Tetsuya Yamashita

起業家を応援するメンター&学習デザイナーです。 技術革新が世界を変え続ける今、…

Tetsuya Yamashita

起業家を応援するメンター&学習デザイナーです。 技術革新が世界を変え続ける今、未来に向けた学びと創造の仕組み作りに挑戦中です。

最近の記事

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学習とは

誰もが子供たちに学習しなさいと言います。 学校では、学習は大切です、誰にも必要です、必ず役に立ちます、好き嫌いを言わずに勉強しなさいと子供達を諭します。 そして社会に出ても、学習は大事、生涯学習を続けましょうと、多くの人が口にします。 しかし、よく考えると、学習とは一体どういう行為を指すのでしょうか? 学ぶとは、何かを知る、覚える、理解するということなのでしょうか? 知識量を増やすことなのでしょうか? ある技能、技を身につけることなのでしょうか? シジフォスの苦行 実

    • 映画「DUNE」は傑作だ

      2021年に公開された映画「DUNE」 このSF映画、一度見て大ファンになりました。 以下「DUNE」の、夏の映画感想文です。 初作「デューン 砂の惑星」の悲しい記憶 この映画の原作は1965年発表の小説『デューン 砂の惑星』です。 その複雑な世界観から、映像化は不可能とされてきたSF作品ですが、1994年にデビッド・リンチにより「デューン/砂の惑星」として最初に映画化・公開され、当時話題を呼びました。 まだ10代だった私も興味本位で観に行ったのですが、かなり難解なス

      • 映画「デイ・アフター・トゥモロー」がSFでなくなる日

        映画「デイ・アフター・トゥモロー」が公開されたのは2004年でした。 私は飛行機の中で観たのですが、意外性のある面白いSF映画だなぁ…と感心しながら、(これ、ひょっとして絵空事じゃないかも…)という予感が頭を掠めたことを覚えています。 この映画は、大西洋子午面循環、または大西洋深層循環(AMOC:Atlantic Meridional Overturning Circulation)と呼ばれる現象に焦点を当てた気象SF映画です。温暖化により極点の氷が融解し海水の塩分濃度が下

        • 世論の流れに棹さすメディア

          (注 : 以下は私が昔、WEB論座に投稿した記事の再編集版です) 浅間丸事件 皆さん、「浅間丸事件」をご存知でしょうか。 第二次大戦が勃発した翌年の1940年1月21日、房総半島沖の公海上で、客船「浅間丸」が英国海軍の巡洋艦リヴァプールによる臨検を受け、乗船していたドイツ人21名が逮捕連行された事件です。 当時、英軍艦にドイツ人を引き渡した浅間丸船長に対し、世論は激昂し激しい非難の声が巻き起こります。この非難の先頭に立ったのは日本の主要新聞です。紙面上で浅間丸船長を厳し

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          近づく気候逸脱点

          お盆が過ぎたにもかかわらず続く、強烈な酷暑の日々。 近年、こうした異常気象は日本に限らず、世界中で多発しています。 異常気象とは「数十年間に1回、あるいは人が一生の間に稀にしか経験しない現象」と気象庁は定義していますが、こうした現象が頻発する様になれば、それはもはや異常ではなく日常です。 Hawaii大学のCamilon Mora教授のチームでは、地球温暖化により今後世界の気候について研究し(*)、異常気象が日常化する境界を「気候逸脱点(climate departure)

          近づく気候逸脱点

          東海道新幹線はなぜ雨と雪に弱いのか

          悪天候時、運行上のリスクが高い鉄道 悪天候に見舞われた時の対応は、公共交通機関により大きく異なります。 例えば、天候不良の場合は欠航となり「飛ばない」飛行機と異なり、列車は比較的ギリギリまで運行されるため、おそらく悪天候に強いというイメージを持たれている方が多いのではないでしょうか。 しかし実際には、運転中の大雨・突風により、出発後に突然運転を見合わせることがあり、駅間で停車された場合には長時間にわたり車内に閉じ込められ、途中下車するという選択肢がとれません。さらに停電

          東海道新幹線はなぜ雨と雪に弱いのか

          お金は「燃料」です

          起業家にメンタリングする際、一つ念押しすることがあります。 お金の話です。 お金は手段であって目的ではない 社会で生活し、新しい事業を興すには、どうしても手段としてのお金が必要です。 しかしよく嵌ってしまう罠は、この手段であるお金、金儲けが事業の目的となってしまうことです。 お金儲けだけを目的として起業したつもりはないのに、第三者増資(いわゆるVCからのPEによる資金調達)を行えば、VCをはじめとする投資家からIPOを要求され、上場後は一般株主からさらなる事業成長(=

          お金は「燃料」です

          78年目の夏

          敗戦の日に抱く疑問 先の大戦に敗れてから今年で78年。 この戦争について、今も尚様々な視点から検証が続いていますが、一つ違和感を感じることがあります。 それは先の大戦について、多くの人が「自分は被害者だった」「だまされた」「政府が悪い」「軍が悪い」という前提から語ることがあまりにも多いという点です。 この違和感について、その時代に身を置いた一人として、伊丹万作(伊丹十三の父)が「戦争責任者の問題」と題した手紙に、鋭く辛辣に記されています。 https://www.ao

