93歳のケイ兄は今年、柚とりを断念した。

写真の左にある石段を20kgのコンテナ（現役の頃はこれを3つ）を持って上がらなければならない。

通常は1本の柚子の木に1杯のコンテナ。

180個×100g=18kg

その年の生産量にもよるが、生産地では150円/kgほどで柚農家から買い上げられる。つまり、1コンテナで2,700円。

1本の柚子の木にかかる時間を約30分（ベテランはもっと早い）としたら、100本の柚子で約1週間かかる。

収入は27万円（燃料代等の必要経費も含まれる）。

年間5回の草刈りと剪定、施肥、石垣補修、剪定枝の処理など、およそ60日の労働が最低必要。時給にすると560円ほど・・・。

この規模だと決して「おいしい仕事」ではない。

しかし、子どもたちや都会から来る人たちのためにケイ兄は柚とりや柚搾りを気安くさせてくれ、「ゆうもってけ」と柚子の木を持たないわれわれにもわけてくれてた。

柚子だけではない、平地に比べ中山間地で農地を維持するだけでも大変なことだ。

このことを知った上で、さぁこれからどうする。

現代の貧相な経済に追従するのではない処方箋を見出したい・・・。