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おにぎり

 えびの天ぷらを握った天むすをみて驚いた。そうか、この手があったのか。えびの甘みが香ばしくて、お酒にもよくあう。おいしいではないか。油っこいのもありだ。今はから揚げをいれたおむすびもある。衛生的に冷蔵できるコンビニがふつうになって、いくらやらまぐろやらの生っぽいおにぎりもふつうに食べれるようになった。普段、そんなゆたかなおにぎりを私たちは楽しんでいる。でも、日常はちょっとした自然のきまぐれであっという間にかわってしまうんだ。そんなことを今回の熊本の地震のテレビ画面をみながら思った。

 そして、ほんとに何も口に通らなくなったとき、そして、料理も作りたくなくなったとき、作って食べられるのは、シンプルな塩むすびなんだな。でも、塩むすびってなんてゆたかなたべものなんだろう。炊かれたお米が衛生的に日持ちするように、しおを使って、人間の手で固めることでできるって、誰が最初に思いついたんだろう。それは力ないこどもやお年寄りでも、誰かのために作ることができる。おにぎりはお米が日本にきた歴史とともに、いつのまにかそっと私たちのそばにいた。そんなふうに思いながら、みじかなひとにおにぎりを作っていこうと思った。


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