逆説の日本史 近世爛熟編(井沢元彦、小学館文庫)

徳川綱吉の明君論、面白い。
(井沢元彦氏の逆説の日本史より。)

綱吉政権時に、勘定奉行荻原重秀の貨幣改鋳の本質は、「通貨を増やし、インフレになる」であるとのことだ。

この発想は、リフレ政策そのものではないか。

(引用)

なぜ、重秀は改鋳をしたのか?それは世の中が平和になって経済が安定し消費も向上したのに、通過の供給量が足りなかったからだ。だから供給量を増やしただけのことである。

(引用終わり)

先日、ベン・バーナンキがノーベル経済学賞を受賞した。彼の理論はアベノミクスとして、日銀の金融政策にも採用されている(と勝手に理解)。

江戸時代の元禄文化を支えた改鋳と、令和の今も進行中の、アベノミクスの基礎となりノーベル賞を取った日銀の金融政策の理論が、本質的に同じというのは興味深い。

(無論、本稿では、学問的な厳密性は捨象している。)

徳川綱吉の政策分析は、面白い。

今風に言うと、「綱吉時代は、改鋳によって、市中にお金を供給し、マイルドなインフレにしようとした。」と。

井沢氏は別の言葉で解説しているが、商業に付き纏う「お主も悪よのう」という三文ドラマのイメージ。

これはかなり根が深い題材な気がする。

井沢氏は綱吉の政策、「生類憐みの令」にも、非常に刺激的な視点を提供してくれる。

以下、上記の記事より引用。

授賞理由の主要業績に挙げられているバーナンキ氏の1983年の論文は「Nonmonetary effects of the financial crisis in the propagation of the Great Depression」(参考文献2)という題名である。この「Nonmonetary effects(非貨幣的な効果)」という部分にバーナンキ氏の新規性がある。

 バーナンキ氏の論文以前の主流な仮説はミルトン・フリードマン氏とアンナ・シュワルツ氏のものである。両氏の研究は、大恐慌時における貨幣量の急激な減少に注目した。標準的なマクロ経済理論によれば、貨幣量が減少すると消費や投資などの総需要が減少し、物価が下落する。両氏によれば、貨幣量が急激に減少し、それに対して当時の連邦準備銀行が有効な政策を実行しなかったから大恐慌が深刻化した。

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