見出し画像

当たり前はない

若い頃は私も、当たり前に考えていたことも、年々当たり前じゃないんだなと思うことが増えてきて、その度に、一人でありがたやーって思うことがあります。

その中でも特に、歩けるということは当たり前ではないですよ、ということを常々周囲に言っていて、年齢を重ねても、今歩けるならば、可能な限りそれを継続できるようにしましょうと伝えています。

仕事柄、介護の施設に運動指導に行くこともあります。

施設や介護度などにもよりますが、多くの方が歩行が困難であったり、自力での移動は難しい方もおられます。

自分の足で歩けるならば、例え施設にいたとしても、好きな時にベッドから起き上がり、行きたい時にトイレに行き、移動だって誰かに頼まなくてもいいのです。

それが一番いいとは思いますが、歩行が難しくなれば、誰かにお願いしなければならない場合も出てくるでしょう。

ただ、どこの施設でも介護職員は不足しており、それぞれの職務に忙殺され、多数の利用者さんに対して、一人一人ずっと常に付き添えるわけではありません。

また、歩行は全身運動のため、全身の骨格、関節、筋肉をバランスよく使っており、リズムよく歩行をすることで、セロトニンが分泌されます。

そうすると気分が落ち着いたり、気持ちを明るくしたり、集中力が増してきます。
脳への関係も大きく、歩けなくなると認知機能にも影響が出てくるかもしれません。

以前は私も、歩くことを何か特別なこととは考えてはいませんでした。
運動指導の仕事を始めてからですが、仕事の資本はこの身体だ、と思って以来、まず足を大事にするようになったのです。

そうは言っても、何かマッサージをするとか、ストレッチをするとか、そういったことではなく、

お風呂に入った時は必ず足からとにかく優しく洗い、
『今日一日たくさん歩いてくれてありがとう』と声を掛けます。
それだけです。

あとは身体の悪口『歩き方が悪い』とか『足の形が嫌』みたいなことは、絶対言いません。

もう20年ぐらい、毎日お風呂では『ありがとねー』のやりとりが繰り広げられています。

本当にそれだけですが、この20年一度も身体を痛めたり、ケガをしたことはなく、病院のお世話になることもほとんどありません。

ですから、介護の施設に行くことがなければ、なかなかそういった現場を見ることもなく、私もそこまで歩行について考えなかったと思います。

今まで歩けていた人が歩けなくなった時の生活、そして不自由さを目の当たりにし、そういう人を一人でも減らしたいし、自力歩行が可能であれば、出来るだけ長く、自力歩行する人を増やしたいと思うようになりました。

多くの人が、自分の足で歩けるということを、当たり前に考えすぎているのではないか、と思うのです。

年齢を重ねると、周囲のスピードについていけないこととか、身体の変化を年々感じるようになります。

生活にそこまで影響がないことも多くありますし、もしかしたら高齢になって歩行が困難になるのもその一つ、ぐらいに考えている方もおられるかもしれません。

また、普段何も考えずに出来ている事であれば、それがいきなりできなくなるなんて想像もつかないでしょう。

施設で一歩も動けない利用者さんを見て、まさかこんなに歩けなくなるとは思っていなかっただろうなと思い、胸が痛くなることがあります。

すべてがお金で解決できるわけではありませんし、動きが悪くなったらドラえもんのポケットから新しい身体が出てくるわけでもないのです。

私達は与えられたこの身体で、寿命が尽きるまでやっていくしかなく、だったらせめて最後の瞬間まで、可能な限り快適に生きられる方がいいと思うのです。

では、快適に過ごすにはどうしたらいいのでしょうか。
それにはやはり、今この身体にいつも、毎日感謝し続けることだと思います。

例えば、パソコンとか目をたくさん使う仕事をしているのなら、
目に向かって『ありがとう、今日もお疲れ様』とか、

身体を酷使したり、仕事でより多く使う身体の部分に、感謝の気持ちを伝えて、その部分を意識的に癒すような気持で過ごすと良いと思います。

また、お休みの日は、その部分を休ませてあげたりするのもよいでしょう。

私も何もないのに躓いたり、たまには足首を捻ったりすることもあります。

なのに、いつも大事にならずに済んでいるのは、毎晩のお風呂のやり取りだと思っていますし、それを続けてきたおかげで、歩けることに感謝を感じられるし、当たり前じゃないと認識できています。

とにかく大切にし、感謝して、与えられたこの身体で生きていくということ。
それは、この身体に責任を負うということです。

この身体で生きていく。
そして、私の身体に責任を負う、と思えれば、身体に悪いことはできなくなるでしょう。

食べ方や飲み方、普段どういう身体の扱いをしているかが、高齢になって結果が出ます。

その時に、大切に扱ってきたか、そうではなかったか答え合わせをさせられると思うのですが、その時のことを考えて今日一日を過ごしてみるといいかもしれません。

いかがでしたか。

今日もお読みいただきありがとうございます!




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?