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揖保乃糸を束ねている赤いテープの糊を、「君たちはどう生きるか」に出てくるコメ糊に変えていただけないでしょうか

子供の頃は工作が好きで、よく家にある広告チラシ、端切れの布や段ボールを使って一人でゴソゴソと何かを作って過ごしていた。母親や祖母からしたら不用品からゴミを作っている状態だったのは容易に想像できるのだけど、家の中には大したエンタメがなかったのと、私の工作行為は相対的に無害ということで誰からも放置されて何時間も夢中になれた。もし途中で、糊が足りない!となった時はおばあちゃんが残りご飯の粒をすりこぎで潰してちょっと水を混ぜて糊にしてくれて、時には粘着力を上げるために再加熱までしてくれた。コメ糊の粘着力は当然3Mのボンドなどの化学製品に比べるとイマイチなのだけど、小学生レベルの工作においてはとりあえずの間に合わせにはなった。

こんな風景、すっかり忘れていたのだけど、昨日みた「君たちはどう生きるか」で真人少年が矢尻に青鷺の羽を貼り付けるのに米櫃から炊いた米をくすねて口の中で柔らかくして糊として使っているのをみて思い出した。映画の中では、その糊は十分に強力なもので、切った張ったのやんちゃな動き方をしても数日に渡って粘着力が維持されるものとして描かれていたけど、私に言わせれば否!そんなことはあり得ない。米で作った糊は紙を面と面で貼り合わせるならある程度役に立つものの、羽のようなものを面に対して垂直に貼り付けようと思ったら極めて脆弱なのであります。疑うならぜひお試しあれ。

というのはさておき、今日は帰宅が遅くなってしまったのでご飯を炊く20分も惜しくて(我が家は炊飯器がもう1年くらい壊れていてご飯で鍋で炊くので20分で炊けます)、素麺にしようとお湯を沸かした。子供達がご飯はまだー?と騒いでいる。うるさい。お湯が沸く8分くらいの間におかず二品とお味噌汁とでっちあげ、ぼこぼこと沸騰したたっぷりのお湯で揖保乃糸の素麺を茹でようではないか!そしたらあと2分で完成だと思って、赤いテープで縛られた束をほぐしながら六束をずんどう鍋に投下していく。最初のうちこそ良かったものの、焦りが高じて最後の二束は赤いテープがきちんと解けないまま鍋に入ってしまった。箸で掬い上げようとしたが引っかからない。「ま、それでもテープが自然に外れてちゃんと茹だるかな」と淡い期待をして2分後にザルに引き上げたら見るも無惨、赤いテープがしっかりついたままの素麺二束がザルに上がっているではないか。流水で冷やしながら赤いテープを遅ればせながらはさみで切ってみると、縛られていた部分は火が通っていなくて小麦粉色のまま。オーノー。そこだけ追加で茹でるわけにもいかないからキッチンバサミを取り出して、局所的に茹っていない部分を除去するという怪しい外科手術をしつつ、全体を流水で冷やす。すべての行為に無駄の匂いがしすぎる。君は私が何のために素麺にしたと思ってるんだ・・・って誰に伝えたらいいのかわからないけど悔しいし茹で汁を溢した後の湯気も熱いしで顔全体から汗がにじむ。

揖保乃糸の中の方にご提案なのだけど、この揖保乃糸の赤いテープは、どうかどうか、「君たちはどう生きるか」に出てくるような米で作ったコメ糊で貼り合わせていただけないものでしょうか。きっと全国の手元のおぼつかない私みたいな人が100万人くらいはいて、毎年夏に全く同じ風景「ヤベ。赤いテープごと鍋に入っちゃった。」が繰り返されていると思うのです。「アチ。しまった!クソ。あちち。うわ。茹ってるかな。うわ。やっぱり茹ってない。アチチ」みたいな消費者の顔、もう企業として見たくなくないですか?もし、あの赤いテープを結んでいる糊が、コメ糊くらいの勢いで溶けてくれたら、きっと5秒であの束は鍋の中にほぐれ放たれ、沸騰するお湯の中で他の素麺と共にダンスができて、それが茹で時間わずか2分の中でのキャッチアップ合戦だとしても、全体としてはほぼいい感じに仕上がるはずだと思うのです。

この願いがどうか揖保乃糸の中の方に届きますように!と思いつつ。ついでに「君たちはどう生きるか」が翌日まできちんと心に沁みる良い映画だということもお伝えしておきます。

今日も暑い一日、お疲れ様でした!

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