          イノベーションとは

          遥か昔に発明されたネジ(螺子)、火薬、羅針盤。そして近代では、内燃機関、飛行機、コンピューター、インターネット…と、人類史を大きく変えた画期的な発明は無数にあります。その影響は甚大で、それぞれのエピソードを紐解けば、きっと千夜一夜の物語のように語り尽くすまでに幾年も幾年もかかるでしょう。 近年こうした形ある発明は、革新、英語でイノベーションという言葉で表現されることが多い様です。たとえばスマホや、直近ではChatGPTに代表されるAI等々。しかし、その多くは、スマホやAI

          イノベーションとは

          オープンであること

          オープン : それはIT進化の原動力 私は、いつか携帯電話は、PC以上の性能をもつオープンなデバイスに必ずなる… 2001年に3Gが始まる前から、ずっとそう信じてきました。 ですので、かつてi-modeの仕様設計・開発にあたっていた中の者の一人でしたが、ことある毎にこう呟いていました。 いずれ(こういう特殊かつ独自仕様の)i-modeはなくなるよと。 自身が開発していた内容に正反対の考えでしたが、ある特定の関係者だけに閉じたクローズなシステムは、遠からずIT全体の生態

          オープンであること

          成功と失敗

          その曖昧な境界線 成功 or 失敗。 人はある瞬間の状態・結果に対し、このどちらかで評価します。 ですが、世間一般で取り交わされるこの評価、成功と失敗の基準といいますか両者を隔てる境界線は、明確な様に見えて実はとても曖昧で、そして多くの場合、一瞬の刹那的な評価だけに終始しがちで、長い時間軸の視点からじっくりと評価されることはとても少ない、という特徴があります。 ある瞬間の評価に意味はない 在学中の成績など最たるものですし(よく考えると、試験成績だけで優劣評価をするなん

          アントレプレナーシップとは

          子供の頃の「夢」 小学校6年生の頃だったでしょうか、「将来の夢」という作文を書いた記憶があります。皆さんもきっと、一度はあるのではないでしょうか。 私が子供だった頃は(昭和時代)、「野球選手になりたい」と書く子が必ずクラスに数人いましたが、「起業します!」と書く子はゼロでした。戦前はきっと、兵隊さんになりますと書く子がいたことでしょう。最近はYouTuberと書く子が多いかもしれません。 子供が抱く将来の夢は、その時代・社会背景に大きく左右されます。 しかし、ふと気づく

          アントレプレナーシップとは

          メートルとヤード

          猛暑の夏。最高気温が37℃超えという日も珍しくありません。 華氏で表すと100℉。この数字、摂氏の感覚だと沸騰温度です(笑) 考えてみると、一般的な温度単位は摂氏と華氏の二つが存在しています。 世界をどの様に測り数値で表すか。 今回は、この単位についてのお話です。 国際単位系 日本をはじめ世界標準として使用される国際単位系、いわゆるSI単位系では気温をセルシウス温度(摂氏)で表します。が、彼の国米国だけは、なぜか頑なに華氏表示です。(以前はJamaicaも、数少ない華氏

          メートルとヤード

          デザインとは

          幅広い定義 至る所で多用される「デザイン」という言葉。多くの場合 “意匠”、いわゆる “見た目”、ないしはその設計と認識されることが多い様です。たとえば、この車の “デザイン”、なかなかいいね、という風に。 今回は、そのデザインについてのお話です。 デザインとは何か。これを考え始めると、終わりなき奥深さに驚きます。 学術的な定義はさておき、実際にものづくりに携わる人の間でも今も議論は続き、絶対的な正解はありません。しかし、ものづくりの際にこの言葉をどの様に解釈し創造に臨

          デザインとは

          ポケベルと文化

          ポケットベル、通称ポケベル。皆さん覚えていらっしゃいますか? 全然知らない方も多いと思いますが、携帯が普及するずっと前から始まり、80年代から90年代初頭にかけて、一世を風靡した通信サービスです。 いわゆる無線呼び出しベルですね。 (「ポケベル」はNTTの登録商標ですが、ホッチキスみたいにサービス名として認識されています。ちなみに海外での一般名称はpagerです) 電波で相手を呼び出す (だけです) 相手を呼び出したい時は、ポケベルの電話番号に電話すると、基地局から呼び

          ポケベルと文化

          映画「君たちはどう生きるか」

          闇夜に響き渡る空襲警報の「サイレン」。 その語源はギリシア語の「セイレーン」。 あの徐々に高まる周波数は不気味で、人々の不安を掻き立てます。 映画「君たちはどう生きるか」。 闇の中で鳴り響くこのサイレンから始まる冒頭のシーンから、私は打ちのめされてしまいました。 どこまでも拡がる不思議な世界 傑作とは、意識の中に鮮やかな残像が残る作品。消えないどころか、無限に蠢き続けるのは怪作です。 7月14日に公開が始まった映画『君たちはどう生きるか』は、前者でもあり後者でもある。

          映画「君たちはどう生きるか」