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攻略「パラドクス研究部の解けない謎のナゾとき」

ここではノベルゲーム「パラドクス研究部の解けない謎のナゾとき」の主に「ゲーム部分」の攻略を解説しています。

ゲームは以下URLからプレイできます。


①「解ける謎」と「解けない謎」について

このゲームはストーリー重視で、一本道(エンド1つ)です。

基本的に選択肢を選ぶだけであり、誤った選択肢を選んだ場合は、バッド演出後に、直前からやり直せる仕様になっていますので、行き詰まることはないと思いますが、スムーズにプレイできるよう、以下に謎解きの攻略を記します。

しかし、このゲームは、ゲーム部分の謎解きよりも、むしろストーリーや用語解説、小噺、ノートの書き込みなど、いたるところに登場するパラドクスの概念そのものが「解けない謎」であるというスタンスで作っています。

また、ゲーム中には、多くの文学作品へのオマージュ、小ネタなども詰め込んでおり、そうしたすべてが「解けない謎」につながっています。

いわば、パラドクスという巨大な氷山があり、大部分は海中に隠れています(ここが「解けない謎」の部分)。
この海中にある巨大な氷山に支えられて、作者が用意したゲーム部分(こっちが「解ける謎」の部分)が海面に少しだけ顔を出しているわけです。

ここでは海面上に見ているゲーム部分(「解ける謎」)を中心に攻略しつつも、暗い海中に潜んでいるパラドクスの本体(「解けない謎」)についても少し触れたいと思います。

②オープニング

このゲームに登場するパラドクスは、有名なものが多く、ネットなどで調べればすぐに出てきます。

学術的な場面など、正確性が要求される場面では用語は正しく理解して使用することが必要ですが、このゲームはあくまでフィクションとして、概念を楽しむことを優先して作っています。

こうしたことから「interpreted by n.n.(この物語は、作者n.n.による解釈)」としています。
量子力学のコペンハーゲン解釈(Copenhagen interpretation)を踏まえて「n.n. interpretation」としようかとも思いましたが、意味が分かりにくそうなため、「created by」になぞらえて、このようにしました。

図形は、量子力学で有名な「シュレディンガーの猫」を意味するものでもあり、また、開けてはならないパンドラの箱でもあり、そしてサイコロでもあります。

サイコロは「神はサイコロを振るか」という量子力学の話や、出る目の確率という統計学の話、三次元と高次元の立体の形の話などに関わってきます。いずれも重要なパラドクスになってきます。

③第一パラドクス「始まりの春、永遠にさまよう俺」

この物語は一年間を通した物語になっており、最初は「春」です。
ゲーム部分としては、基本的に各章にQ1~Q3が用意されています。
NG選択肢を選んだ場合、バッド演出があり、Q1の直前からリトライになります。
バッド演出は、各章ごとに同じ画像が使われますが、会話内容は変化するようにしています。

Q1.そのスラックスは・・
「見知らぬ他人のスラックスだ」
「俺のスラックスだ」←こっちが正解。

なお、選択肢はモノクロですが、マウスを重ねるとカラーになります。

Q2.その場所は・・・
「初めて来た場所」
「さっき来た場所」←こっちが正解。

Q3.このパラドクスの正体は・・・
この質問はパネル合わせです。
「階段の果ては、崖になっていて、落ちる。」
「同じところを ぐるぐる 回っているだけ。」←これが正解。
「単に長い階段ってだけ。頑張ればたどり着ける!」

他の選択肢、あるいは組み合わせが完全に違う選択肢を選んだ場合のバッド演出は同じです。

④第二パラドクス「静なる言葉のハンラン」

「静なる」は「聖なる」のもじりであり、「ハンラン」は「氾濫」と「反乱」の意味を持たせたものです。
つまり「聖なる言葉が、静かに氾濫することで、ゲシュタルト崩壊という静かな、そして聖なる反乱(人間の認識に対する反乱)を起こす」というものです。

Q1.「黒」の文字はどれ?
「右下」の文字が正解。

なお、時間切れになった場合と、間違えた選択肢を選んだ場合では、若干会話が異なります。

Q2.赤い色の文字はどれ?
「上の段の真ん中」が正解。

Q3.消えている文字はどれ?
「中央の丸い部分」が正解。

⑤第三パラドクス「至高実験の夏」

「思考実験」をもじったタイトルです。
「至高」の存在とは、すなわち「神」を指します。
「神」とはその世界よりも一段階上の存在、あるいはその世界の外側にいる存在、という意味です。

