サプリメント革命(佐藤富雄、毎日新聞社)

1999年発行の本書「サプリメント革命」は、装丁が地味である。タイトルだけ見ると、まるでサプリメント礼賛論のように見えるが、内容は、バランスがとれており、実にしっかりしている。また新書版よりもやや大きいコンパクトなサイズで、比較的薄く、読みやすい。

栄養学は今日、極めて重要な分野になっている事は、先日のWBCでの大谷ら野球選手の活躍によってほぼ証明されたと思う。大谷についている管理栄養士の存在がメディアでも取り沙汰されていたことから分かるように、これからはスポーツの分野はもちろんビジネスの分野などでも、「栄養学」の知見を持っておくのが常識になる時代になると考えている。

個人的に「健康」に目覚めたのは2000年代初頭である。それまでは健康と言えば、ひたすらただ黙々と「走る」ことだった。それはそれで奏功してはいたが、なかなか多忙で、常に付きまとう疲弊感を感じながら日々を過ごしており、漠然と不安を感じていた。その後、自分なりに模索を開始し、ほぼ大過なく過ごせている。

本書の著者が、この分野に関心を持ち始めたのは、1971年であり、デイリーサプリメントと言う言葉を「栄養補助食品」と訳したのが始まりであったという。

当時(本書執筆をしていた1999年より以前である。)の食品事情は、本文の冒頭に述べられている。

「日本でいう健康食品は現在野放し状態で、若干ビタミンが入っているというだけで、糖尿病にでもなりそうなほど糖度の高いジャムが健康食品と呼ばれていたり、キノコの粉や煮汁が高価な健康食品として売られていたりする。ビタミンEやCなどもきちんとした定義や製品規格がないので統一されず、単に宣伝や流行で売られているのが現状である。」

確かに筆者の生まれ育った地方では、なんとなく○○が体に良い、みたいな
話くらいしかなかった。本著の著者は、そうした現状を踏まえて本書の著者は、「オプティマル・ヘルス」という概念を提唱している。

令和の今になって、管理栄養学がこれから勃興する大きな学問分野で、その
マーケットが拡大していくと期待される。例えば魚油から得られるとされる、DHA・EPAを摂取する事が重要であることは分かっているが、それでも、魚を毎日調理して、摂取するのは難しい。そういう栄養は、割り切って
サプリで補った方が良い。

同様に現代人の食事には、マグネシウムが枯渇しているとされており、P144によると「慢性的マグネシウムの不足は、確実に、動脈硬化、不整脈、心臓発作、高血圧、糖尿病につながるインシュリン異常といった老化現象を早期に引き起こすことになる。」と明記されている。

さらに、マグネシウムには、心臓病の引き金となる動脈硬化のもとになる血栓を阻止する作用がある。(中略)マグネシウムは、血小板の粘度を高め、血栓を作りやすくする物質の生成をおさえる作用があるという。また、マグネシウムは血管が収縮するのを防ぐことで、血圧の上昇や卒中、心臓発作を防ぐという。」と述べられている。

やや細かい話だが、「カルシウムとマグネシウムの比率も大変重要である。」と言う話もある。また骨の形成と言う意味では、ビタミンDも大きな脚光を浴びている。

ビタミンB、C、Dも必須であるが、個別で本や論文が書けるくらい深いので、稿を改めつつ、興味深い新たな知見などがあれば少しづつまとめてみたいものである。

まあ何はさておき、やはり健康は重要である。実は先日2020年頃の健康診断の結果が出てきたのだが、再検査になっていた。これも学生の試験と同じで、勉強しなければ、すなわちろくに運動をせず、食事は適度に節制しなければ悪化する。

本書では、「あなたの体内で作られるサプリメント」という項目で、βエンドルフィン等の脳内で分泌されるという快楽物質などにも言及されている。これはまた稿を改めて言及したい。

筆者の目下の関心事は、11月の健康診断に向けた栄養摂取・あるいはBMI適正値を目指した減量と、もう一つはアンチエイジングである。また脳を活性化させる栄養をしっかり摂取することで、「書く」という行為にどう影響を及ぼすのか、その試みの一つとして本欄を活用してみたい。

以上。

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