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お金は「燃料」です


起業家にメンタリングする際、一つ念押しすることがあります。
お金の話です。

お金は手段であって目的ではない

社会で生活し、新しい事業を興すには、どうしても手段としてのお金が必要です。
しかしよく嵌ってしまう罠は、この手段であるお金、金儲けが事業の目的となってしまうことです。

お金儲けだけを目的として起業したつもりはないのに、第三者増資(いわゆるVCからのPEによる資金調達)を行えば、VCをはじめとする投資家からIPOを要求され、上場後は一般株主からさらなる事業成長(= 会社価値の増大 → 株価上昇)を求められることから、必然的に売上拡大・利益獲得が事業の最優先目標となる(せざるを得なくなる)起業家は後を絶ちません。

資本政策は、起業家・経営者にとって常に悩ましい課題です。
絶対解はありません。
起業家の皆さんにとって難しい課題ですが、ぜひ以下の喩えを参考に考え、行動して欲しいと願っています。

ちなみに以下の喩えは、航海を「人生」に置き換えることもできます。

事業 : それは新天地を目指す航海

事業とは航海のようなもの

・・・お金は、事業という航海を続けるための、あなたの船の燃料です。
燃料は大切です。燃料が無くなれば、船は動かず遭難します。
ですが、幾ら燃料があっても、航海が成功する保証はありません。

燃料を得ることが航海の目的ではありません。
未知の海へ出航し目指す先は、あなたが夢見る新天地です。
あなたは船長として、目指す新天地の希望と進むべき航路を示さなくてはなりません。

確かな海図はありません。あなたの想像力と意志で航路を見つけ、進まなくてはなりません。航海が成功する保証はありません。そして、あなたが生きている間に、新天地には辿り着けないかもしれません。
故に、あなたがいなくても航海が続けられる様にすることもあなたの務めです。

新天地にいつ辿り着けるのか。本当にそのその地はあるのか。
それは誰にも判りません。
航海は波乱万丈、厳しい自然に翻弄され、時に難破するかもしれません。
海図のない航海は過酷であり、日々不安と恐怖に苛まれることでしょう。

もし、ただ燃料だけを増やす、燃料ばかりを追い求めるために航海するならば、それは歌劇「さまよえるオランダ人」の如く宛てのない呪われた旅となり、心は満たされず、喜びも楽しみもありません。
船が沈む時、はたしてこの航海に一体何の意味があったのか、あなたは疑問と使いきれなかった燃料を抱きながら、波間へと消えてゆくことでしょう。

でも、理想の新天地を目指し、そこに行く使命を信じ、仲間と共に挑むその旅を、苦しくとも楽しい、そして面白いと感じることが出来るのであれば、その航海は豊かな経験を生み出し、きっと悔いることはないでしょう。

燃料を大切に上手に使い、良い航海をされることを祈っています。
Bon voyage! ・・・

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