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パイロット sシリーズ/スタンダード(一般筆記モデル)

パイロットが誇る名作シャープであるsシリーズ。
2000年のs3発売を皮切りに、製図も一般筆記もできる万能シャープとしてその種類を増やしながら現在まで根強い人気を誇ってきました。現在ではs30を除く全てのモデルが製図用の4mmガイドパイプを搭載しています。

ですが、かつてガイドパイプがないスタンダードモデル、いわば一般筆記モデルがあったことをご存知でしょうか?
今回はそんなsシリーズスタンダードについてのまとめとなります。


スタンダードモデルの概要

sシリーズのスタンダードモデルはs3とs20のみの展開となっています。販売期間はおよそ2年間。
ですから流通量も少なく、またそれに関する情報もあまり多くはありません。

正式名称は「s3/s20 スタンダード」。今だと一般筆記という呼び方が多いような気がします。
ここでは一般筆記=スタンダードとした上で、名前をスタンダードの方に統一させていただきます。


詳細

s20スタンダード
(HPSN-2SK-DBN)

s20スタンダード
品番:HPSN-2SK-(DBN/DR)
発売年:2007年4月頃
廃番年:2009年(時期不詳)
定価:2000円(税抜)
芯径:0.5のみ
カラー:ダークブラウン/ディープレッド

s3スタンダード
(HPSN-30R3-TY)

s3スタンダード
品番:HPSN-30R3-(TB/TR/TL/TG/TY)
発売年:2007年4月頃
廃番年:2009年(時期不詳)
定価:300円(税抜)
芯径:0.3のみ
カラー:透明ブラック/透明レッド/透明ブルー/透明グリーン/透明イエロー

考察
どちらも品番は製図用モデルがHPS-から始まるのに対して、
スタンダードモデルはHPSN-となっています
これはおそらくnormal(一般/普通)のNだと思われます。


スタンダードモデルの特徴

製図用モデルとスタンダードモデルの違いを2つ、それぞれ下に示します

ノックキャップ

s3
s20

それぞれ製図用では硬度表示のためのプラパーツが付いていましたが、スタンダードモデルは金属のみで構成されています。
s20はボールペンと似ていますね。あちらは上部に木が入っていますが

上部には横線と芯径を表す0.3/0.5が記されています

口金

s3
s20

口金は製図用と異なり砲弾型のような見た目をしています。
s3には申し訳程度にガイドパイプ(2mm)が付いています。このようになった経緯としては
s3は0.3のみの展開であるため、芯の折れやすさを考慮した上での2mmガイドパイプであったと考察ができますね


考察

ここからはsシリーズスタンダード(一般筆記)についての個人的な見解を話していこうと思います。

まず1つめ。
執筆中に少し引っかかっていたことですが、
なぜ、製図も一般筆記もできるsシリーズにわざわざ一般筆記特化モデルを作ったのだろう?
ということについて。

こちらに関しては推測の域を出ませんが、
製図用4mmガイドパイプを搭載しているが故にガイドパイプがよく折れる
というのが背景にあるような気がします。

かつてはメカニカやダブルノック式シャープなど、ガイドパイプを折らない機構を作る努力がなされてきました。
それほど製図用4mmガイドパイプというのは折れやすいものです。

現在でもs20の口金が折れた/曲がったという話はよく聞きますし、当時もやはり落として曲げたり折ったりしてしまう人が多かったのでしょう。

元々sシリーズには製図としても利用可能という売り文句があり、一般層向けのものであったと思われます。
しかし耐久性に難アリの4mmガイドパイプを搭載してしまっては何かの拍子に折れてしまう危険性が高くなってしまいます。

そこで4mmガイドパイプを不要と見なし完全に一般層向けとして登場させたのが
このsシリーズスタンダードであったのではなかろうか、と考えています。


次に2つめ。
なぜ2年という短期間で廃番になったのだろう?

これは実際に使用するとその理由が自ずと見えてきます。
このsシリーズスタンダード、ガイドパイプがないので使いにくいです。

s3は全然そんなことはなくて使いやすいのですが
s20に関しては落としても折れないメリットよりも書きやすさの損失というデメリットの方が大きいです。
使い物にならないというほどではないのですが、いかんせん製図用の出来が良すぎたかなと思っています。


長らく話題になることも少なかったsシリーズスタンダード。
2年間しか販売されていなかったこともあり情報が少なく、まとめるのが大変でした。

名作シャープの隠れたマイナーモデルというロマンしかない響き、とても良いと思います。

なおロマンだけではなく、s3スタンダードに至っては普通に使いやすく個人的には製図用よりも書きやすいと思いました。
入手難易度は高いですが、是非とも製図用との違いを実感してみてはいかがでしょうか。

さて、今回はここまでで締めさせていただきます。
ここまでご覧いただきありがとうございました。





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