ビーカー当てのゲームをしている場合は、ゲームの親が神に相当します。
ノベルゲームとしては、作者やプレーヤーが神に相当します。
そして、この現実世界にとってそれに相当するのが、いわゆる一般的に言う「神」です。

そうした「至高」の存在になれるかの実験、そして「至高」の者が行っている実験、という二つの意味が込められています。

Q1.どのビーカーを選ぶ?
「左のビーカー」
「真ん中のビーカー」
「右のビーカー」

この質問はどれを選んでも大丈夫ですが、選択肢によって会話は若干異なります。
どれを選んでもQ2以降に影響はありません。

Q2.選んだビーカーを変えてもいいけど・・・
「変えるべき」←こっちが正解。
「変えないべき」

Q3.変えると助かる可能性は・・・
「確率1.5倍」
「確率2倍」←これが正解。
「確率3倍」

⑥第四パラドクス「絶え間ない二人のお喋りと一本道のラビリンス」

個人的に最も気に入っている章タイトルです。
「絶え間ない」という言葉がどこにかかっているか、というのがポイントです。
「二人のお喋り」にだけかかっているとも読めるし、「一本道のラビリンス」の方にもかかっているとも読めます。

「一本道のラビリンス」とは「数直線」のことであり、絶え間があるかどうか、つまり、数直線が途切れているのか、つながっているのか、どちらでもありうるという連続体仮説をイメージしたものです。

また、「お喋り」というのも重要なキーワードです。

一本道なのに迷ってしまう「迷宮」というのは、僕の好きな作家J.L.ボルヘスの砂漠の話をイメージしたものでもあります。

なお、この章では一切キャラの顔を出さないようにしています。
キャラで最も重要な顔を描かずに、キャラを感じられたら面白いという趣向です。

Q1.この追いかけっこの結末は?
「追いつけない」
「追いつけるはず」←こっちが正解。

Q2.原因の正体は?
「俺の努力が足りないってことっすかね」
「「延々と繰り返す」ってとこが怪しい」←こっちが正解。

Q3.無限ってどんな大きさ?
「無限は小さくて無視できる」←こっちが正解。
「無限は巨大すぎて俺の手に余る」

⑦神々のcoffee break

一息入れる小休止の話です。
作者もプレーヤーも少し息を抜くという意味で、このパートにはゲーム部分はなく読むだけです。

⑧第五パラドクス「或る秋の日の生者、分岐点に立つ」

「生者」は「せいじゃ」と読み、「聖者」を踏まえたものです。
生と死が重要な意味を持つ章であり、本来こうした重い選択は、立派な「聖者」が行うべきものです。
が、現実はそんな風にはできておらず、生きている者がとりあえず選択していくしかない(死者が選択をすることはできない)という意味のタイトルです。

パラドクスのタグに表示がある通り、この章自体が「false」の位置づけとなっています。

この章の中で選択を行ったのはユウですが、その後レミが選択を行います。
そして、ノートで分かる通り、実はカサコも選択をしており、三者がそれぞれ選択をしたことが分かります。

Q.どちらの世界を選ぶ?
「右側」が正解。

この章の選択はこれだけです。
この後、選択肢が出てきますが、「一択」です。

⑨第六パラドクス「あまたのイミフ / たまさかのイミ」

タイトルは「多くの意味不明、ごくまれにある意味」というものです。

一つ目のピカソ的な絵は「右」が正解。

二つ目の「w」は「左」が正解。
この「w」は笑いを意味するネットスラングを意識しています。
元々「warai」だったのが「w」となり、「草」とまで変化して、もはや原型がありません。
こうした言葉の変化には賛否両論あるかもしれませんが、僕は言葉がしぶとく生き延びるべく変化しているものとして、面白くとらえています。
こうした想いから、章タイトルには「あまた」「たまさか」という、逆に古めかしい言葉をあえて使っています。

なお、物理学においては状態数「W」というものがあるようです。「取りうる状態の数」を示すもののようで、こうした概念も何らかの形でゲームに結び付けられたら、「w」つながりで面白いと思ったものの、僕には難しすぎる概念で理解が及んでいません。

