朝刊の記事から。「著名人かたる投資詐欺」と「力道山の弟」(宮本輝、文春文庫)。

投資詐欺の話題が連日報道されている。

上記の記事に出てくる詐欺も驚くべき金額で、誰もが知っている著名人
をかたって、LINEに誘導するのがその主要な手口であるそうである。

宮本輝の小説に「力道山の弟」という小説がある。
「小説新潮1989年3月掲載」で、「真夏の犬」(文春文庫)所収である。

ある冬の日、当時スターであった力道山の弟を名乗る香具師の男が群衆の前で、「力道粉末」という粉薬を売っている。それを見た「青びょうたん」のような主人公の少年がその男の話を信じてしまうというところから話は始まる。戦後間もない頃の雰囲気が妙にリアルに迫ってくる、不思議な読後感を残す短編である。この小説のテーマも見方を変えれば「なりすまし詐欺」を巡る悲喜交々と言えよう。

冒頭の記事に戻ると、やはりSNSプラットフォーマーは詐欺は取り締まらなければならない。なりすまされた結果、実際被害が出ているのにも関わらず動きの遅さに驚くばかりである。

以上。

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