Era

東京でベリーダンス(Tribal Fusion)を踊ったり教えている駆け出し会社員ダン…

Era

東京でベリーダンス(Tribal Fusion)を踊ったり教えている駆け出し会社員ダンサーの日記です。お笑い | ファッション | ポケモンが好きです。instagram: @wkk0

最近の記事

  • 固定された記事

#26 お便り送っとけます

好きなダンサーさんのとある動画投稿をもう一度見たくて、instagramの「保存済み」コレクションを遡っていたら昼休みが終わった。   この時期はK-POPよく聴いてたなあ。   コンペで映えるメイク頑張って研究してたな。   買おうか迷ってた服、懐かしっ。   新しいタトゥーのデザイン   考えるのワクワクしたなあ。   粗品、若っ。 SNSでいつものタイムラインではなく「保存済み」欄を見返すのは、思い出を自らの外に求める行為だ。 すべてが他人事であるはずの投稿群からは

    • #30 泣いたあと重ね塗りするラメみたいに

      (最近の日記メモです。短い順になってます) 1. 「美味しいものでも一緒に食べよう」って言ってくれる人達がいるから、 オートミールともずく酢と卵を混ぜてチンして納豆かけたやつを家ではほとんど毎日食べている。 2. 自分の顔や身体が醜くて苦しいと、自らを醜形恐怖症だと言って車のシートにうずくまって泣く女の子の動画がyoutubeに流れてきた。 こんなの見なくていい。 分かっているのに、洗濯物を取り込みながら最後まで再生していた。 共感や憤りや憐憫が甘美に混じり合ってから腐っ

      • #29 へびにらみ

        生きることは、殺すことだった。 レシピ動画を検索していたら何故か全く関係のない「ボールパイソンがネズミを丸呑みにする動画」がヒットした。 視野が狭く耳も退化しているヘビは、代わりにヤコブソン器官という嗅覚器官で獲物の体温やにおいを察知するらしい。 そうして音もなく忍び寄り、一瞬で急所に噛み付き、時間をかけて絞め上げ、頭から飲み込んでいく。 ひるがえって、ゆっくり息の根を止められて少しづつヘビの胃に収められていくネズミ。命のやり取りの一部始終に釘付けになっていた。 もはや自分

        • #28 星を見ていた

          とある仕事を引き継いだ。 ”大事な資料にはファイル名に星をつけておいた”と聞いていたフォルダを開くと、ほとんど全てのファイル名に「☆」や「☆☆」や「★」が散りばめられていた。 なるほどご丁寧に末尾にまで。 一面の星空を見てこんなにも心躍らないことがかつてあっただろうかと、無機質なプラネタリウムをしばらく悄然と見下ろしていた。 資料整理がひと段落したので少し散歩に出かける。 夜に行くとしんと静かな散歩コースの公園では、色々な年代や人数の人たちがそれぞれに昼下がりの時間を憩って

        • 固定された記事

        #26 お便り送っとけます

          #27 why i dance

          朝起きるとiPhoneが8:00を示していた。1時間の寝坊を悟ると同時に跳ね起きてバスルームに向かう。アラームをかけ忘れるとは迂闊だった。 昔からなぜか時刻きっかりに目が覚めることが多くて、これって自分の体内時計がすごく正確っていう ある種の特殊能力なんでは?なんて自惚れていたこともあった。 でも実際には2つ並んだ0が寝ぼけ眼の網膜に鮮烈に刻まれるから、何度か同じようなことが重なると”ほとんどいつもそうである”気がしてくるだけなんだと思う。 ロック画面に再び0がふたつ並ぶま

          #27 why i dance

          #25 まだ会えないひと もう会えないひと

          あなたがそばにいないからこそ 月とか水面とか こころに灯る蝋燭がどうにも輝いて見えるんじゃないかって、そんなムードで踊りに向き合ってみたいと思う今日です。 2月を迎えうつ。

          #25 まだ会えないひと もう会えないひと

          #24 グッドバイ、イチハチ

          この歳でいることに”飽きている”。 抱いたことのない感情だった。 私は1月生まれなので、年が変わってまもなく1つ年を重ねることになる。 2023年は年末までに一年分の気力も体力もほとほと使い切って、やり残したことも特になければ新たに何か始めようと奮い立つこともできずに 早く次の章のデータをロードしたいような気持ちでいた。 ーーー 2024年最初のショーの翌日、ときおり震えるiPhoneを放置して 遅くに起きて食べたいものを食べ、まどろみながら読書に耽る。本に飽きたらラジ

          #24 グッドバイ、イチハチ

          #23 ベリーダンスはお笑いや!(違う)

          静かに喜びの息を呑んだのは5年ぶりだった。 大阪時代から好きだった霜降り明星が25歳と26歳の若さでM-1を制したのが2018年。その年に結成した魔人無骨が令和ロマンになって、今年優勝したんだなあ、と勝手に噛み締める。 劇場で目に焼き付けた少女漫画のネタを決勝1本目で見れたことにも熱い感慨が込み上げた。 予選から準決勝、敗者復活戦から決勝まで語りたいことは山ほどあるけれど、一般のお笑いファンの感想文など微塵も需要がないことを理解しているのでこのへんで切り上げて。 長い大会

          #23 ベリーダンスはお笑いや!(違う)

