ピアノ連弾作品を作曲しよう!④旋律の流れ
●作曲を進めましょう。
コンサートも近くなり、作曲も急ピッチで進めている生徒さん。
「うーん。」
おやおや、難しい顔をしてしまって。また何かお悩みですか。
生徒「センセー。」
●音楽の「流れ」
「和声の骨格に合わせてメロディーを作ってみたんですが、どうもギコチナイというか。」
どれどれ。おお。これはサラバンドという形式の音楽ですね。
音源はこちら↓
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旋律も和声も間違えはないのですが、停滞感といいますか、モタモタした感じといいますか…
なるほどなるほど。それでは今回も大切なことをお伝えしましょう!
●音楽の停滞感…。
3、4小節目を見てみましょう。
フレーズの終わりが、属七の和音から主和音に進行していますね。
これは自然な流れであり、正しい。正しいのだけど…
●音楽の句読点!
バス(最低音)の音に注目してください。
わかりやすく、ハ長調で例えますね。
この進行です。このバスに注目しますと、属音(G)が主音(C)に進行していますね。
この進行を「完全終止」と言います。「全終止」と言う人もいますね。
この終止形は文字通り、音楽の完全な終止、つまり停止を感じる響きとなります。
文章に例えると、文の終わりである「。(句点)」のような意味を持ちます。
●音楽の終止形を意識しよう!
つまり音楽の流れが一旦停止する印象を受けるんですね。
完全終止を多用すると、音楽の一文が短くなってしまい、「私、食べる。」「私、寝る。」「私、元気。」のような音楽になってしまいます。
先ほどの生徒さんの作品は、3、4小節目と、7、8小節目で完全終止になっているので、短い文章が2つ、という読後感があります。
生徒「確かにそんな感じしますね!ではどうすれば…?」
先生「では、次の響きはどう感じますか。」
さっきの属七の和音を、転回させて一番下の音をHにしてみました。
生徒「停滞した感じが弱まりますね!」
文章の終わりが不安定になり、動的に感じます。
これを「不完全終止」と呼びます。
●バスの動きに気をつけよう!
それではバスの動きに気をつけて作り直してみましょう!
生徒「わかりました!」
音源はこちら↓
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音楽が動的になって、前進する感じになりましたね!
音楽には様々な終止の種類があります。終止の一つ一つの効果を勉強していきたいですね!
それではまた、次回もお楽しみに!
●お知らせ!!
今回連載しているピアノ連弾作品が初演される演奏会はこちら!
ゆうがたくらしっくおんがくvol.3
日にち:2023年10月19日(木)
時間:18時
場所:鎌取コミュニティーセンター3階多目的ホール
ぜひお越しください!!
●最後に…
私たちeqhor music labo Tokyoでは、今後も、珍しい切り口から音楽理論に関する記事、作品の配信と通して、音楽の魅力を発信していきます。
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○生徒:平田真里奈
《プロフィール》上野学園高等学校音楽科演奏家コースを経て上野学園大学演奏家コースに特待生として入学。現在4年次に在籍。合唱、器楽、声楽の伴奏及びソロのほか2022年「Pianoduoまなつ」を結成し演奏活動を行なっている。
第11回東京ピアノコンクール高校部門 審査員特別賞、第82回東京国際芸術協会新人演奏会オーディション、コンセール・ヴィヴァン新人オーディション(室内楽部門)合格、第25回万里の長城杯国際音楽コンクール優秀伴奏者受賞。
ソルフェージュと作曲を武澤陽介、室内楽を荒井伸一、声楽伴奏法を吉田伸昭、ピアノを佐古田彩子、安田正昭、星子知美の各氏に師事。
○Pianoduoまなつ
石川千夏 & 平田真里奈 (Piano)
出会いは幼稚園時代。音楽を通して繋がり、2022年第6回きらり鎌ヶ谷アーティスト発掘プロジェクトへの参加を機に「Pianoduoまなつ」を結成。
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