見出し画像

ラデュレの香水のひみつ

 レ・メルヴェイユーズラデュレは、フランスのパティスリーから展開したコスメブランドで、アルビオンが契約をしていたが2021年に終了し、2022年6月までに国内の店舗が順次閉店をする。
ラデュレといえばフランスの貴婦人をコンセプトにした、ロマンチックな雰囲気のある内装、包装、商品が特徴で、ガーリーなジルスチュアートよりも退廃的で大人っぽく、同じアルビオンから展開しているアナスイよりも毒っけがなく甘いロリータ寄りで、ポールアンドジョーよりアンティークさがある。
一番すきなコスメブランドの撤退が悲しすぎて、ボーナスでフルメイク揃えるだけでは足りないのでラデュレの香水について気付いた解釈を綴る。

「レ・メルヴェイユーズラデュレ」の看板を背負った2つの香水

 ラデュレからはコロンも出ているけれど、ブランド名がついた香水は2つのみ。
1つは「オードパルファン メルヴェイユーズ」でキャッチコピーは「自由に、革命的に、大胆に。」

スミレ



ヴァイオレット(すみれ)とアイリス(あやめ)の花の香水で、どちらも紫色の花なので同じ色をしたガラスの瓶がおしゃれ。
ころんとした丸みと、キャップのカメオや植物の蔦を彫ったようなアールヌーヴォー風のデザインがラデュレらしい。

ムエットで試しただけかつ数年前のことなのであんまり覚えていないけれど、透明感のあるフローラルよりしっかりめフローラル、かつパウダリーなので「化粧品」感があった。

2つめは「オードパルファン アムール ド メルヴェイユーズ」でキャッチコピーは「昼に満ち、夜に咲き誇る。」

チュベローズ


チュベローズの香水でこちらも花の香水。
こちらもチュベローズの花の色と同じ白色の香水瓶で、乳白色を再現したのか磨りガラスのようにマットな質感。

これは愛用していて、トップノートにあるらしいレモンは全然わからないが、甘いだけではない清潔感が先にふわっと香る。
次に来るのはパウダリー感というか、ミルク感というか透明感はなくむわっと湿気を含んだような甘い香りがしており、この重みのある甘さがチュベローズだと思う。
ラストノートはミルラ(樹木)ベチバー(草)なのでその湿り気があるかもしれない。
つけ始めよりだんだん重く甘くなる、寒い時期に相性が良い香水だ。

ラデュレのコンセプトから2つの香水を対比させる

 マリーアントワネットが愛用した香水は、バラやすみれ、イリスなど植物由来の軽やかな花の香りだったらしい。
マリーアントワネットと香水の物語:マリーアントワネットと香水の物語 – NOSE NOTES (phats-co.com)

高級なスミレを使用した香水は、貴婦人のように身分が高い淑女が身に着ける身だしなみだったとか。
フランス王妃が好んだ香り、フランスの貴婦人、淑女が身に着けた香りはラデュレらしさがあってなるほどと頷ける。

一方で、白い香水のアムールドメルヴェイユーズの方向性が気になった。
香水瓶の清楚なかわいらしさと甘い香りが気に入って買おうか迷っている私にラデュレの美容部員さんが説明を加えた。

「これはチュベローズの香りなんですけど、昼よりも夜になると香りが強くなる花なんです。中世だとこの香りを使っての結婚は無効とする法律や、夜に恋人同士でチュベローズの近くを通ると愛し合うので夜に近寄ることを禁止する法律があったみたいですよ。」

15時近くの名古屋高島屋で聞くにはそこそこ刺激的だった。
催淫効果がある香りってこと?清楚そうな見た目とパウダリー感のある香りなのにそんな危険性のあるテーマのもとつくられた商品なの?

説明を聞いてはちゃめちゃに気に入ったのですぐに購入し、説明にあったチュベローズの花が気になって調べてみると更に逸話があった。

「危険な快楽」「危険な遊び」を花言葉に持っているチュベローズは、甘く濃厚な香りからかつて高級娼婦が身にまとう香りだった。
世界中を狂わせたヒミツの香り


香りによって身分が分かるため、貴婦人は身に着けないチュベローズの香水。
王妃も身に着けた、貴婦人のためのスミレの香水。
「レ・メルヴェイユーズ」の名前を冠したたった2つのラデュレの香水は、それぞれ対比させてつくられたものではないかと気付いた。
「高級娼婦」と「貴婦人」の身分の違いを「チュベローズ」と「スミレ、アヤメ」の花の香りの違いで再現し、ボトルデザインは同じものの「すりガラス」と「ガラス」で質感がマットなのかクリアなのかも対比がコンセプトだからじゃないかと推察する。
なにそれ~~~~めっちゃロマンチック~~~~すき~~~~~~~
調べないと気付けない、公式に載ってないからただの妄想かもしれない、けど妄想にしてはちょっといい線いってない?くらいの塩梅はオタクが好きなやつ~~~~~
なんでコスメライン撤退したの~~~~~~~~?????

あとボトルデザインと香りに惹かれて買ったチュベローズの香水は、これらを知ってから更に沼にハマった。
だってファムファタルみがあるから、そしてファムファタルみがあるのは私が好きな作家の谷崎潤一郎みがあるから。
今後一生ファムファタルみがあるものを集めて暮らしていきたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?