三つ目の蝶のような絵では「真ん中」が正解。
この蝶はロールシャッハテストでよく出てくるものをイメージしています。
意味のない染みから意味を読み取るテストであり、また蝶は部室でのレミの話(テストの際のバタフライ効果)にもつながるイメージです。

⑩第零パラドクス「独白激白自白告白の冬」

これまでの振り返りの章でもあるので、カルタは今までのパラドクスを踏まえたものになります。
7枚のカルタは、それぞれの章の内容に対応しています。

質問は固定ではなく、ランダムで出てきます。

間違った選択肢を選んだ場合と、時間切れになった場合は、若干セリフが異なります。

一問目は、次の2つのどちらかがランダムで出てきます。
正しい組み合わせは以下の通りです。
・「猫も歩けばパラドクス」(coffee breakをイメージ)
・「読書百万遍、意味おのずから崩壊する」(第二パラドクスをイメージ)

元ネタは「犬も歩けば棒に当たる」「読書百遍、意おのずから通ず」です。

二問目は、次の2つのどちらかがランダムで出てきます。
正しい組み合わせは以下の通りです。
・「階段の上にも3年」(第一パラドクスをイメージ)
・「我(が)は通したし、正解は得たし」(第三パラドクスをイメージ)

元ネタは「石の上にも三年」「フグは食いたし、命は惜しい」です。

三問目は次の3つのどれかがランダムで出てきます。
・「一寸の中に無限」(第四パラドクスをイメージ)
・「2人を追う者は、一つの世界も得ず」(第五パラドクスをイメージ)
・「九回に一回ありげを得る」(第六パラドクスをイメージ)

元ネタは「一寸の虫にも五分の魂」「二兎を追う者は一兎をも得ず」
「九死に一生を得る」です。

⑪最終パラドクス「まっくろな沈黙とまっしろな物語」

パラドクスはまだまだ世界にたくさんあるというスタンスなので、「最終」と名付けるか悩んだものの、ゲーム的に締まりをよくするため「最終」としました。

用語解説にもある通り「色」も重要なモチーフで、光の三原色(赤、青、緑)は、そのままキャラたちの色にもなっています。
この三色から無限の色(物語)が生まれるわけですが、そのもっとも極端な形が、黒と白です。

黒はすべて塗り潰された闇というネガティブなものとも言えますし、一方で、埋め尽くされるほどの膨大なお喋りという風にも見えます。

白は何もない白紙に戻されたネガティブな状態とも言えるし、これから新たに始められるポジティブな状態という風にも読めます。

こうした両面の意味を込めています。

Q1.「壁から離れろ」
「右側」の壁から離れて立つユウが正解。

Q2.「姿勢を低く」
「真ん中」で伏せているユウが正解。

Q3.「できるだけ高い位置に逃げろ」
「真ん中」の高い位置にいるユウが正解。


最終パラドクスなので、最後にさらに質問が出てきます。

Q1.これからどうする?
「これで終わりだ。」
「あきらめるしかない。」
「まだできることがある。」←これが正解。

Q2.それは「生き返った」と言える?
「しょうがないだろ。ほぼ似た感じのユウで我慢するんだ。」
「自分という存在とは、元々そういうものだ。」←これが正解。
「コピーでごまかすんだ。」

最終Q.辿り着いた答えは?

パネル合わせです。
正解は、模様が丸になるようにして、「答えも自分も分からない。だから自分の気持ちをただ信じる。」とするものです。

模様が四角になるようにして「すべては虚無へと帰す。何も残らない。何の意味もない。」とすると、バッド演出の会話が見れます。

また、模様が八角形になるようにして「生と死から離れ永劫の繰り返しから離れ、このまま眠りにつこう」とすると、別のバッド演出が見れます。
これは、ゲーム的にはバッドであるものの、重要なものであり、もう一つのエンドとも言えるものだと個人的には思っています(が、これはバッドなのだ、というのが僕の強い想いです)。

上記以外の完全に間違えた組み合わせだと、また別のバッドです。


これでゲーム部分の謎はすべて解け、結末を迎えます。

が、冒頭に記したように「解けない謎」は、登場するパラドクスの概念そのものにあり、ストーリー、用語解説、ノート、小噺、小ネタも含めた全体が謎につながっています。

今回は章タイトルに込めた意味を中心に簡単に書きましたが、また稿を改めて、「解けない謎」について、じっくり書きたいと思います。
パラドクスの迷宮をさまよう楽しさが、少しでもお伝えできれば幸いです。

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