          #22 哀する

          少しの期間アンインストールしていたInstagramを開いたら、数年前の同じ日付に投稿していたストーリーが蘇ってきた。 慣れない仕事と先の見えない生活にその頃の私はすっかり心を蝕まれていて、モノクロの山手線の景色のなかに思いを隠すように 「こんな惨めな思いと生活があと何年も続くんだ」と綴っていた。 帰路につく電車から暗い自宅に戻るまで、 マスクの中で嗚咽を殺した日々のこと。 ”泣いて泣いて、もう涙も出ないのよ” 子どもの頃に読んだ漫画で女の人がそう言っていたから、大人にな

          #22 哀する

          #21 たべたいとしにたい

          「年齢確認させてください」 たどたどしく発せられた四字熟語に、言葉よりも先に苦笑いがこぼれた。 多少なりとも童顔であることは自覚しているので 知人や同じアパレル従事者に会う予定のない休日をラフな服装とメイクで過ごす私の容姿を見て、 年端もいかない少女と思う人も中にはいるのかもしれない。 日本出身ではないと思しき女性店員が 「平成」という文字列を理解しているのかは定かでないけれど、 もたもたと取り出した保険証を見せるとすぐに精算を通してくれた。 葉野菜と調味料、ハイボール、

          #21 たべたいとしにたい

          #20 「暮夜に踊る、月と海」後記

          師事しているYuukoKader先生主催のハフラ 「暮夜に踊る、月と海- Dancing in the night, moon and ocean -」に出演させていただきました。 (つい当たり前みたいに使ってしまいますがハフラというのはベリーダンス用語で、主に近しい人達に向けたアットホームなダンスパーティのようなものです) 先生のもとに集まった出演陣のソロや群舞はどれもそれぞれの色に輝いて見えて、「LUCE(イタリア語で”光”)」を冠するスクールらしい色彩豊かなステージで

          #20 「暮夜に踊る、月と海」後記

          #19 夢とこころ

          浜辺に建つ旅館にひとりで泊まった。 夕方、太陽が海に沈んでいくのを大きな窓から飽きもせず眺めていた。 「千と千尋の神隠し」に出てくるみたいな水上を走る電車が視界を横切るのを見て、夢の中にいると気が付く。 ー ① <夢日記> ② 田舎道を走る車の後部座席に乗っていた。 みんな耳慣れた方言で話していたから、 地元の風景だったんだろう。 運転手の不注意で車内がガクンと揺らいだ次の瞬間、 車体ごと川に落ちていた。 隣に乗っていたおばあちゃんを助けなきゃ、と真っ先に思った。 午前

          #19 夢とこころ

          #18 雨上がりを急ぐ

          8月からずうっと夏風邪をこじらせている。 微熱が出たり咳が出たり治ったりを、繰り返し何度も何度も。 面白いとか思ってるなら今すぐやめた方がいい。 「体調」が変なノリを擦ってスベり続けているのはそろそろ見ていられない。 最近は少し出演をセーブしていたけれど、 イベントに出させていただくことはもちろん 次に踊る振付を考えるのも、基礎を復習するのも レッスンに行くのも先生につけてもらう稽古も、 1日も無駄にできなくてつい生き急いでしまう。 (会社勤めも同じくらいがむしゃらに 頑張

          #18 雨上がりを急ぐ

          #17 燻る

          多くはなくとも報酬をいただいて踊る立場になってから残った数少ない趣味のひとつ。 自宅からの徒歩圏内に佇む雑居ビルに シーシャバーがあると知って、スマホと財布と本を持って赴いた。 「奥のソファにどうぞ」 電話で予約を受けてくれたスタッフの女性は、入店するなりこちらが名前を告げる前に席に通してくれた。 なんだかとても甘ったるいのが吸いたくて、 バニラとハニーのMixをオーダーする。 ほの暗い照明の下、ハイボールを傾けながら 読みかけの掘静香さんのエッセイに目を落とした。 とき

          #17 燻る

          #16 指ぱっちんで消えたい夜に

          4年暮らした街を離れた。 卒業までのモラトリアムを謳歌するだけの大学生だった当時、 ”ほどほどに大学にも通いやすくて、 ほどほどに都心に出やすければどこでもいいや”って誰にも相談せず他人事みたいに選んだ家で、 コロナ禍でただ暦に押し流されるように実感のないまま会社員になった。 慣れない毎日の中でも、踊ることは救いのように呪いのように 変わらずずっと生活のど真ん中に居座り続けて、 遠い遠い夢だったはずのことが叶えたい目標になり、 果たして生きる目的になった。 ーーー 引っ

          #16 指ぱっちんで消えたい夜に

          #15 たった1人のあなたへ

          高く晴れた夏の日。 「何にもしない」をする日を意図的に作っていた。 ネットスーパーの配達に合わせていつもより遅く起きて、適当に食事を済ませて洗濯機を回す。 洗い物が済んだら自由時間。 いつか時間ができたら読もう、と積んでいた文庫本と目が合った。 呼吸と空調の音が律動する隙間に、 ページをめくる音がフローリングに静かに積もっていく。 こんな風に穏やかに過ごす時間がすごく久しぶりな気がする。 ややあって、鐘を打ち鳴らすような音と 子供達のわっしょい!の掛け声が窓の外から交互

          #15 たった1人のあなたへ