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『ダンピアのおいしい冒険』 #推しの料理漫画

DMMブックスのポイント還元セールで『ダンピアのおいしい冒険』を読んでいる。大航海時代をテーマにした作品で、主人公のダンピアをはじめとして実在の人物が登場する。話はフィクションとしてわかりやすくしているものの、作者は大量の文献を読み込んでおり、ファンタジーではない、シビアでリアルなヨーロッパと南米の文化が描かれている。
『ダンピアのおいしい冒険』は料理漫画としておすすめだ。普通の料理漫画とは違う「食事」の描き方が個性的である。ぜひ他の人にも読んでほしい。
ダンピアは貧しい家に育ちながら学問に焦がれる男だった。船乗りの仕事は、海外という未知の世界で学ぶことができる。ダンピアは海賊行為のおぞましさを知りつつも、私略船に乗り、南米やアフリカを旅する。要所で、ダンピアはその土地の植物や動物を料理して食べる。今では絶滅危惧種の生き物も食らっているから皮肉である。絵柄はかわいらしく牧歌的でありながら、残酷で不穏なところもある。
大航海時代のロマンは、植民地支配のおぞましさと裏表でもある。搾取の構造がありながら、ダンピアがのんきに旅をしているところに腹を立てる人いるかもしれない。その問題は作者も自覚的らしく、コラムやおまけ漫画で17世紀のヨーロッパが植民地支配でしでかしたことを説明している。きちんと漫画の内容を追えば植民地支配を肯定しているわけではないとわかるだろう。コラムの丁寧さに、作者のまめまめしさを感じる。

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