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パラダイムシフトが起こる世界の中で、前例のないことにチャレンジし、日本の強みを発信する ―enXross協賛企業インタビュー・PwCコンサルティング

皆さん、こんにちは。
enXross事務局です。

デジタル技術を活用した経済圏創出や、お客さまの感動体験アップデートの実現を目指す、東京ドームシティの新プロジェクトenXross(エンクロス)

こちらのnoteでは、世界のエンターテインメントとイノベーションの交差点・enXrossに参画いただくweb3領域の有識者、協賛企業の皆さまへのインタビューなどを通じて、イベントのビジョンと魅力などをお伝えします。

今回は、enXrossプラチナスポンサーであるPwCコンサルティングブロックチェーン・ラボラトリーの所長を務める丸山智浩さんと、マネージャーの峨家望さんに、web3×エンターテインメント領域での日本の勝ち筋をお聞きました。


お話をうかがった、PwCコンサルティング「ブロックチェーン・ラボラトリー」
所長の丸山智浩さん(右)、マネージャーの峨家望さん(左)

「持続的成長」と「信頼」を掲げて全方位のコンサルティングサービスを提供

― 貴社は世界中でコンサルティングサービスを提供しています。事業の根幹にあるパーパスと、ブロックチェーン・web3に関する最近の事業について教えていただけますか。

丸山さん 当社は世界151カ国に展開し、36万人以上のスタッフを擁するグローバルネットワークの一員です。「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」というパーパスを掲げ、世界で最も信頼されるプロフェッショナルサービスネットワークとなることを目指しており、成長戦略「The New Equation」では、Sustained Outcomes、つまり持続的な成長、そしてTrust、信頼の構築という2つのニーズに応えるとしています。

前者は、社会経済に大きな変化がある中でいかに成長を持続させるかという課題への対応。後者は、信頼の構築が困難になりつつある社会情勢の中でこれをサポートするということです。特に後者のトラストはenXrossのテーマであるブロックチェーンにもかかわる点です。私たちはこのパーパスを基礎に、戦略策定から実行までの総合的なコンサルティングサービスを提供しています。コンサルティングだけでなく、税理士法人や弁護士法人、会計監査法人など複数の法人がタッグを組んで対応している点も強みです。

web3関連では、2022年7月に経済産業省にWeb3.0政策推進室が設立されることに先立って行われた調査プロジェクトを受託しました。法規制・税制も含めた諸外国の状況調査や国内事業者へのヒアリングを行い、日本の事業環境の課題やその改善に必要なサポート、といったことについて調査、検討を行いました(調査報告書)。

― 顧客のニーズや社会のトレンドをどのように見ていますか。

丸山さん 戦争などの地政学的リスクやデジタル化による経営環境の変化、さらにSDGsなどに見られる環境上も含めた継続的な経営計画の策定が多くの企業、また社会全体に求められています。加えて、この50年ほどで社会経済のパラダイムシフトが起きています。これは主にデジタルテクノロジーによるものですが、次に何が起きるのか、多くのクライアントが注目しており、焦点の一つがweb3です。これまで、web2の世界では巨大なプラットフォーマーが勝ち、そこで勝つことができなかった日本の状況は「デジタル敗戦」とも言われます。新たな変化は脅威である反面チャンスでもあり、web3のパラダイムで日本の勝機となりうるチャンスは何かということに、各社の経営層が注目しています。

峨家さん web2時代は、前例を踏襲して学習することで、ある程度、将来が見通せました。

それに対し、VUCA(変動・不確実・複雑・曖昧)と言われる現代は、経験だけに頼らない柔軟な発想が求められます。同時に、持続可能性も維持する必要があり、バランスを取りながら事業を策定していくことが重要です。web3のパラダイムでの勝ち筋を考えるときにも、どこかの成功体験を真似するのではなく、頭を絞りながら柔軟に対応することが求められていると感じます。


VUCA(変動・不確実・複雑・曖昧)の時代と言われる今、
事業開発やマネジメントは新しいパラダイムに移っていると指摘する峨家さん

世界を変えるインパクトをもった技術、ブロックチェーンの社会活用に取り組むBlockchain Laboratory

― お二人は2020年に開設されたBlockchain Laboratory(ブロックチェーンラボラトリー)に所属しています。こちらではどのような活動をされていますか。

丸山さん PwCは世界で勃興する250以上のテクノロジーをサーベイし、その中でも特に社会に大きなインパクトをもたらす8つのテクノロジーを「エッセンシャルエイト」と呼んでいます。ブロックチェーンはこのうちの一つで、私たちはブロックチェーンという技術をどのように社会に価値を生むものにしていくかにフォーカスして取り組んでいます。

