと、まぁまぁな確率で本革を使用しています。

とてもドライな音が特徴で、オーケストラの弦楽器とよく馴染みます。
また、本革は湿度にとても敏感なので、多湿な環境では湿気を吸ってだるんだるんになったり、乾燥していればピンっと張って破れてしまったりと、管理にとても気を使うのも特徴です。

なので、今回からはプラスティック製のヘッドに交換します。
こちらは湿気に左右されず、また耐久性に優れ、さらにお値段もとても安価ですので、
吹奏楽からロックポップス、プロからアマチュアまで幅広く使われています。

分解してみるとこんな感じ。

結構、シンプルでしょ?

ボルトを掃除する

さて、ここからは金属部分を掃除してみます。
こちらの写真をご覧下さい。

ボルトの下の方、黒ずんでいます。
古いグリスが固着している証拠です。

こういった汚れはホコリを呼び、ノイズの原因となったり、ネジ穴の内部に蓄積して良くない感じになります。

なので、パーツクリーナーで一つ一つ丁寧に落としていきます。

パーツクリーナーは金属に使えるものならなんでも大丈夫。
私はバイクのチェーンクリーナーを使いました。

ちょっとここできになる事が

私の小太鼓はオーケストラで使う事が多いので、イヤな倍音を出来るだけカットするために、ボルトタイトという布見たいなやつを使っています。

が、よくよくみると、とてもヘタっていて、再利用するにはちょっとよろしくないなと、、、

なので、急遽買い出しに行きました。

神保町にある、ドラムコネクション。
ドラムに関するものならだいたいここで揃うので、おススメです。


無事、ボルトタイトを入手しました

さて、買い出しも済みましたので続けます


掃除中のボルトですが、結構汚れていますね。ネジ山の隙間もちゃんと磨きます。

写真だとわかりにくいですが、
上が磨く前、下が磨いた後です。
※ほんとにわかりにくいですね、、、超ピカピカなんです。ホントは。

磨く前
磨いた後


せっかくなので、どんな楽器か見てみました

楽器の裏側にはシリアル番号が貼ってありますね。
この楽器はカノウプスという国産メーカーが作っている楽器です。

この部分にカスタムオーダーと記載されています。
中古で買った楽器なので、前のオーナーさんが恐らく、オーダーメイドで購入したものだと思います。

カノウプスの通常ラインナップの小太鼓は、ボルトが8本。それに対してこれは10本です。

ボルトを少なくすると、それだけシェル(胴)の鳴りが邪魔されないので、よく響く楽器になると言われています。一方で製作には高い技術が求められます。

そして、このシェルはブビンガという、とても堅い木の素材でできており、加工に高い技術を要します。

なので、この小太鼓はカノウプスがブビンガ材を使って製作するための試作機として作られたのではないかな?と勝手に思います。
※今のブビンガ材を用いたスネアドラムはボルト8本になっています。

新しいヘッドを装着

与太話もいい加減にして作業を進めていきましょう。

演奏する曲が「となりのトトロ」なので、クラシカルな音ではなく、
いわゆる普通のドラムのような音を目指して音作りします。

そのため、木製のフープではなく、スティール製のフープに変更します。

一旦片面を装着していきます。

少しずつボルトを締め上げ、なんとなく太鼓の音を作っていきます

ボルトの各張力が均一になるよう、調整をしていきます。

そして、全体的に締め上げ、響き線をつけると完成です。

軽く演奏してみるとこんな感じ。

いかがでしたでしょうか?
普段あまり小太鼓の中身を見る機会はないかと思いますので、少しでも興味を持っていただけたら幸いです。

※シンバルについてはこちらをご参照ください(過去記事の宣伝)。


それでは、3/19は浅草公会堂で皆様にお会いできるのを楽しみにしています!!

チケットは団員から受け取るか、演奏会の当日に受付にてお受け取りくださいませ。

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アンサンブルSAKURA第39回定期演奏会
日時:2023/3/19(日)13:30開場14:00開演
会場:浅草公会堂
指揮:高石治

入場無料
曲目:
ビゼー/カルメン組曲
久石譲/オーケストラストーリーズ組曲「となりのトトロ」ほか

公式HPhttp://www.portwave.gr.jp/sakura/

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