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分かったからってデキるとは限らないぞ!

算数、数学の学習で、保護者からよく聞く声があります。

「授業では分かったと言っているのに、宿題をやるとできない。」

整合性を欠く現象に見えますが、実は非常に自然な現象です。
一番分かりやすいのはスポーツに例えることです。

大谷翔平選手を思い浮かべてみてください。
大谷選手のバッティングフォームを研究するとします。

ビデオをスローモンションにしたり、角度を変えたりしながら徹底的にフォームを分析します。

「なるほど、このタイミングで、左手はこうして、右手はこう動かすのか。」
「ほうほう、右足は肩幅からこれくらいの位置に、このタイミングで持っていくのか。」

「よく分かった。じゃあやってみよう!」

と言って、同じようにできる人はいるでしょうか?

野球がピンとこないのなら、ボクシングの井上尚弥選手でもサッカーの三苫薫選手でも構いません。どれだけ分析して動きを理解しても、すぐに同じことを再現するのはまず不可能です。

これには皆さん納得できると思います。
実は、算数や数学にも同じようなことが起こるのです。
特に中学受験の算数や高校受験の数学では特にそうです。

しかし、なかなか想像しにくいのが現実です。
習ったらできるはず、そう思いがちなのには理由があります。

例えば、学校で習う算数を考えてみます。
今日の算数の授業で習った単元が宿題で出ました。
大抵の場合、マルがつくのが前提の問題が続くはずです。
途中からは作業のようにこなしていくことができることも珍しくありません。

そう、一回習っただけでできるのです。

しかし、どんな単元でも難度が存在します。
通常、塾で学習するのは、難度は高めに設定され、色々な角度から深く理解していくものです。

そうなると、解答まで辿り着くのに、思考のプロセスが複数存在し、色々な知識を組み合わせなかればならないことが多くなります。

つまり、ただバットを振るという動作だけでなく、右手左手の位置や足の位置、腰の捻り方やインパクトのタイミングまで考えないといけなくなるのです。

もちろん、大谷選手のバッティングを再現するほどの難度ではありませんが、授業で先生が見せた解法を再現するのは、一回習っただけで即再現できるものでもないのです。

ですので、

「分かるとデキるは違う」

のです。
まず、保護者の皆様には、この「分かるとデキるは違う」ということを理解頂き、あたたかく見守って頂けると嬉しい限りです。

え!?

「分かるけど、黙って見ているなんてデキません!
分かるとデキるは違うんです!!」

分かりました、デキるようになるまで何回も言いますね。