先ほどご紹介した経産省での調査事業で得られた知見をベースに、さまざまな企業に全方位でアドバイザリーを提供しています。

― 日本での取り組みの傾向や特徴的な動向、ユースケースなどはあるでしょうか。

丸山さん 日本は政官がweb3のムーブメントに対して前向きだという点は大きな特徴です。それに伴って、大企業トップも強い関心を示し、大きな投資をすると決断しています。

峨家さん 日本は一つのことを深く、時間をかけて突き詰める傾向があると思います。例えばNFT(非代替性トークン)は、海外では比較的ドライに、ツールの一つとして活用されていますが、日本では高い情熱をもって活用方法が試行錯誤されています。

また、規制の面でも日本は進んでいる印象です。先んじて規制があった結果、世界的な暗号資産取引所の破綻が起きた際も大きなダメージを受けずに済みました。先進的な規制、そして深く粘り強くコミットし続けるという点がうまくかみ合えば、よりよいweb3の形が見えてくるのではないかと思います。

丸山さん 私たちはweb3をNFTとDeFi(分散型金融)、DID(分散型ID)、DAO(分散型自律組織)の4つに分けています。NFTは主にエンターテイメントの領域で、またDeFiは金融領域で新しいビジネスを検討するクライアントへアドバイザリーを提供しています。また、中央集権的なアイデンティティプロバイダに依存しないDIDは、業態を問わずに新しいビジネスの可能性がありますし、DAOについても、今後法制化が議論されるという流れがあり、調査などを進めています。

ユースケースはまだ少ないですが、漫画やゲームなど、日本には文化的なオリジナリティというポテンシャルがあります。これを活用して日本独自の戦略を打ち出していく方向性があると考えています。

例えば、コンテンツ業界では現状、二次流通、二次創作が発生しても原作者は適切な収益が得られないケースが多々あります。特定のプラットフォームに依存せずに信頼性が担保される市場ができれば、クリエイターが適切な収益を得られるエコシステムを作ることができます。こうしたNFT関連の動きは日本の強みを生かせるユースケースになりうると考えています。


文化的なオリジナリティをもつ日本はブロックチェーンや
web3を活かすポテンシャルがあると語る丸山さん


エンタメとweb3の可能性、日本の強みを生かす「チャレンジ」が必要

― コンテンツ領域でのweb3活用については、ジャパン・コンテンツ・ブロックチェーン・イニシアチブという団体での活動もあるそうですね。

丸山さん ブロックチェーンを用いてコンテンツ・著作情報をより安全に管理し、活性化することを目指しているコンソーシアムで、コンテンツ系の企業やIT企業など、この領域に可能性を感じる企業が続々と集まっています。業界標準策定の検討や行政への意見提出を行うほか、ビジネスアイデアを交換して共創することが主な活動です。当社メンバーは社会実装推進を担う部会へ部会長として参画しているほか、メディア編集長として活動をサポートしています。

― ブロックチェーン技術を社会に実装していくために、必要なこととは何でしょうか?

丸山さん 新しい発想とチャレンジですね。Web3によるパラダイムシフトが起こり、新しい考え方、世界がつくられようとしている今、何かの模倣ではうまくいきません。前例がないことを恐れずにチャレンジする姿勢が、価値を生み出すために非常に重要だと思います。

このインタビューの前に、チームで話していたのですが、日本は「ガラパゴス化」で世界から取り残されたという過去がありました。ですが、ガラパゴス化を恐れず新しいことに挑戦し、世界を魅了していけば、新しいスタンダードを作ることができる可能性があります。

― 新しい取り組みという点では、今回のenXrossにも通じそうです。

峨家さん web3を軸に考えたときの東京ドームに、多様なIP(知的財産)をもつ企業や、自らコンテンツを作る個人などが集まり、交流する場を提供できれば、スケールの可能性がありそうです。新しいエンターテイメントのかたち、新たな世界観を示す一手目がenXross AWARDだと感じていますので、そうした期待をもってご一緒させていただいています。

丸山さん 物理的な環境である東京ドームシティとweb3の組み合わせはお互いを補完できると思いますし、新しいものを生み出すには、新しい組み合わせが必要です。物理的なブランドをもつ東京ドームシティとweb3を組み合わせるというコンセプトに非常に可能性を感じたことが、協賛の大きな背景です。

― 日本独自の強みを打ち出していく第一歩としてのenXrossの進展が楽しみですね。本日はありがとうございました。


東京ドームシティの新プロジェクトenXrossについてはhttps://www.tokyo-dome.co.jp/enxross/をご覧ください!

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