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デューン砂の惑星

新しくリメイクされるにあたって、主演だったカイル・マクラクランがSNSでこの映画「デューン」を監督のデビット・リンチが見たくもないし、話したくもないっていっているけど、私にとっては、原作の「デューン」を年に一度は読み返す愛読書なんで、期待していると書かれていた。

カイルはこの原作が好きで映画で出たくて出たくてオーデションに行ったらしい。それは当時の映画雑誌スクリーンでも語っていて、全然話も知らなくて興味のない監督に色々とアドバイスした。デビットとカイルはシアトル辺りの田舎の人で地元の話で気が合ったらしい。そう、ツイン・ピークスの舞台である。ここから、彼らのタッグは始まったのでした。

デビット・リンチが嫌がったのは当たり前で、元々はフランス映画界が英語で企画したものだったらしい。カルト作家であったホドロスキー監督が、予定されていてた。彼はエイリアンで有名なギーガーを映画界に引っ張ってきた。そして、マンガ家のメビウスを参加させたりしたらしいです。

ものすごく綿密は企画書があって、それがばらばらにされてエイリアンに使われたり、アメリカのメジャーで売り出し中のデビット・リンチを、第二のルーカスにするために使われた。

その経過は、最近放映されたドキュメンタリー「ホドロスキーのDune」にすべてあった。元プロデューサーがですね、レア・セドゥのお父さんだったりしてですね、前衛好きな高踏さに驚いたりします。この企画が通ったらすごいものになったっつことでのリメイクです。まあ、ものすごい企画ですが、サグラダファミリアって感じなので、これもほんのさわりだと思いますが。

そのあと、私はホドロスキーの「リアリティのダンス」を見まして、とても身をつまされ感動したのでありました。

というか、最近のベスト映画のひとつです。

私が評判がすでに悪かった「デューン」をなぜ見に行ったかというと、原作を読んでいたからです。私のオタ友達が大好きな小説で一緒に読んでいたからです。

デビット・リンチがメジャーな方々にコントロールされてさんざんな思いの映画ですが、いわゆる芸術映画を見たことがなかった私にとっては、こんな美しい映画があるのかって感動しました。あの砂のダイナミズムとグロテスクな怪物。今見るとストーリーが投げやりですが、好きな話が語られているそれだけでうれしかった。そして、カイルの美貌にうっとりしました。その後、カイルは全然売れなくて、スクリーンにあった助演のスティングのあいつはあほだぜって言葉にがっかりしたりしました。彼は学校の先生をしててアメリカンボーイのカイルが気に入らなかったようです。そのころ、ポリスのアルバムを聴いててファンでしたので悲しかったな。

デューンは私がデビット・リンチの世界を知るきっかけになった映画、友人との思いでのかたみ、そして、ホドロスキーを知る映画になりました。

最後に蛇足ですが、原作「デューン」は1960年代のアメリカの現実をうつしたものです。出てくるスパイスとは麻薬のことかなって思います。現代の科学が起こす万能感の幻想を語っているように思いました。文学史上の作品になっているようで、膨大な研究があると思いますが。それが友人が大好きな石ノ森章太郎さんの挿絵がたっぶり入っていて、早川文庫から出てました。


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